知りすぎた少女
マリオ・バーヴァ監督/1963年作品
マリオ・バーヴァ監督没後40年ということで強化月間?スタート。どれから見るか迷った挙句に、まずは”ジャッロ映画の原点"と言われているそうな1963年の「知りすぎた少女」をピックアップしました。(1960年の「血ぬられた墓標」は何度も見てるからね!)

なんせ古い映画ですし、いま見るとなんだかなぁ…と思っちゃうところもありますが、元々撮影監督だったマリオ・バーヴァが切り取る画のアングル、ライティングなどは見事で、映像そのものには見惚れます。

イタリアで”ジャッロ映画"と呼ばれるのは、ざっくり言えば…推理&サスペンス&ホラー&猟奇的&ときに裸!が揃った映画で、フーダニットの犯罪小説にイタリアらしいサービス精神で派手な要素をてんこ盛りにしたような娯楽作品。

本作はまだモノクロ時代の作品なので派手さには欠けますが、連続殺人事件とその犯人探し&そこに巻き込まれた美女を中心に、怪しい人物を配置したり、ローマの街並みを観光させたり、恋愛要素を入れてみたり、目撃した殺人事件は10年前に起きた事件を幻視したのではないかと言ってみたり、いろんなネタを盛ってきます。

それらが全て上手く活かされているかと言えば疑問なんですが、1963年の時点でこれだけいろいろやってみたこと、効果的ではないにせよ冒頭のエピソード何だったの?と思っていたのをラストになんとか回収してみせるなど、不思議な面白さや愛らしさも感じさせてくれるところが良かったです。

タイトルは「少女」ですが、実は大人の女性である主演のレティシア・ロマンがわかりやすい美しさ。彼女をサポートする医者に若き日のジョン・サクソン。役者陣はみなさん、素晴らしいです。

タイトルはアルフレッド・ヒッチコック監督の1956年作品「知りすぎていた男」からの引用で、旅先で主人公が事件に巻き込まれる基本構造まで同じですね。 というわけで、マリオ・バーヴァ監督没後40年強化月間第1弾「知りすぎていた少女」でした!
僕のお気に入り度
なかなかの佳作。また見るかもしれません。



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