<H1>菊池鈴々の「RinRin日記」</H1>

96年7月分

それぞれタイトルのあたまにジャンルの目印をつけています
主な内容は、■本 ●漫画 ▼映像 □雑誌 ○同人誌 など

■本と●漫画は独断評価つき(5点満点:★1点・☆1/2点)
文中敬称略

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07/31(水)

ユートピア/ふゆの仁子 ★★★
バンドものJUNE。腹違いの兄がバンドをやっていて、そこのライブのうちあげの席のトイレでバンドのギタリストにレイプされた中学生が、いちおうメインかな。吐きそうでトイレで苦しんでるところをレイプするなんて、中学生相手かどうかをさしおいてもサイテーな奴。
全体に印象が薄い。Hシーンも悩む人物描写もそれなりにあるのに、なんだか散漫。

07/30(火)

□HANAOTO DELUXE vol.4
仲村留海のキャラはどうみても「カヲルXシンジ」のアレンジ。波打ち際に立ってたりして完璧(笑)。
四谷シモーヌの人生相談は、相談数の少なさをギャグにしてしまう強気のコーナー。今回は回答のシビアさがよかった。

07/29(月)

■蒼穹の昴(下)/浅田次郎 ★★★★★
上巻と下巻の印象を一緒にして(上)のほうに書いてしまったので、ここでは略。
●きらきら馨る(三の巻)/高橋冴未 ★★★★
平安時代ラブストーリー。東宮と相思相愛になった主人公は内大臣家の養女になって、いざ入内、となるはずが、そんなにうまくはいかないんだな。怨霊騒ぎの渦中の人物として、入内取り消し問題にまで発展する。なめられそうな外面の東宮だけど、ぱしっと解決にむけて行動してもらいたいなぁ。
●ブルジョワジーの密かな愉しみ/原田智子 ★★★☆
この作者はセックス観を端的にあらわすセリフを使うタイプだと思う。ひねた登場人物が、きわどいネタもずけずけと、うんちくっぽく語るのがミソ。

07/28(日)

□ロミオ vol.1
一水社のショタ漫画誌。絵のレベルに問題ありだけど、「ショタONLY」というコンセプトがよそになければ商売にはなると思う。そんなに競合他誌がすぐさま出るとも思えないし。路線としては『ブレスSpecial/ロリショタ特集』とか『b-BOY/ショタコン特集号』」とかといっしょ。でもいわゆる単発企画だから『ロミオ』が定期的に出るならそれなりの読者はつくんじゃないかな。
□ユリイカ 8月号 ジャパニメーション特集
日本のアニメの現状などを、エヴァンゲリオンとか攻殻機動隊とかセーラームーンとかパトレイバーとかを語りながらつづってゆく。日本の作品が外国でどのようにとらえられているか、のレポートもあり。『エヴァ』を語らせると多彩な執筆者のスタンスがバラバラで興味深い。『エヴァ』は技術論以上に、執筆者本人のスタンスが重要になってしまう希有な作品であることは間違いない。私はあのラストを全面肯定することはできないわ。

07/27(土)

□ブレス vol.13
摩耶薫子の、押しの強い先輩とうろたえてばかりの後輩の話がいける。なんといっても先輩のキャラが際立ってよい。絵柄がもうちょっとあかぬけてくれるといいのに。
□オール讀物 8月号
ホワイトハートのエンタテインメント部門で優秀賞をとった森福都が中国もので松本清張賞をとり、この号には受賞後第一作が掲載された。これも中国ものミステリの短編。手慣れた風情の地の文章をみると、おおむねティーン向けの土俵のホワイトハートのものとは印象が違う。芸域がひろいのね。でもこうなると、今後どちらの作風をメインにしていくことになるのかが微妙なところかも。
■蒼穹の昴(上)/浅田次郎 ★★★★★
中国もの。いやーすごく面白い。こういう言葉を使うのは何も考えてないみたいで陳腐なんだけど。命をかけてまで宦官の道を選ばざるをえない、貧しく野望をもつ少年が歴史の流れにもまれながら、のしあがってゆく姿に「夢」を見る。希代の悪女と名高い西大后を、傾きかけた国をなんとか支える健気な女というキャラクターで描いているあたりがすごい。
ファンタジー部分がポイントとして光るためには、他のところではリアリティのある構成でなくては全部が絵空事になってしまうが、これは立派な歴史小説の風格をもっているのでばーっちりOK。

07/26(金)

▼OVA「ガッチャマン」リメイク版
絵がきれいになったのはいいんだけど、南部博士のデザインに違和感が(笑)。
総裁Xは全面CGになっている。総裁Xが動きまわるシーンがあるわけではないので、特に不自然じゃない。

