ヌク沢から甲武信岳探訪報告


(98年10月31日)


甲武信岳への登頂ルートとしては東沢コースの他にヌク沢遡行ルートが以前より興味があった。
今回は紅葉時期の晴天に恵まれたこともあり思い切ってチャレンジしてみた。

<98'10.31 歩行記録>

村営駐車場(5:45)〜近丸新道入口(5:55)〜遡行開始点(6:20-35)〜二俣(7:30-35)〜
大滝下(8:10-15)〜大滝上(8:55-9:10)〜踏み跡入口(9:50)〜稜線(10:05-15)〜
木賊山(10:30)〜甲武信岳(10:50-11:10)〜戸渡尾根分岐点(11:25)〜ふたつコブ(12:05-10)
徳ちゃん新道経由林道(13:00)〜駐車場(13:15)

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 村営駐車場を5時45分に出発する。 先程まで曇っていた空は嘘のように晴れ渡って快晴のようである。 ヌク沢は東沢よりはハイグレードとなるので、ザイル、ハーネス、シュリンゲそしてヘルメットという武装でのぞんだ。 重いザックはかなり体力を消耗しそうであったが、万が一の事を考えればいたしかたないところだ。
 今回の目的は幻の滝とも呼ばれるヌク沢左俣の大滝と甲武信岳山頂である。 ヌク沢の水量は通常よりも多そうだったので、単調な下部のゴーロ歩きを避けるために途中までは近丸新道を利用することにした。 この近丸新道がヌク沢を横切る点で渓流シューズに履き替え遡行を開始した。

 遡行開始点付近は比較的おだやかな渓相である。 しばらくすると最初の滝が現れるが、きれいなナメ状の滝で簡単に超えられる。 その後、いくつかの滝を超えていくといきなり目の前に平成6年度造成の堰堤が現れる。 あまり歓迎できない代物だが文句を言ってもしかたない。 ここは右側から超える。 ところが下降するルートが無い。 近くの斜面が道ごと崩壊してしまったようである。 しかたなく堰堤の上から5m程を飛び降りて先に進んだ。 よってこの時点で早くも後戻りは出来ないという重荷を背負うことになった。
 堰堤の上は斜面の崩壊により沢はかなり荒れてくる。 そして驚くべきことにまたしても堰堤が出現したのである。 プレートには平成7年度造成と書いてあった。 しぶしぶ右側から超えていくとなんとその先にも堰堤が出現! いったいどうなってんの..? と思いつつ今度は左側より超えていく。 この堰堤は平成8年度造成と書かれていた。 堰堤を超えるとそこは二俣であった。

階段状5m滝
階段状5m滝
oooooo 6m滝
6m滝

 ここは文字通りヌク沢の左俣と右俣の合流点なのだが、そこに右手よりもう一本の小沢が合流していて三俣とも言えそうな所である。 ただし雰囲気は最悪だ。 小沢の上には林道の真新しい橋が見えるし、合流点のすぐ下は先程の堰堤だし...... そしてダメ打ちはこれから登ろうとする左俣の奥だ。 なんとそこにはまたしても堰堤が立ちはだかっていたのである。 この堰堤はプレートに平成9年度造成と書かれていた。 どうやら年にひとつのペースで造ってきたようだ。 平成10年度のものが無かったことが唯一の救いか..? この堰堤は右側に着けられた巻き道を使って高巻く。 高巻きが終わるとやっとヌク沢のメイン部分に突入である。

 左俣最初の滝は簡単に超えられる。 その後次々に現れる滝を快適に超えていくと奥の二俣となる。 ここで水量の多い支沢が左手より合流してくる。 続いて現れるのが階段状の5m滝だ。 この滝は右側を直登できそうだったが、どう見てもシャワーとなりそうなので左側を巻き気味に超える。 その上にはすぐに6m滝がある。 ここは水流の左手を直登する。 この滝上で沢が少し左に曲がると急に沢が明るくなり、目の前にはハイライトの大滝が立ちはだかっていた。 全体像はとても写真では表現できないスケールの大きさである。 写真で上方に白っぽく見えるのも滝なのだが、まさに天空より落ちるという感じの滝であった。 後で分かったことだが、それでさえ上段は見えていなかったのだ。 遡行ガイドでは落差100mと記述してあるが、この落差は決してハッタリなどではない!

