天国の口、終りの楽園。
アルフォンソ・キュアロン監督/2001年作品
アルフォンソ・キュアロン監督の、2001年公開のメキシコ映画「天国の口、終りの楽園。」を見た。

日本では2002年に公開され、劇場で何度も予告編を観たが、若干セクシュアルな雰囲気が気になって結局、劇場では観ず。 しかし、この映画を撮ったアルフォンソ・キュアロン監督は、その後、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」「トゥモロー・ワールド」「ゼロ・グラビティ」「ROMA/ローマ」等を監督し、それらの完成度が素晴らしいので、遅まきながら「天国の口、終りの楽園。」を見てみようと思い立ったときにはDVDも新品で入手できなくなっていた…

そんなDVDに、中古だけど昨日たまたま出くわすことができて、出会いに感激して買っちゃいました(^-^)

それぞれのガールフレンドが旅行でいなくなり、ヒマを持て余した17歳の男子2人が下心満々で、人妻を誘って3人で「天国の口」というビーチを目指すロードムービー。

メキシコの風景や生活がリアリティを伴って見えるのと、元々がリアルな親友である男子2人と、同行する訳ありの人妻を演じる女性の豊かな感情表現が素晴らしい。

途中途中、突然音声がプツッと切れて無音になり、そこに主人公たちの心情や過去を説明する客観的な落ち着きのあるナレーションが入る。最初は故障か?と思うような入り方に驚いたが、これが独特のテンポを生み、映っている以外の世界を拡げて示しているのが面白かった。

大きな事件が起きるわけではなく、気怠い旅の行程と心の機微が描かれるわけだが、これもまた人生のひとつの切り取り方だなと納得できる作品。良作です。
僕のお気に入り度
若さと人生の無常さが入り混じって不思議な気持ちになる作品。ふと見直したくなりそうな気がします。



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