07/25(木)

□別冊JUNE 9月号
これは創刊号。「大JUNE」3号が出なかったかわり、というかんじ。うーん、申し訳ないけど「大JUNE」は一冊も買わなかったのよね。私の興味の方向は「フィクション」だからきれいなお兄さんの写真とか、別にうれしくないんだもん。こっち系の小説誌や漫画誌ではわりとそういうページがちょこちょこあるけど、それすらカラーページでやられるくらいなら値段を下げてくれるほうがいいよな、と思ってるくらいだ。ビジュアル情報メインなら買わないと思う。私は結局のところ「耽美」な人間ではないということになるのかな。「ノンフィクション」はまた違うから、「ロマンJUNE」なんかに掲載されるレポートとかアンケートの統計とかは別枠として楽しめるんだけどね。
それはそれとして、これは古い「さぶ」や「JUNE」からの再録がわりと多かった。あとは「フジミシリーズ」のパロディ数点。
『エヴァンゲリオン』24話のシナリオの初稿と弐稿が掲載されていたので、ニフティのエヴゥ者のいるホームパーティで教えてあげた。売り上げにちょっぴり貢献したかも。「JUNE」をエヴァのためだけに買った人って世の中にどのくらいいるんだろう。そーいう人は他のページを見てくらくらしたかしら(笑)。
□小説ADONIS VOL.15
小説は10作中6作読んだ。どおるがひたすら明るくHなのが目立つ。
□WIRED 9月号
夫が日頃買っている雑誌はほとんど読まないんだけど、この号はおたく特集っぽかったので、ちょっと読んだ。

07/24(水)

□微熱少年 8月号
一水社発行の新しいJUNE系漫画雑誌。
わりとはっきりH路線。高森はつかの、目つきの悪い受と人の悪い攻のセットの絵柄は好み。広川和穂の一見おとなしい絵柄で切ない風情の話もいい。
●黄金の梨(4・完)/坂田靖子 ★★★☆
捜し求めた「黄金の梨」をついに発見したのだが、ノームの道案内人さんの命を救うために、主人公は自分の魔力を梨の番人に差し出す。もともとたいした魔力ではなかったといっても、全く魔力を失って途方にくれるが、道案内人さんがノームの長老を助けたあとの梨の残ったパワーで、元にもどしてくれて一件落着。
あっさりと終わってしまったが、ノームの道案内人さんとへぼい魔法使いの暖かい友情物語(笑)なんだからこれでいいのである。最後まで意志の疎通には苦労していたけどね。

07/22(火)

●クロスロード CROSSROAD/Belne ★★★★
JUNE。ディーン・シリーズと名づけられたロンドン音楽ものが完結。さわやかざんす。
●GOD'S IN HIS HEAVEN(ゴッズ イン ヒズ ヘヴン)/アンソロジー ★★★
ムービックが出した「エヴァ本」。出版社の差異も気にならないし、中身もどれがどうというほどびっくりするものもない。みんなそれなりのレベルではあるんだけど。
●新世紀エヴゥンゲリオンコミックアンソロジー/アンソロジー ★★★
ホビージャパン発行。この本はなんと奥付けに「このマンガの内容は実際のアニメの設定とは一切関係ありません」と書いてある。なんで? 多少は設定をいじっているけど、 それはよそで出してる同種のものと大差ないレベルなのに。ホビージャパンはパロディ・アンソロジーに全部その一行をつけているのだろうか。
●新世紀エヴゥンゲリオンアンソロジーコミック TRAITOROUS ANGEL/アンソロジー ★★★
これもムービック。黒地に赤くNERVマークの表紙はシンプルで目立つ。公式ムックっぽい表紙っていうか(笑)。
●アルカサル−王城−(6〜8)/青池保子 ★★★★☆
クールかつドラマチックでたいへん面白い出来。
●電気/藤田貴美 ★★★
短編集。画像処理の創意工夫の波がもうちょっと落ち着いてくれないと、センスが先走っていて、読みにくい。作品を描いた時期が新しくなるにつれて、レイアウトが才気と読みやすさのバランスがとれているようだ。
わがままなアクマたち/白城るた ★★★
ライトなオカルト・ミステリーJUNE。キツネ憑きの少年が、霊能者の和尚にひきとられて、弟子として暮らしていた。だまされてポルノビデオに撮られそうになり大ピンチ。彼はHな状況になると、キツネの姿に変身してしまう特殊体質なのだった。すんでのところで、別件でやってきた若いが腕利きの霊能者に助けらけるが、変身シーンを見られてしまう。その場では逃げおおせるが、その後、違う事件の依頼者のところで再開してしまう。 キツネ少年が蛇の憑き物筋のおっさんにレイプされる事件をはさんで、相思相愛でちゃんちゃん。依頼された事件も根が暗いネタだったがそれなりに解決した。
自信家で二枚目の霊能者とキツネちゃんがかわいい。
●愛でなくVII(パーム21)/伸たまき ★★★★☆
波乱必至の環境会議ついにスタート。早速とばしまくってマスコミの話題も集まるJ・Bがなんだかまともなことをしゃべっている。生きる時間の概念がズレている上にJ・Bに共鳴している非日常を生きるルージュメイアンの美しさと空虚さがせつない。コメディのりのリズムパートもいい。というか、それがあってこそ、シリアスなメロディーが響くのだと思う。
●CANON(IV・完)/潮見知佳 ★★★☆
吸血鬼一族と人間とのハーフの青年との間の戦いに巻き込まれた少女「かのん」の物語が完結。失われた記憶と、誤解による復讐も解決。ちょっとラストがあっさりしすぎのかんじ。

