血みどろの入江
マリオ・バーヴァ監督/1971年作品
"マリオ・バーヴァ本人が唯一お気に入りと公言する大傑作ホラー"って書いてあるけど、それはどうなぁ…って正直思うぞ! 確かに面白いけど、これが1番お気に入りなんだったら、バーヴァ審美眼どーなのよ的な"ハッタリ系"ホラー。これはこれで悪くないけど、他の作品も良かったぞ。

マリオ・バーヴァ監督の1970年作品「血みどろの入江」。 本作の影響を受けて「13日の金曜日」シリーズが作られたと言われてみれば、確かに顔ナタとか串刺しとか、「13金」ですげーなと思った映像は先にここにあって、正直驚いた。

入江という舞台もクリスタルレイクに似てるし。本作のリメイクが「13日の金曜日」だと言われても納得するしかないレベルの類似。 これで犯人がジェイソンで、このパターンのホラー映画は本作が最初なんだとすれば、確かにマリオ・バーヴァ凄い。でも、犯人はジェイソンじゃないので、この映画から犯人を排除してジェイソンを加えてアレンジするという"もうひと捻り"がフォーマットとしての完成には必要だったのだなぁ…。

【以下、ネタバレ】
とにかく人が次々と殺される。しかも、いちいち(当時としては相当)ド派手な殺され方をしていくのが凄いわけだが、その犯人は、この入江の土地を我が物にしようとする親族一同で、親族同士みんなで殺し合っているというオチだ。 たまたまドライブで入江に迷い込んだ若者グループも、関係ないのに勢いで殺される。増量サービス中か!?

「この土地は誰にも渡さないぞ〜」とか言いながら殺し合いされても、そんなに魅力的な土地に見えないし、こんな突然バトルロワイヤルしなくても…と思うし、そもそも犯人以外の親族が全員刺されたり首切られたりした死体となってゴロゴロ転がってんだから、犯人バレバレやん!

そんな殺伐とした殺し合いを、これまた妙にムーディーな音楽が包み込んで微妙な空気を醸し出す。そして、最後、「よっしゃ、俺たち以外の親族全員やっつけたぜーっ」て喜んでいる2人に驚天動地のフィナーレを用意して、観客をポカーーンとさせる、ある意味すごすぎるエンディング。ギャグだったのか、これ…
僕のお気に入り度
これ、あと2、3回は見そうな気がする。「13金」の元ネタとしても。



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