<H1>菊池鈴々の「RinRin日記」</H1>

96年6月分

それぞれタイトルのあたまにジャンルの目印をつけています
主な内容は、■本 ●漫画 ▼TV □雑誌 ○同人誌 など

■本と●漫画は独断評価つき(5点満点:★1点・☆1/2点)
文中敬称略

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06/30(日)

□NOVELS JAKOW Vol.3
みかん畑の「自称」ホモの先輩と勘違いとなりゆきのままに同居をはじめたノーマルのつもりだった後輩のラブストーリーがいい。ホモとオカマと女装者の違いも知らない上になんだかいろいろとはきちがえてる先輩と、それにふりまわされてしまう後輩のキャラクターのとりあわせがなかなかいい。この先輩のはきちがえぶりをいかして続編も作れるのではないか。
瀬崎貴矢の異母兄弟ものも、キレちゃってる兄に無理矢理てごめにされてしまう弟の物語。結局はハッピーエンドとはいえ、兄の、言葉で説明する能力の欠如は、性格づけというには極端すぎる(笑)。

06/29(土)

□小説花音倶楽部 8月号
森岡由宇子の、以前いいネタだなと思った(元)縄師で大学生のおにいさんの続編がうれしい。ここはひとつ「好評につきシリーズ化」ってのを期待する。好評にちがいない(笑)。
桂木ミカは、「初恋」と「自我のめばえ」がセットだった前作の続編。今回は「依存」を否定して「恋」を認めあうところまで。よしながふみのイラストの真正面アップの表情が、キャラクターの必死だけど不器用なかんじを端的にあらわしていてよい。

06/28(金)

□BE・BOY GOLD Summer
付録ポストカードがなんとめずらしいことに「実用可」だ(笑)。
それはさておき雑誌は全体に好調。今回は小説がふるわなかった。
僕達の迷い道(泉&由鷹シリーズ12)/あさぎり夕 ★★★★
読者の声やその他もろもろの都合でボツにした濡れ場を同人誌で出そうか、と後書きにある。ここまでHなのが通ってるのに、まだボツがあるとは(笑)。

06/27(木)

■漫画の時間/いしかわじゅん ★★★★
漫画レビューてんこもり。私のフォローエリアと重なる部分については、いろいろ思うところがある。読んだことのない、おそらく今後も読むことのなさそうな作品のレビューがかえって楽しめた。そんなものかもね。
●螢火幻想/天城小百合 ★☆
生まれ変わり系と魔法系と精霊系のファンタジー短編集。どれもJUNE風味。
●ぴくぴく仙太郎(2)/布浦翼 ★★★
ペット漫画。独身男性イラストレーターが手のりサイズの小さいウサギと暮らすほのぼのコメディ。子煩悩ならぬウサギ煩悩の姿がなんともいえない。
●逃亡急行/篠原千絵 ★★★☆
タイトル作ともう一作、ともにサスペンス物。両方とも殺人事件にまきこまれて濡れ衣をはらすために四苦八苦するコンセプト。

06/26(水)

●天は赤い河のほとり(5)/篠原千絵 ★★★★☆
古代ヒッタイト帝国に現代の女の子が引きずり込まれたファンタジー。この巻はミタンニとの戦いがメイン。主人公がミタンニ側の皇太子に捕らえられるが、運よく、たくましく生き延びる。
●風の城砦(カスバ)(1〜4・完)/河惣益巳 ★★★☆
19世紀末、フランスの女伯爵が「青い瞳の娘は20歳前後で無残な死をとげる」という伯爵家の呪いを解くために、いつ死ぬかと怯えながらも謎に挑む話。タフな主人公と、一見優しそうでいて実はかなり押しの強い婚約者のカップルが不思議と似合っている。外人部隊にいた伯父、いとこのアルジェリア闘士と霊媒体質の虚弱な青年、妖刀を持つ日本人剣士、盲目の老婆、と役者もそろってスピーディに展開する。

06/25(火)