07/21(月)

綺麗ではいられない/やすはらあおい ★★★★
JUNE。死んだ父親の借金のカタにカラダを差し出せといわれて、強引に自称後見人の青年実業家の家に連れて来られた写真家の卵の少年の話。料金支払済娼婦として扱われて苦しみながら、なんとその相手に恋をしてしまう。なんとか自分を対等の人間として見てもらおうと、目端のきく友人の協力を得て、借金返済のため、マネーゲームに賭ける。借金を帳消しにできるくらいの株の取得に成功したが、肝心の恋する相手には裏切り者よばわりされて、真心を伝えるスキがない…。
ちょっと鬼畜だけど大筋では純愛系。口では意地悪なことばかり言うくせに、実は惚れている実業家がおぼっちゃま育ちのわりに屈折してるとこがよい。おまけの書き下ろしでは、本編では脇役のカップルが、両想いになるまでのエピソード。
●神様が遊んでる/風祭壮太 ★★★☆
教師と高校生のJUNE。昔の淡い片思いの相手に似た生徒と、酔った勢いでHな関係になってしまう。根がいいやつなので、恋人になったきっかけに自己嫌悪したりして、童顔の高校生に純情一途。昔の片思い相手もいまやゲイだが、彼の恋人は心理攻撃が愛情表現という、ちょっと上手のカップルなのだった。素直な恋人におさまっている主人公達よりも、そっちのふたりのドラマのほうが波風がありそうでいいのに。

07/20(土)

▼映画『ガメラ2』
なかなか楽しい出来。レギオンのネーミングは時々ゼラズニィの「わが名はレジオン」と混同して言い間違えそうになる(笑)。自衛隊を大活躍させるのは伊藤和典の18番か。ストーリーもそれなりにめりはりがあっていい。
細かいことを少々。女の子の部屋の本棚に「アロイス」があって萩尾望都をもってくるにしてもしぶいねー、と微笑ましく思ったところに「ゲド戦記」ってセリフでわざわざ言わせたのにはちょっとしらけた。あれはくすぐり効果を狙ったのかもしれないけど、いまいちじゃないかな。それと、霞の目飛行場での脱出騒ぎは、なんだか不自然。霞の目って仙台繁華街からちょっと遠いし、避難にしてもあそこに「前作のガメラと心を通わす少女」がいるのはあまりにわざとらしい。ゲガ人優先という風でもなかったし。もりあげるお約束だからといわれるかもしれないけど、「お約束」をなんとか理屈でまとめようとした前作に比べると、そのへん雑なのでは。飛行場で固まったガメラに子供の祈りが届くかのような表現はあまりにくさいので笑ってしまったですよ。
私はまだ『エヴァンゲリオン』の呪いがちゃんと解けてないので、レギオンの発するバリヤーを見て「ATフィールドみたい」とか、光るムチのようなもので刺すタイプの攻撃を見て「使徒ちゃんみたいだ」とか思っちゃって、我ながら困ったものだ。
けなしてるように見えるかもしれないけど、大変面白かったので『ガメラ3』が出来たらまた観ます。
愛しのロン/桃さくら ★★★
高校生JUNE。転校した先で、自分が死んだ犬のロンに似ているからといわれて急速に親しくなった相手との、ちょっとピントのズレたラブストーリー。両想いになってからのおじゃま虫エピソードなどもある。
巻末の短編は、学園ものと蛇の恩返し(笑)ものがミックスしたファンタジー。

07/19(金)

●月夜のヒロイン/大橋薫 ★★☆
表題作は変身狼女が主人公の元気なラブコメ。ほかには財閥の令嬢が素性をかくして社会勉強でアルバイトをする2連作コメディ。巻末短編はいじめ問題とオカルトを組み合わせたシリアスな話。
●図説オカルト恋愛辞典/明智抄 ★★★☆
霊能力者の島田くんが根っこをささえる短編が7つ。島田くんが主役の回もある。島田くんはバイプレイヤーも似合うが、たまにはいい目をみさせてあげて欲しい。

