リキッド・スカイ
スラバ・ツッカーマン監督/1982年作品
 1985年の劇場公開時に大阪で観て、スタイリッシュで極彩色な前衛アート的映像と尖がった音楽に魅了されて以来、ふとたまに見返している作品です。

最初に買ったのがレーザーディスク、その後、海外でDVDが発売されたのを買ったら画質がVHSレベルでガッカリ。しかし、最近アメリカで販売されているBlu-rayを買ってみたら、映像は4Kレストアされて美しく、インタビューやメイキング等も満載で、素晴らしいパッケージに仕上がっていました。このBlu-rayで見れば、38年前の映画だと思えないんじゃないかなぁ!

正直、物語はイマイチです。

舞台は、ニューヨークのアンダーグラウンドなアート・シーン。クラブに集まる面々はモデルにアーティストにドラッグの売人。映画の中心人物となる女性、ファッション・モデルのマーガレットはペントハウスで暮らしている。ある晩、そのペントハウスの屋上にUFOが降り立った。UFOといっても小さいし、宇宙人が出てくるわけでもない。ただ静かに屋上に留まり、自分たちが必要としているヘロインやエンドルフィンを粛々と集めるだけだ。

マーガレットは若い女性であるが故に都会の男どもに食い物にされることに辟易としており、だからといって反抗しても暴力をふるわれるだけなので半分自暴自棄になっている。そこに現れたUFOは(彼女はUFOの存在に気づいていないのだが)エンドルフィンを集めるために彼女を性的に搾取しようとする男どもを次々と”消して”くれる。

というお話はともかく。先に述べたように、全編がファッションショーのようにギラギラしたカラフルな色使いで、ややチープで尖がった音楽が全編を覆い、まさに前衛アートの美術展を観ているような感覚に陥るのが心地よい。ホント、楽しい(笑)。

とてもヘンな映画だし、映画としては完成度も低いし、まったくもって万人にお勧めしたくなる作品でもないけど、この映画の画像や音楽や予告編等にピンとくる人には十分楽しんでいただける絶好の嗜好品ではないかと思われます。
僕のお気に入り度
いつでも見返せるように常に持っておきたい作品です。



(C) Tadashi_Takezaki 2002