泌尿器科医・木村明の日記


蕁麻疹に血液検査は必要か。


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ](2012年春)

抗原(蕎麦・花粉など)がIgE抗体を介して肥満細胞に結合し、ヒスタミンが分泌されて起こるのが、Ⅰ型アレルギーです。
抗原がリンパ球を刺激して起こるものはⅣ型アレルギーと呼ばれます。花粉症はⅠ型アレルギー、皮膚炎(かぶれやアトピー) はIV型アレルギーです。
以前はI型アレルギー反応が蕁麻疹の主なメカニズムであると思われていましたが、近年はIgEを介したI型アレルギーが原因となる蕁麻疹は、実際にはそれほど多くないと考えられています。
I型アレルギーが疑われる場合には、いくつかの比較的安全な検査方法があります。1つは、血液検査で血清中の各抗原に対する特異的IgEという抗体の量を測定するというものです。
ただ、その結果の解釈は単純ではなく、食物が原因と思われる場合などで有用な場合もありますが、値が高いからと言って必ずしもそれが原因であると断定することはできず、あくまでも参考になると考えたほうがいいと思います。
さらには、抗原の数が無数にあるのに、1回に検査できる項目は13個までですので、原因物資の候補がある程度絞り込めてから受けることをお勧めします。
13個までなら、自分の選んだ物質のIgE抗体を調べてもらうことができます。
MAST-33というセット検査では、33項目を同時に調べてもらえますが、調べる項目は決まっていて、
コナヒョウヒダニ、ハウスダスト1、ネコ皮屑、イヌ皮屑、オオアワガエリ、ハルガヤ、カモガヤ、ブタクサ混合物1、ヨモギ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、ペニシリウム、クラドスポリウム、カンジダ、アルテルナリア、アスペルギルス、ラテックス、ソバ、小麦、ピーナッツ、大豆、米、マグロ、サケ、エビ、カニ、チェダーチーズ、ミルク、牛肉、鶏肉、卵白
です。いろいろな物質のIgE抗体を調べても陰性の場合も多く、また逆にある物質のIgE抗体の数値が高くても、因果関係がはっきりしない場合も多々あります。
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