07/18(木)

□MAGAZINE BExBOY 8月号
かわみなみの、サッカー少年と芸能人が恋というでもないぼんやりした展開にじたばたする話が好調。中邑冴の連載は、今回、人情話風で30分のテレビドラマのようなムードだった。
■猫めしのサジかげん/綱島理友 ★★★★
『週刊朝日』の「歩く商品学」を抜粋・加筆したもの。いわれてみれば、すぐには答えられない商品についてのいろんな疑問を、メーカー側や関係者に取材して解き明かしてゆくシリーズ。日々疑問に思うことすらないようなネタを、淡々とレポートしている。この細かいところに目がとどく姿勢でずっと文筆活動をしているのだろうか。

07/17(水)

■後継者の鈴(シャドウ・サークル)/立原とうや ★★
コバルト文庫のファンタジー。主人公の少女が異世界のいざこざに巻き込まれる(一応ちゃんと理由はある)物語。悪い出来というわけではないがやや平凡。
■ウァシーラの伝説(シャドウ・サークル)/立原とうや ★★☆
自分達の苦難と、過去の伝説が入り乱れた冒険譚。恋愛を扱う比率が少しあがる。
■闇に吹く風(シャドウ・サークル)/立原とうや ★★★
完結編。事件は案内人の(かなり都合のいい)キャラにおぶさった感もあるが、一件落着。現実世界に異世界からの人間を連れ返って、大団円(?)。

07/15(月)

□小説b-BOY 8月号
鹿住槇のは『土曜日のウソツキ』に収録されている役者ものの短編と同シリーズ。メインの人物が違うので続編というほどではない。いい雰囲気なのでこれもシリーズものとして続けてノベルズにしてくれるといいなあ。私ってなんて「出版社のおもうつぼ」の消費者なんだろう(笑)。
Love Me Please/新田一実 ★★★
JUNE。僻地の研究施設に暮らす兄弟がいる。美形で天才科学者の兄が人間そっくりのアンドロイドを完成させる。弟が日常生活に必要な知識(これがまた料理とか、そういう本当の実技)を教えこむあいだに、恋がめばえてしまうのだ。
●舞姫七変化−悪霊転生絵巻−(1・3・4)/真崎春望 ★★★
出雲の阿国の生まれ変わりの少女が、ともに現代に転生した仲間とともに、各地でおきる霊魂によるトラブルを解決してゆく連作方式。

07/14(日)

▼映画『12モンキーズ』
これは面白かった。ブラッド・ピットのキレた演技も話題だったけど、やっぱりストーリーがいい。今はこのくらい時間を行ったり来たりするSFが普通にエンターテインメントとして成立するってことなのね。…いや、SFファンじゃない相手と話してないので世間の見解はよくわからないんだけどさ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の2や3がうけいれられたんなら、これもオッケーだろうと思うのよ。
しかし、なぜあの、わけのわからない事をわめきちらす乱暴で小汚いブルース・ウィリスに惚れるんだ、精神科医(笑)。誘拐された者が誘拐犯に抱く擬似恋愛ってやつのバリエーションなのかしら。
●CAPTAIN RED(キャプテン レッド)/藤田貴美 ★★★★
表題作はレトロな「海賊にさらわれたお姫様」もの。丘けいこを思い出しちゃって。せめて木原としえの『エメラルドの海賊』といったほうがいいのか。まあ古さでいうならこの場合五十歩百歩かもね。海賊の正体が実は…という設定も黄金のパターンだ。
それよりも、同時収録の『赤い群集』のほうが意欲作なのではないか。以前雑誌で読んだときも強烈な印象だった。戦争と、架空の新しい虫による死の病を軸にして、醒めた目と熱さと生きる力と暖かさと絶望を描いた傑作。50ページという短さとは思えないくらい良質。
●MIRACLE(4・完)/稚野鳥子 ★★★★
ハッピー・エンド。恋に苦しむこれまでの状況は読みごたえがあったけど、ラストを数年後の幸福な子育てシーンでしめるのはありがち。
●天(そら)も月も花も(1)/原ちえこ ★★★
少女漫画悲恋もの3作。これは雰囲気だけが似た感じのシリーズらしいので、どれも直接の関連はない。

07/13(土)

時に抱かれて/新田一実 ★★★
JUNE。人間界に生きるアモンとルシファーの物語。神族・魔物の戦いと過去の愛の記憶がふたりを追い詰める。アモンはルシファーの魂はかつての恋人アイリアのものだと思っていて、いっそう複雑。