□小説JUNE 8月号
前号の読者の手紙欄で、クリスチャンの夫(結婚したばかり)に『小説JUNE』がみつかり男性同士の恋愛小説を強く拒否された話が掲載された。それに対する多くの手紙が紹介された。自分自身がプロテスタントの福音派という人、夫が日本キリスト教団の牧師で本人も信者という人、結婚一年目で夫には隠している人、元クリスチャンの人などそれぞれに熱意のある内容で読みごたえがあった。
私自身も夫も信仰心がないので、宗教とのジレンマはないが、「ここだけはゆずれない」という部分が違う人間同士が共に暮らすことは、なんであれ難しいと思う。家族ならなおさら。
□小説REIJIN VOL.3
波津彬子の隔月掲載の短編がとてもいい。でもページ数がたまってコミックスになるのはすごい先の話。
水月薫の読切は、もうもろに「直江!」(笑)。同人設定をアレンジしてオリジナル作品にしているのはこの人だけじゃないから別にかまわない。好みの男のタイプが今そこらへんだということだろうから、しょうがない。
●女冥利1994(1〜2)/榊ゆうか ★★★
生徒会長を引退した知性派少女が、年下でスケコマシの男の子とつきあいはじめてまきおこる数々のトラブルをくぐりぬけるラブコメ。

06/24(月)

ロマンスの震源地/新堂奈槻 ★★★★
学園JUNE。誤解と真実がまじって、はたから見ると愉快な三角関係。続編を待つ。
●KI・ME・RA(2・完)/こだか和麻 ★★★
SF設定。OVA化。OVAっぽいハデな話ではある。ラストにマッドな科学者が設備ごと生き残った。心をいれかえてもいないみたいだし、すっきり感がない。
●Wish(1)/CLAMP ★★★
天使が人間界にやってきて、優しい青年に助けられながら人探しをする話。メイン作画が猫井みっくなので、CLAMP作品だけど、もこなあぱぱメインのものとはだいぶ毛色が違う。絵柄は似ていても「ふわふわ」した感じが、どすのきいたもこな絵とかもしだすものに差がある。
●白の悠久 黒の永遠(1)/原ちえこ ★★
時代劇ファンタジー。母の遺言で翡翠の玉を渡すために平清盛のもとを訪れた娘が主人公。清盛の魂を狙う海の魔物の配下である烏の化身が、ちょっといい男なのがポイントか。
●LA VIE EN ROSE(ラヴィアンローズ)(1)/高河ゆん ★★★★
20第後半漫画家・サラリーマンの夫あり、の生活を描く各8Pの連作短編。
高河ゆんの作品の中ではかなりいいほうだと思う。日常の一面をきりとって見せる感受性重視の作風がいい部分として出ている。おっきく出たはいいけど尻切れとんぼとか破綻がぼろぼろのSFやファンタジーでは、いいシーンや素敵なセリフがあっても、そこだけでは評価しづらいもん。
●BUD BOY(5)/市東亮子 ★★★☆
「花の精」をとりまくファンタジー。このいいかたって嘘じゃないけどニュアンス違うわ(笑)。人間界で暮らす花の皇子がげしげしに元気な男の子で、春を司る東皇使が端正な二枚目、香を司る妙香花仙が長髪の優男、というバランス。ラジオドラマ&CD化ということで声優キャスティングが載っていたが、作者本人が声優好きではじめから声のイメージをはっきり持ってたらしく、それがかなり反映されているとのこと。

06/23(日)

微熱 特等席・2/吉田珠姫 ★★★
拡大文字とか、セリフのまわりの記号飾りとか、「表現上の遊び」がたくさんあって、それはそれで新基軸なんだけど(筒井康隆や夢枕獏がやったようなのもあるから、新といいきれないものもあるのは別にいいとして)、肝心のストーリーは、完全に脇役の「向井・姉」にくわれていて、彼女がとばしまくっている。狂言まわしというより、一番キャラがたっているではないか(笑)。
□新世紀エヴァンゲリオン フィルムブック(7)
TV版19話。初号機が「使徒を食う」回。
□YOUNG YOU 7月号
望月玲子の読切は、主人公にすっきりきっぱり言いたい事を言いわせている姿がすがすがしい。
○THATTA 121号
編集長がさぼったので、埋め草として私の漫画がふえてしまった。才能に窮するワタクシとしては、我身をけずったギャグでしのぐしかない。SIGH。
○桑原水菜の「炎の蜃気楼シリーズ」
  • Flourish Garden/帝国狂詩曲
    緋色実の表紙が、この人にしては信じられないくらい、バランスがくずれていて出来が悪い。いつもはもっとちゃんとしてるのに。

