泌尿器科医・木村明の日記


くじ引きに従ってくれない人の扱い


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ](2012年春)

一昨日紹介した論文の対象者の中には、くじ引きに参加してくれたものの、くじ引きの結果に従ってくれない人も少なからずいました。
くじ引きで経過観察群に割り当てられた367人のうち、36人が全摘、29人が外照射、8人が小線源を適切な時期にうけていました。
逆にくじ引きで全摘群に割り当てられた364人のうち、手術は受けず経過観察を希望した人が53人、外照射を受けた人が14人、小線源を受けた人が9人いました。
手術するしないを二重盲検法(Double blind test)でやることはできないので、仕方ないことです。
死亡率の解析は、この人たちも含めたまま、行われています。
52施設合同研究ですから、中央でくじ引きの時に振り分けたものはそのまま、前向き試験を行っていくしかないのです。
プロトコール違反を対象から除外していくと、
例えば、6か月ごとの来院の約束を破って、5年ぶりにメタメタで来院した人を、プロトコール違反という理由で外したりすると、
研究者が導きたい結論に都合の悪い症例だけを外していくこともできるからです。
しっかりと中央でコントロールされた、良質の多施設合同研究です。
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