07/12(金)

その男、凶暴につき/灰原桐生 ★★★★
JUNE。一見インテリヤクザ風の弁護士と大学生の歳の差カップル。やっぱり若い子がたらしこまれているように見えるけど、ぢつは純愛だからそれでもいいや。
話の流れのうえで、あれっと思った部分があって、ちょっぴり興をそいだ。雨のなかを徒歩で探しにいったくせに、そのすぐさま出て来た車はどこに止めてあったんだよ、とつっこむ私は心が狭いのだ(笑)。
TORICO/神田睦子 ★★★★
JUNE。Hシーンが多いのがツボ。盲目的なほど愛してるほうはさておき、受のほうの心理描写が不足しているので、あと一歩盛り上がれないのが惜しい。テレフォンセックス風3P(ひとりは電話の向こうだから本当は違うけど)なんかもH度高い。
●おかみさん(9)/一丸 ★★★☆
相撲部屋のおかみさんがメインの人生ドラマ。主人公のおかみさんが、おひとよしで涙もろく、そそっかしい、それでもって実は強情っぱり、というキャラクターで憎めない。
●天才柳沢教授の生活(9)/山下和美 ★★★☆
柳沢教授の、極端にデフォルメされた生活(いや、実際にああいう人がいたらこの書き方は失礼になるけど)がまわりの人々に与えるインパクトがこの話の面白さだから、周囲の登場人物のひととなりがとても大事。「鉄の女ババスキー」のエピソードなんてピリっとした印象がよかった。

07/11(木)

□ECLiPSE Vol.13
特に文句をつけるようなこともないが、そのかわり目立って心ひかれるものもない。これではいかんのでは。今回もまんだ林檎の4コマ漫画コラムが興味深い。
■私は変温動物/山田詠美 ★★★☆
エッセイ集。あちこちの雑誌に描いたものをまとめている。日記形式のパートが一番面白かったかな。

07/10(水)

愛しいひと/睦月朔子 ★★★★★
JUNE。一卵性双生児の弟とその恋人が心中して、弟だけが死んでしまった。生き残った恋人のほうは、神経性の精神病になり2度の自殺未遂など、悲痛な日々を送っている。弟の恋人をずっと好きだった主人公だが、うちあけることも、逢いにいくこともゆるされないまま10年間自分の恋心をひとりで抱えていたが、精神病から立ち直った相手に弟そっくりの(つまり顔だけなら自分にも似ている)新しい恋人ができたことを知り、ショックをうける。
生き残った弟の恋人に関する情報を長い間送り続けてくれた後輩、偽装結婚歴のあるレズビアンの保健室の先生、性的虐待をうけて心を閉ざした姪との心の交流など、主人公をとりまく人間ドラマも感動的。
WITHOUT YOU あぶない放課後・3/花郎藤子 ★★★★
JUNE。女装癖のある従兄弟がヤクザに脅されているのを助けようとする話がメイン。女装願望と男が男に恋をすることの違いなども語られる。

07/09(火)

■狂牛病パニック/石原洸一郎/鹿野司 ★★★★
現時点でわかっている情報をまとめたもの。ようするに、詳細不明、ということだ。
恋/鹿住槇 ★★★
JUNE中短編4つ。鹿住槇にしてはハードなほうかな。

07/08(月)