06/20(木)

題名のない物語り/S・稔也 ★★
鬼畜風ショタJUNE。近親相姦の異母兄弟の弟の方に恋をした心臓病をかかえる小学6年生が主人公。中で語られるファンタジーのストーリーと実際の恋との関連づけがよかった。だだ、主人公のラストの行動がどうにも極端すぎる。

06/19(水)

●ツーリング・エクスプレス(21)/河惣益巳 ★★★★
少女漫画のゴルゴ13はいつまで続くのか。派手な展開は好きなので、どんどん新しい悪の組織でもなんでも出してインターポールのパパを忙しくさせてね。

06/18(火)

●月姫(1)/穂実あゆこ ★★★
大正時代のオカルトファンタジー。絵柄は可愛いタイプなので、化物が出ても怖くない。このまま、グロい方に走らずにいてくれる方が、私としてはいい。

06/17(月)

□小説 Passion VOL.7
月上ひなこのシリーズは少女漫画アレンジ路線で、著麻のは前作は誤解強姦ものだったけど今回はBまでで、西条公威は近親相姦ショタときて、雑誌の中でのH度がけっこうばらばら。単発読み切りが意外と少ないことに、今、気がついた(^^;)。評判のいいものの続編を載せることにしたらそうなったのかな。
絶対の領分 I/鹿住槇 ★★★★
学園JUNE。偏差値も学風も違う高校が理事長の都合でいきなり合併して、生徒達は大混乱。制服も違うので校内での派閥がはっきりしすぎるし、生徒会役員も二組だ。選挙でまず生徒会をひとつにまとめることになった。片方の生徒会長は幼馴染みで、もう片方からは恋をうちあけられてしまった高校一年生が主人公。彼がどっちに投票するかで当否が決まりそうなギリギリの選挙なのである。
自分の気持ちをうまく把握できずにじたばたする元気な主人公が、かっこいい系と優しい系の恋人未満の相手との気持ちのもつれの中で成長していく姿に好感度大。ワキ役の意地悪な副会長がくわせ者っぽくてちょっといい。
この一瞬を愛して…/緒方志乃 ★★
芸能人JUNE。『その永遠を君に…』の続編。独立して読んでもかまわないようにできている。
売れっ子アイドルが、プライベートでのブラジル旅行中に新しい恋の始まりが訪れる。あまりにもペースの早い恋だったので、ちゃんと理解しあう前にその相手に拉致監禁強姦されてしまう話。
●パナ・インサの冒険(1〜3)/飯田晴子 ★★★★
連載誌が『コミックコンプ』から『ファンタジーDX』にお引っ越しした、わりとしっかりしたファンタジー。絵がとてもうまいし、話もちゃんとしてる。それなのにそれなのに、レイアウトのクセがきついのか、漫画としては読みにくい。「漫画」は絵物語とは違うのに。『風の谷のナウシカ』や『ファイブスター物語』も、「読みにくさ」という点では同様に、ある種、読者を選ぶスタイルの作品だ。この作者もそこまでのレベルまでいってしまえば一気に評価があがるんだろうけど、3巻までの印象ではまだちょっとつらいものがある。

06/16(日)