大滝下段
大滝下段
ooo 大滝中段
大滝中段
ooo 大滝中段上部
大滝中段上部
ooo 大滝上段
大滝上段

 大滝下の5m程の滝をよじ登ると大滝の下段の全容が眺められた。 下段は傾斜もさほどないので右手を気持ちよく登った。 そうは言っても上部では高度感があってなかなかスリルもあり、沢登りの醍醐味を十分に味わえる所であった。 この大滝は全体的に沢の中とはとても思えないほど明るく開けていてとにかく気持ちの良い滝である。
 下段を登るとかなり開けたテラス状の広場となる。 眺めも良く気持ちよい所だ。 目の前には大滝の中段が落下している。 この中段はガイドでは真ん中の水流を直登できると記述してあったが、今日は水量も多く困難そうだったので、一番右手の水流沿いを登っていった。 だがここも途中でシャワーかぶりとなってしまったのでやむなく右手の岩溝状の所にトラバースして巻き気味に登った。 途中のテラスに立つと中段の上部がきれいな滝となって落下しているのが見えた。 この中段上部も右手より巻き気味に登っていった。 中段の上は展望台とも思えるほどの眺めの良いテラスとなっている。 ここからは富士山の姿もハッキリ見ることが出来て大満足であった。
 大滝の上段は30m程の美しい滝だ。 ここは左右どちらでも登れるとガイドに書いてあったので、なんとなく簡単そうな右手の壁に取り付いた。 ところがこの右手ルートはくせ者で、途中、ツルツルでホールドの乏しい部分で立ち往生してしまった。 しかたなくもっとも右手の壁際を水コケを足で落としながらホールドを確保して登っていった。 なんとか上まで登り切るとそこには残置ハーケンが2本取り付けられていた。 やはりみんな苦労して登っているルートのようだ。 おそらくここは左手の草付きを登るのが正解だったのであろう。

 大滝の上は水量も減って沢も穏やかになってくる。 すぐに8m程のナメ状滝が現れるが、難なく超えることが出来る。 その先は奥秩父らしいナメ状の沢床がしばらく続いて気分の良い沢歩きが楽しめる。 だが、しばらく進むとこのナメ床も次第にガレ状の急な沢になってきて、右手、左手に崩壊地が現れる。 この部分では沢は伏流状となり、大きな岩がゴロゴロしていてとても歩きづらい部分が続く。 なんとか頑張って登っていくと再び右手に崩壊地が現れ、その先次第に沢が狭まってきて藪も増え歩きづらくなってくるが、このあたりで右手に注意していると樹林に入っていく明瞭な踏み跡を見つけることが出来る。 ここで沢を離れ、縞枯れの樹林帯を踏み跡に沿って15分程登ると稜線の登山道に合流した。

8mナメ状滝
8mナメ状滝
oooooo 崩壊地
崩壊地

 稜線に出たところで渓流シューズをトレッキングシューズに履き替え、木賊山方面に向かう。 しばらくすると道の脇になにやら白い物が見えてきた。 なんだろうと思って見るとなんと雪であった。 まだ10月なのに降るところでは降るんだなあ..と思いつつ先を急ぐ。 木賊山山頂を過ぎ、眺めの良いザレ場に着くと前方には甲武信岳がきれいに見えていた。 本当に今日は申し分ない程の天気である。 きっと甲武信岳山頂も最高の眺めだろうと思うと自然に足早になってきた。 甲武信小屋をさっさと通り過ぎてひたすら甲武信岳山頂を目指す。 たどり着いた山頂では期待していた通り、最高の眺めを満喫出来た。 三宝山方面国師・金峰方面がきれいに見渡せた。 この頂に立つのは今回で3度目だが、もちろん今までで最高の眺めである。 最後に国師・金峰方面をバックに記念撮影して甲武信岳を後にした。

甲武信岳
甲武信岳
oooooo 国師・金峰方面
国師・金峰方面

 下りは木賊山の北面を巻く山道を使い、いつもの通り戸渡尾根を駆け下りて車に戻った。 この下りもこれで3度目だがさすがに勝手が分かっているせいか今までで一番早く下ることが出来たようである。
 それにしても下り着いたら林道は人、人、人であった。 考えてみれば西沢渓谷が一年で一番賑わう季節であった訳だ。 熊鈴を警笛代わりにこれらの人々をかき分けながら戻ったのだが、今日一番疲れたのがこの林道歩きだった様な気がする。

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 これでもう当分の間は甲武信岳に登ることは無いだろう。 ヌク沢も制覇したし、次はナメラ沢かな......

 

 

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