●日帰りクエスト4 見物気分の旅行人(前編)/神坂一/南天佑 ★★★★
お気楽ご気楽な異世界冒険行が、シリアスな人間対竜人の種族間戦争にまきこまれて大変なんだけど、くそ度胸の主人公はそりゃもうたくましい限り。
●きこちゃん すまいる/布浦翼 ★★☆
幼稚園児(♀)のとてつもなくませたガキぶりを描いて、ラストに、実は子供だからここまでは及ばない、といっておとす、が基本パターンの連作ショートショート。飼い猫が本当は天使だなんていう設定もあって、ほんのちょっとファンタジー。
●恋物語(9)/さいとうちほ ★★★☆
中編3つ。全部独立したラブストーリー。Hシーンありの少女漫画というか、Hシーンがソフトなレディースというか、まあ、そういう位置。
●野菜を食え!(1)/榊ゆうか ★★☆
父親の脱サラペンション経営により、都会暮らしから一気に田舎に引っ越した、野菜嫌いで虚弱体質の女子高生が主人公。転校した先でスキー部に誘われ(運動部はそれしかないと言われる)、少しずつ上達(?)してゆく姿をかわいく描いている。巻末読み切りは、スノーボードに夢中のBFにふりまわされる運動オンチの女子高生の苦闘ぶりがけなげだ。
●そうしてお伽話になる(一清&千沙シリーズ2)/柳原望 ★★★☆
なにせ戦国時代だから、戦で人がばたばた死んでしまう世の中で、政略結婚したふたりの物語。いわゆる親の決めたいいなづけ。国を守り治めることと、妻を愛することの両立をめざしたため、妻の実家筋からの圧力やら近隣の領地からのちょっかいやらと、不穏な事態が続く。そんな中で一見のほほんとしながら実はけっこうシビアな夫と、外見も中身も素直で一途な妻の純愛ストーリーがいい味だったりして。
絵はまだまだだけど、このままの路線でうまくなりそうだから、描き慣れるのを待つのもいいかな。顔は個性も引きもあるから、体をなんとかしてくれ(笑)。
●そりゃないぜBABY(8)/立野真琴 ★★★
シリーズも巻数を数え、エピソードを重ねながらじわじわと人間関係に変化がみられるような気が。このペースがとろいように思えるのは、私が短気なせいねきっと。
●イマジン(3)/槙村さとる ★★★★☆
OLをしている娘のほうは同じ会社の彼と相思相愛になったと思ったら、彼の転勤で遠距離恋愛。インテリア・コーディネーターの母のほうも年下の彼の子供を妊娠してしまい、できちゃった結婚としてプロポーズされる。でも彼女は子供を産む意志はない。
二組の進行形の恋を描くなか、とにかく際立ってるのは母親のセリフ。彼女のキャラクターの鮮やかさは他の追随を許さないわね。
●NASA(ナーザ)/伊吹巡/すずはら篠 ★★★
4つ集めると、天候を自由にあやつる竜神の力が得られるという中国の伝説の帝鐘があった。それを独占しようと企む二枚目の悪者さんに、優しくされてだまされて、自分が継承した帝鐘を奪われてしまった台湾の少年が、奪い返すために、日本に住む継承者の兄弟の家にやってくる。格闘技とやおいをミックスした現代ファンタジー。
●HOLD OUT!!(1・2)/加藤知子 ★★★☆
単細胞の熱血少年と、何を考えてるのかわかんないわりにツボを押さえたとこでいいこと喋っちゃう個性のきつい醒めた目の少年、のセットもの。後者のキャラが加藤知子の持ち味を活かす大事な部分。ほかには意地っ張りで素直になれないクールぶりっこのヤツとか(笑)。人物設定はともかく、ストーリーそのものの魅力に欠けた。

07/07(日)

□YOUNG YOU 8月号
「おいしい関係」が私のひいき。
□セリエミステリー 8月号
こだか和麻が忍者ものとな(笑)。和田慎二/葉月陽子のは大昔の別冊マーガレットでやってたみたいな派手な犯罪ものにH路線をプラスしてうまくいっているように見える。
この雑誌はレディースというにはマニアックな雰囲気もあり、やおい風味も許すし、ナチスドイツのヘヴィな話もありで、微妙な内容。
○加藤知子の「天上の愛 地上の恋」
  • T.K.ORIGINAL 1/T.K.ORIGINAL
    加藤知子が自分で打ち切りになった作品の続きを描いている。そうかー、あれは打ち切りだったのかー(笑)。話がしぶすぎたのかなあ。今連載中のより、私はこっちが好き。根性でこれを出し続けてほしい。器用なタイプには見えないので、書き下ろし同人誌はさぞ大変だとは思うが。

07/06(土)

●イティハーサ 第参部 不二・天音(8)/水樹和佳 ★★★★
ぶーけコミックス版。この作品は真面目にフォローしてないせいもあって、言及しづらいなぁ(笑)。設定は面白いと思うんだけど、何かがひっかかって好きと言えない。亜神と威神の性格づけのためか? これもいずれまとめて読んでから考えよっと。
●笑わすオトコ(2)/富永裕美 ★★☆
売れないお笑い芸人だった恋人が、人気者になってしまって、わたわたしてるラブコメ。ああ恋する女は強し(笑)。
●髑髏のはらわた/小野双葉 ★★★
女子高生が親の転勤で引っ越してきた。その街は一見普通なのに、強烈に違和感をはなっている。街そのものが結界となって住人をとりこんでいるということに気付く。が、逃げ出そうとしてもうまくいかないようだ。
街のとりこにならない精神の持ち主の青年と小学生と和尚と共に、街と戦うことを決意する、という構造は、そのまま現在の社会のありかたに異をとなえる姿勢、におきかえられる。戦うものは孤独だが呑み込まれて生きていくよりいい、というメッセージか。もしくは、自分の周囲の気に入らない出来事は、特殊な他者(組織だったり個人の呪いだったりするが)の悪意によるものだ、という歪んだ心理をそのまんま描いたものなのか。まあ、どっちでもいいんだけどね。絵柄がグロくて私にはちょっとしんどいぞ(笑)。青年が二枚目なのがせめてもの清涼剤だ。