●enfant terrible(アンファン・テリブル)(1)/新世紀エヴァンゲリオン同人誌アンソロジー
パロディ漫画とその作者の同人誌の紹介がセットになっている。同人誌よりの再録といってもプロ多数(笑)。ギャグがほとんどの中にちろりとシリアス物がまじっている。
●只今初号機整備中/新世紀エヴァンゲリオンパロディ競作集
パロディ集をたった3冊読んだだけなのに、こんなに同案があるからには、コミケではさぞかし…。
□CARESS VOL.7
吉祥寺倶楽部でデビューした、えのもと椿が巻頭カラー。
□NOVELS JAKOW Vol.2
この号はSF・ファンタジー色が強い。でも一番よかったのは麻生亮子の絵描き高校生JUNEだったんだよん。羽柴舞子の退魔師ものはキャラ紹介にHをつけただけのような手応えのなさだった。篠崎一夜の現代吸血鬼ものはH部分はわりといやらしくてよかった。魔鬼砂夜花が一番古典的なファンタジー設定だったけどつまんない。
□b-BOY Vol.27
ショタコン特集号。なぜ「男の子向けポルノの、やられ役の女の子を男の子にすげかえただけ」というタッチの作品がこんなに載るんだろうか。いわゆるJUNE系でもなく(おそらくは)さぶ系でもないオリジナルやおいを否定はしないけど「違うよなーこれってー」と思う気持ちは大きい。H度レベルの問題ではなくて、センスの違いなんだけどね。そういう男の子向け系列の需要があるなら、そういうのだけでまとめて欲しい。買わずにすむから(笑)。
●闇のアレキサンドラ(4・完)/原ちえこ ★★★
17世紀イタリアの身代わりサスペンス。こじんまりと終わってしまった。もっと派手なピカレスク・ロマンを期待していたのに。

06/14(金)

□小説b-BOY 7月号
五百香ノエルの新連載がヤングアダルト・ファンタジー枠の未来物。一応、地球の話。いったん現代文明は破綻して、新たな勢力争いを繰り広げている。そんな中で、海賊のものにされた王子サマ(JUNEだからお姫サマじゃない)の話とは、私のツボをつく(笑)。でも、帝国軍の武力のサイズ描写がいまいちピンとこない。「奇跡の人形」って、巨神兵くらいなのか、ガンダムくらいなのか、ガンタンクみたいなのかよくわかんなくてちょっとイライラする。
小林蒼のは、他人とのコンタクトに不器用な少年の音楽業界話で、あたたかいラスト。この作者は、言葉で自分の気持ちをうまく伝えられない男の子が好きなのかも。

06/13(木)

それはスキのせい/五百香ノエル ★★★
学園JUNE。可愛いコとかっこいいコが嫉妬や悪あがきをしながら、両想いになる話。書き下ろし続編の、自分ではクールなつもりの美少年のキャラがわりといい。
●アルカサル−王城−(1〜5)/青池保子 ★★★★
昔、はじめのほうを読んだ記憶があるが、定かでない。雑誌で読んだのかも。
14世紀に実在した、カスティーリャ王ドン・ペドロ1世の物語。連載中は長い中断があったが、まとめて読むとドラマにうねりがあって面白い。

06/12(水)

薔薇の妙薬 ヨヒアの国でいちばん美しい娘/森福都 ★★★★
ホワイトハート大賞エンタテインメント小説部門優秀賞。
「未来の書」という予言書の「公子がヨヒアの国でいちばん美しい娘を生涯の伴侶として連れ帰る」部分がメインのファンタジー。「未来の書」の予言をはたすために最大の努力をすることが大公家の重要なつとめだった。公子は心に決めた娘がいたので、彼女にプロポーズするつもりだが、民族の違いがあり、彼女が自国の基準で「いちばん美しい」かどうかの自信がなかった。老婆から、飲めばその者を「ヨヒアの国でいちばん美しい娘」に変えることのできる秘薬をさずかる。予言通りに従者をひとり連れて公子はプロポーズにゆく。
登場する娘達の、容貌に対する考え方などもシビアでいい。上記の予言の全部にひっかけがあるところがうまい。「生涯の伴侶」って言葉選びが一見さりげなくてワザがきいている(笑)。
●ナイルのほとりの物語(8)/長岡良子 ★★★
長岡良子の作品でこんなに続いたシリーズは初めてかしら。連作形式が性にあってるのかもしれない。

06/11(火)

▼開運!なんでも鑑定団
円谷プロの倉庫から、マットアロー1号が出た。本物は本物だけど、ボロボロになっていたのをリフォームした物だということだ。リフォームしたスタッフも円谷プロの人のはずだから、純正円谷プロの物であることはまちがいない。一応50万円の値がついた。これはオークションならはじまりの値段だから、どこまで上がるかわからない、というのが鑑定人の言。

06/10(月)

