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強力超音波は前立腺癌に有効なの?


私は、肛門に入れる超音波の装置で博士号を取りました。棒屋という名前の由来をなんどか説明してきたので、知っている人には「しつこい!」と言われそうです。

でも、今日はだからこそ、私は前立腺癌治療に「HIFU(高密度焦点式超音波療法)」は向いていないと主張しておきたいと思うのです。

私が博士号のテーマとして最初に研究したのは超音波CT。反射した音ではなく透過した音を元に画像を作成する研究でした。

体の一部で、骨も空気もなくて、体から突出しているところは、性器と乳房だけです。私が精巣腫瘍にも詳しいのはこの頃の研究に関係しています。

超音波CTを開発しようとしていたわけですから、音を狭い範囲に収束させる技術には詳しいのです。


大雑把な絵ですが、音はこういう風にしか収束させられません。狭い範囲だけにエネルギーを集中させたければ、強力超音波を出すスピーカーの半径を大きくしなければならないのです。

いくらでもスピーカーの半径を大きくしてよいのなら、例えば乳がんに直径10cmのスピーカーを当てて治療するのであれば、5mm四方の狭い範囲の細胞だけを沸騰させる事ができるかもしれません。

しかし、肛門に挿入できる装置の半径は限られます。直腸壁を焼かずに、前立腺外腺にできた癌細胞だけを焼こうなんて不可能だと思うのです。

前立腺癌の治療について患者さんがネットで調べていると、入院が数日と短いHIFUは魅力のようです。

大学病院でHIFUも置いてある所は、PSAが低値、グリーソンスコアが低い(おとなしいがん細胞)に限ってHIFUを行い、そうでない人には別のオプションを勧めます。

しかし、最近はHIFUだけを置いてある泌尿器科クリニックもあるようです。そういうクリニックのホームページほど、前立腺全摘に比べたHIFUの利点を強く主張しています。

HIFUでヒットするページを最近立ち上げた人に、私と同門の人がいます。

お互い、学会などで会えば、親しく歓談する間柄です。ここにも映っています。でも、今、一緒に仕事しているわけではありません。

私は彼とは違い、HIFUで前立腺癌細胞を死滅させることはできないと思っています。

彼はHIFUの治療を手がけた経験があります。私はHIFUの経験はなく、超音波学という学問に則って主張しているだけです。

どちらが正しいか分かりません。でも、私と彼を同じグループと見なさないでください。

論理を整理して、いずれホームページの方にも載せます。

(追伸:ここに載せました。22日夜)

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