07/05(金)

■香山リカのきょうの不健康/香山リカ・鈴木慶一・高橋幸宏・大槻ケンヂ ★★★★
精神科医の香山リカとの対談集。3人とも心の病について淡々と語っていて読みごたえあり。香山リカの自己分析もおまけについている。
Sincerely…−シンシアリー−(タクミくんシリーズ)/ごとうしのぶ ★★★
高校生JUNE。スキー合宿の雪山で超常現象にあう話。悪くはないが印象が薄い。
「目には見えていても認識できない」くだりで、説明が長くなるからとはぶいているところで、『姑獲鳥の夏』を読めといえば一発なのに、あの本は94年で、このシリーズは時代をあからさまにしすぎるネタは使わないほうがいいからなーと勝手に納得する私なのだった(笑)。
●ハーパーの秘密/陸奥A子 ★★☆
21歳のOLが主人公。親友の「失恋・お見合い・結婚」のハイペースな展開にとまどいながら、ぼんやりとした片思いの相手との急接近にどきどきする、ぽわぽわした話。
同時収録の短編のOLものは、うずうずした感情をあらわす言葉の使い方がきれい。

07/04(木)

神様も降りてこない森/金丸マキ ★★★★
芸大演劇科JUNE。自信家の演出家と、自分をとりえのない便利屋だと思っている舞台監督が、なりゆきで同居をはじめる。もともと片方は強気な相手に憧れていた。演劇公演直前に主役クラスのひとりが急病になり、セリフのはいっていた舞台監督の子が代役をしたら、役者としての資質が一気に表に出る。
どいつもこいつも素直じゃない。ひねていて、そんな自分をもてあましているから、いらん肉体関係がからんでこじれるのよ(笑)。終わりよければすべてよし、のラストはモラトリアムっぽいけど、なんだかさわやか。
緑の日々/神谷凪 ★★★★★
JUNE。中学2年生の男の子とひきとってくれた男(実は叔父)とその恋人(体が弱くて普通に働けない)の男3人暮らし。自分の身の上をおそわらないまま、男性カップルに育てられている彼にはいろいろ言葉にできない想いがある。
恋と思いやりや優しさは、どれも大切なものだけど、決定的な違いが生活の上にセックスとしてつきつけられる。愛情の大きさは測れないが、質の違いは表にでてしまう。彼らが薄氷を踏む思いで、何を偽り何を得ようとし何を守ろうとしたのか、が切なく語られ、美しい。
●コックリさんが通る(1)/奥瀬サキ ★★★☆
主人公の狸の女の子に魅力がないのがまずい。そのかわり脇役のドラーイな狐ちゃんと探偵の天狗くんと戦う神父のにーちゃんが、一癖も二癖もあっていい。狸ちゃんの自覚と成長を描きながら、妖の者と肉弾戦をしていくスタイルで、社会風刺をするのは悪くない。現状認識とエンタテインメントの綱渡りのバランスが不安定なのが読みにくい原因なんだろうか? そこが奥瀬がずっとこだわっているコアの部分なんだとすると「絶望的なリアル」こそが彼の描きたいことなのかもしれない。そこを押さえたままで読みやすくする努力をしてもらえるとうれしい。
それと、斜にかまえたユーモアのセンスは、表現としてなくさないでほしい。あれがなくなると暗くて読めないと思う。

07/03(水)

▼OVA「機動戦士ガンダム0083」第1話〜第13話(終)
一気に見るとネタを忘れなくていい、それではあまりに情けないか。
なにかといえばコロニー落としって、もう、そればっかねガンダムは(笑)。全体としては面白かった。でもラストシーンでは、おねーちゃん、主人公に銃向けておいて(そのこと自体はかまわないのよ)、再会したらためらいがちに笑って、それですむのか、おい、とつっこんでしまいましたね。美人は得ってことなの? 
●Rust Never Sleeps(ラスト・ネヴァー・スリープス)/杉本亜未 ★★★☆
表題作は10年ぶりにあった元クラスメートが殺し屋だったというシビアな物語。結実することのない幻のような限りなく恋に似たなにか、が美しい。
カンフー・シスター物はコメディというには切れが悪いので、ユーモアセンスはシリアスな話の中にとけこませるに留めて、コメディ勝負はやめたほうがいいのでは。
前世を語る少女の話は笑顔が切ない。どの笑顔も。
●特務戦隊シャインズマン(5)/橘皆無 ★★★
特撮戦隊もののパロディの形の漫画が特撮じゃなくアニメになるのも世の流れなのね。漫画のスタイルそのものはOVA風だからちっとも不思議じゃないけど。