□麗人 7月号
内田かおる快調。極楽院櫻子の、鬼畜な男なんだけどついほだされてしまう話もわりと好き。
●[A-COLLECTION 41] EVA−C
MOVICが出したエヴァンゲリオン・アンソロジー。健全ギャク描下本、とわざわざ表紙に書いてある(笑)。まあ、H系がイヤな人はイヤだろうしな。客筋をはっきりさせるのは大変正しいことだと思う。
●約束/甲斐絵恵子 ★★★
『麗人』掲載のハードめのJUNE漫画。恋も一応ちゃんとある。
●火輪(かりん)(6〜9)/河惣益巳 ★★★★
中国風ファンタジー。入り組んだストーリーをちゃんと考えてから描いているっていう感触があって、こころづよい。いきあたりばったりの作品が最近多くて。それで面白いケースも多いので、一概にはけなせないんだけど。「伏線ってコトバ、知ってる?」っていいたくなるようなものとは、一線を画している。
●烈華封魔伝(4・完)/葉月しのぶ ★★★
掲載誌の『プリティ』が休刊のため中断。でもこの登場人物と設定で角川書店で続きを出すことになったと書いてある。現代もので、一見オカマの美形退魔師と式神使いの陰陽師の凸凹コンビは、この作者の作ったキャラのなかでは、郡を抜いて出来がいいので、角川もナイスな判断だ。この人が今、角川でやってる話はいまいちだからね(笑)。
●プラチナジャングル(3・完)/すずはら篠 ★★★★
死者の魂を除霊してつくる「カケラ」を、死んで生まれた弟に与えて命をつないできた兄弟の物語。兄の集める「カケラ」を定期的にもらわないと生きられないことに負い目を感じる弟が、体を回復させてくれた謎の医師に兄をとられたことにより、兄への想いが、負い目だけじゃなくて愛なんだと自覚する。生きた人間からエネルギーを奪う特殊能力を持つ不老不死研究者の医師は、死者からエネルギーを摂取できる兄と二人で組めば、効率がいいなんてほざいて(確かに効率はいいかもね)いたが、兄弟の絆をなめてかかったのが敗因となって死んでしまう。その戦いのどさくさで、生き残った兄弟はふたりとも普通の体になって、めでたく(?)禁断の愛の道へとあゆみだすのだ。あれ、ついつい長い説明をしてしまったわ。
掲載誌の都合でか、やおい描写はそんなにはっきり描かれていない。でもまあ、まるわかりです(笑)。
●エリザベート/原作脚本:ミヒャエル・クンツェ/翻案:小池修一郎/森川久美 ★★★☆
宝塚版と連動した内容のエリザベート。「死」の象徴として「両性具有的なロックスターのような青年」を登場させているのが舞台版の特徴ということのようだ。
●放課後の職員室/こいでみえこ ★★☆
同人誌からの再録と書き下ろしをたしたJUNE。この人も絵の変化がけっこう激しいんだ、というのがわかる。この本はわりと古いから。
●雨の日は恋をする(6)/坂井久仁江 ★★★☆
ラストの一作は、メインキャラがほんのちょい役で出るだけの独立した話で、元アイドルのサラリーマンと現役アイドル追っかけOLの心のふれあい(笑ってはいけないかも)を描いちゃってていい。
●天を見つめて地の底で(14)/高橋美由紀 ★★☆
かなりの巻数が歯抜けのまま読んでいるので、普通に読んでいれば、もっと感動するタイプの話のような気がする。現状で採点するのはフェアじゃないけど、一応つけました。
●流鴬(りゅうおう)(煌如星シリーズ)/藤田あつ子 ★★★★
中国ミステリー。いつもすました表情で事件の謎を解く煌如星が、妻に「何か面白いこと言ってみせて」と言われてうろたえる姿にシンパシーをおぼえる。
●ラヴァーズ・キス(II・完)/吉田秋生 ★★★★★
いくつもの恋が錯綜する高校生の夏の物語。これで終わりだなんてもったいない。話ごとに視点が違うんだし、もっと続けられるタイプの話なのに。この「腹八分目」的な終わりのほうがこの先のビジョンを読者が考えられていいってことなのか。

06/09(日)

□小説花丸 初夏の号
月村奎がひときわセンシティブでいい。この人は去年の『小説花丸秋の号』で花丸新人賞でデビューした。その受賞作もかなりよかった、期待大というところ。
花郎藤子の「黒羽と鵙目」シリーズは、二人の台詞のやりとりが、というか、一方的に巻き込まれる鵙目の往生際の悪さがすごく愛らしい(笑)。Hシーンもあるにはあるが、わりとそのへんはあっさり書いている。石原理のイラストがばっちりマッチしていて文句なし。
●放課後革命(アフタースクールレボリューション)/楠本こすり ★★
高校で問題児ぞろいのバスケ同好会を、部にするために走り回る男の子が主人公。絵柄はかわわいいけど、話がピシッとしない。

06/08(土)

■フィリッピーナを愛した男たち/久田恵 ★★★★
大宅ノンフィクション賞受賞作。フィリッピーナと日本人男性との出会いや恋や結婚を、取材にもとづいて、仮名を使ってまとめたノンフィクション。お金で横っ面をはたくようなイメージを持ってたんだけど、それだけではない、それぞれの生き方を具体的に淡々と描いている。うまくいってるケースもあれば、そうでないものもある。'89年の出版なので、現状はまた変わってきているはずだけど、この時点でのリアルなレポートとしての価値は大きいと思う。

06/07(金)

□MAGAZINE BExBOY 7月号
水城せとなのキャラの見分けがますますつかなくなってきた。それは、もちろん私の方のキアイが足りないせいなんだけど、キアイを使って読み返すノリがないせいもある。数年前に初めてこの人の漫画を読んだ時のインパクトはすごかったし、今も、似た絵があってもそれはすべて「水城せとなのパクリ」にしかならない独特さをはなっていて、はっきりと「自分の空気」を持っていることに拍手する。今連載中の作品は長いし、意欲作なんだろうと思うけど、漫画そのものに勢いを感じなくなってきたのは残念だ。

06/06(木)

●LIVE!!(2・完)/市東亮子 ★★★
臓器移植用に子供を隔離して育てているってのは、もう前の巻でバレバレなんで、こう、おおげさに描かれると、ちょっとしらける。でも全体としては面白い。掲載誌の改名にともなって、タイトルを変えて改めて新連載、ということらしいので、続きはちゃんと出るみたいでよかった。
●ハムスターの研究レポート(4)/大雪師走 ★★★☆
4コマ集。人間の絵柄が、いまひとつデフォルメもハンパで、たいしたことないんだけど、ハムスターがすんごく可愛いので、全てオッケーになってしまうケース。
■スウェーデン館の謎/有栖川有栖 ★★★
これは長篇ミステリー。2/5ほど読んだところで、犯人と動機の予想がついちゃって、それがわかったら自動的に突発的な殺人だろうってだいたいわかるし、「ああっ、まだ火村先生も出てきてないのにいっ」と、ちょっぴり損した気分。もちろん細かいトリックまで全部わかったわけじゃないけど、WhoとWhyがわかっちゃったら、楽しみが半分だもん。コロンボ方式じゃないからさ。メインストーリーとは別に、スウェーデン人のおじいさんの日本論はちょっといいかんじだった。
ついでだから書いちゃおう。「ファンタジック」という言葉は、英語にはない。和製英語の亜種というところか。間違いも普及してしまえば、そのうち国語審議会も許容してしまう世の中、英語のミスごときでガタガタ言うのもなんなんだけど、つい最近そのミスでいじめられたばっかりなので、書いてみたくなった(笑)。

06/05(水)

■ロシア紅茶の謎/有栖川有栖 ★★★
ミステリー短編集。臨床犯罪学者・火村と友人の小説家・有栖川有栖のシリーズが6編。どれも面白かったけど『ルーンの導き』のダイイング・メッセージの部分だけは、あれでアレのことっていわれても納得できないわ。ミステリーなので詳しくは書かないけど。

06/04(火)

□小説I'S(アイス) 7月号
この号は全部読んだぞ、ふう。
五百香ノエルの連載は、やっとこさ登場人物が自覚的に行動しはじめた。こうでなくては。
高坂結城のアイドルとJリーガーの話が、恋とHのバランスもよく、まとまっている。
篁釉以子の『プロメテウスの肝臓』は、昔よその雑誌で(だと思うのよ、この雑誌は新しいから)応募原稿のなかで入選だか佳作だかをとったものとタイトルが一緒で紹介されていたあらすじも同じ。デビュー前の持ちネタを大事にあたためていて使ったのね。今回は前編のみなんだけど、つらい話。どうするるんだこんな救いのない話を、と言ってしまいそうなほど暗い。無理心中とか片方の死亡とか安直なオチでない事をのぞむ。いやしかし、このあと恋に落ちるっていう展開も無理があるような気もするしなあ。「苦悩する魂」の物語だからこそ、文章力とか構成力とかいう以前の、「作者のスタンス」が問われるのである。