07/02(火)

●伊平次とわらわ(1)/坂田靖子 ★★★☆
墓守の伊平次と、中納言の姫と自称する犬の姿のわらわが、もののけやら幽霊やらの事件を淡々と切り抜ける連作短編。
●風霊王 −KAZEOH−(3・完)/あもい潤 ★★★
生まれ変わり系+精霊系ファンタジー。リストを調べたら1・2巻は'91に読んでいた。実はオチも雑誌(ASUKA)では読んでた気がする。今回は3巻まとめて読み返したので記憶力がボロボロの私でも困んなかった。

07/01(月)

いけない生徒会室/井村仁美 ★★★★★
高校生JUNE。男子校でなりたてほやほやの生徒会長が恋をする。その相手は綺麗できゃしゃな美術部部長で、幼馴染み兼恋人と噂されている剣道部部長がつきまとっている。三角関係の幕開けかと思いきや、あっというまに両想い。だが、めでたい初Hのあとも感情のもつれは続く(笑)。
生徒会に部活動に何組ものカップル(とその予備軍)と、学園もののお約束満載。頭がいいという設定のわりに直情型で視野の狭い会長を、毒舌ぎみの端正で眼鏡の副会長がフォローするというのもセオリーながら好感がもてる。それにつけても、このテの作品の生徒会室にはなぜかいつもソファがある(笑)。現実にそんなにあるものなのか? せいぜい折り畳みスチール椅子じゃないの、とロマンのない事をついつい考える。単に私の出身校が貧乏だったというだけなのかもね。
■オタク学入門/岡田斗司夫 ★★★★★
オタクとはどういうものか、を赤裸々に綴る「濃い」本。「通・匠・粋」をキーワードにこの本でいわれている「オタク」はそれぞれすごいレベル。世間一般に「オタク」と呼ばれているのはこんなすごい人ばかりじゃないと思うけどね。
年代別の代表的な「オタクの部屋」のページは、うわぁツボを押さえてる、と夫と二人でうけてしまった。経済力に難があった上に根がせこい私の部屋は、あそこまでではなかった。ビデオもJ9じゃなくてマックロードだったし、イデオンの録画に努力していた頃のビデオテープの値段は5000円位だったし、と我身と対比させて過去をぱぱぱーっと思い出しちゃった。
ほとんど同じ設定枠の物語の「趣向」を楽しむというスタイルの説明はおもわず納得してしまった。ある路線の話をえんえんと楽しめる私としては(笑)。
●好きさ、しびれるほど/小沢孔璃子 ★★★
JUNE漫画短編集。Hシーンいっぱいのわりにはヌード絵のバランスがいまいち。そこはかとないユーモアが流れている作品と、どシリアスな作品が混じっている。
●雲上楼閣綺談(四)/後藤星 ★★★
仙人を目指して修行する少女の物語。天界人と地界人のいさかいにまきこまれながら不思議な力を身につけてゆく。主人公が明るくけなげな少女から、ひとりの女性に成長する過程を描く(んだと思う)。この巻でやっと初潮なので、仙人様との恋物語はまだまだかな。
●ボディガードα/祐天寺あこ ★★☆
主人の細胞の一部を使って造られた(ってことは人造人間の一種?)ボディーガート"獏"とその主人のちょっぴりJUNE風いちゃいちゃストーリー。"獏"は主人に必要とされなくなったら細胞分解で消えるという設定。それなのに"獏"以外の文明レベルは全く進歩してるようにみえない。これはやっぱりSFというよりメルヘンなのね。
●キスの距離(博美のロマンス・BOX2)/小林博美 ★★☆
レディース系ラブストーリー短編集。
●ぼくは神様!/牛島慶子 ★★★
『フレッドウォード氏のアヒル』は終わるべくして終わったからそれはそれとして、今度は、小動物風の神様の子供と人間の女の子の物語。目に星をいれたりして絵柄を少女漫画風にしようとしてるみたいだけどおさまりが悪い。同時収録の魔女の卵のファンタジーのほうが出来はいい。
●X(8)/CLAMP ★★★★☆
この巻で話の構造が一気にわかりやすくなった。いやいやオールスターキャストで出しおしみなし、たいへんけっこう。昴くんの顔が暗いのは当然として、手袋してないわ。『東京BABYLON』で手に刻まれていた五芒星がなかった。どんな秘密が。
●いつでもお天気気分(1)/羅川真里茂 ★★★★
高校生学園ドラマ。瞳うるうるの女の子達は厭味がないし、利発な女の先輩は本心はともかく強気でたくましい。男性陣のキャラも個性的な上につぶぞろいでナイス。


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