06/03(月)

ちょっと過激な恋物語/雅桃子 ★★★★
高校生JUNE。「可愛い生徒会長」をはさんで「一目惚れの転校生」と「ずっと密かに想い続けていた副会長」の三角関係。はじめはそれぞれ独占しようとしていたが、後に過激な3Pになってしまう。でも、それで本人達は幸せらしいからいいか。
●ALEXANDRITE(5・6)/成田美名子 ★★★☆
コロンビア大学の学生のアレクが主役。成田美名子の絵柄は好きだし、エピソードもひとつひとつのレベルが低いわけではないが、どうも「引き」がない。
●てっぺん(7・完)/万里村奈加 ★★★
バイタリティあふれる九龍育ちの天辺(ティエンピン)のサクセスストーリー。日本人である母親の記憶喪失もなおり、はれて親子の名乗りをあげ、母の商社がらみの仕事も一段落。日本で知り合ったたくましい仲間とともに、これからも世界をまたにかけるビジネスに燃える、という大団円。ラブストーリーの番外編と、独立したサスペンスも収録。この作者はサスペンス系の作品が多かったので、天辺という破天荒なキャラクターのビジネス漫画は意外だったが、スケールの大きい派手な展開が楽しかった。
●大正洋食倶楽部 懐古的洋食事情(5)/市川ジュン ★★★★
大正時代の洋食を扱う、というのが共通項で、それぞれ違う性格の女主人公達が芯の強さをみせるシリーズ。掲載誌も転々とした、とはいっても、基本的にはレディースコミック誌。食生活・恋・自立、と地道なテーマで良質のレディコミである。

06/02(日)

●八雲立つ(4)/樹なつみ ★★★☆
怨念ふきすさぶ和風ファンタジーに、しっかり少女漫画のツボもおさえてあるところが、けっこういい。
□小説イマージュクラブ 7月号
時代物特集ということで、上杉可南子の表紙、という起用はいいんだけど、出来はなんだかパッとしない。
目立っていいのは桜野粧子の短編漫画だった。
○井上雄彦の「SLUMDUNK」本
  • 正義の味方をあてにしろ!/ブギウギキャット
  • Positiveで行こう!/ブギウギキャット
    基本は三×暮。寿染子がメインで若干のゲスト有。このゲストの正体や寿染子の別ペンネームで話題をよんだせいで、この同人誌がうちにまわってきたみたい。この、埼玉の星ってペンネームの人の話題がとくに出なかったのは、考えるまでもなく本橋馨子だってわかるからか。でも、真横向きのカットがなかったら、三暮の絵柄がこなれてなくて「本橋馨子のマネの人」にみえちゃうよね。
  • ALL of ONE/CURVE
    豊玉の南くんがメインの南・岸本・流川。おまけの洋平×三井もあり。どれもHはない。恋のもどかしさなんかがよく出てる。
○千金の夜 総集編・上/発行の微笑女(今市子)
オリジナル漫画。小説家の男ふたりのなんともいいがたいくされ縁のシリーズ。長いことやってるうちに、相当絵柄が変わっているのがわかる。いい方向に変化していてうれしい。飄々とした部分と繊細な部分のバランスがとてもいい。
○TEMPTATION 15°/オオノサトシ
オリジナル漫画。恋も欲望も友情も描かずに、自殺オチとはあっさりしすぎの短編。漫画同人誌なのに主役のカットも何もないしぶい表紙ではイベントで目立たないのでは、と人事ながら思うが。こんなに絵がうまいのに。
○料理の学校1+2/くにさわなよ
○料理の学校3/くにさわなよ
これは、タイトルのまんまの料理学校ネタのレポート漫画。絵は正直いって下手だけど、内容がその業界の人ならではのもので、本人の人柄とあいまって、楽しい出来になっている。


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