稲荷神社(現在の矢切神社)の鏝絵( こてえ)

  鏝絵は、民家の壁や戸袋・土蔵の妻壁に縁起物の恵比須や大黒、鶴や亀を漆喰【しっくい】で塗り上げ、浮き彫り様にしたものをいいます。
 鏝絵は、古い時代からあったと思われますが、一般的に広まったのは江戸時代末ごろといわれています。
 特に鏝絵を広めた祖というべき左官は、入江長八といわれ、様々な技法を編み出し、江戸の商家などに鏝絵を制作したと伝えられています。
  文化12年(1815)8月15日、長八は伊豆松崎で生まれる。それで伊豆長八と呼ばれその名で世に知られた。明治3年(1870)平民の名字が許されると、始め上田、後に入江の姓を名乗ったという。
 その伊豆の長八の流れを汲むお弟子さんから技を受けたといわれている高橋左官の2代目の高橋三四郎氏が大正元年に制作したといわれている鏝絵が、今は矢切神社本殿となっている稲荷神社の棟瓦下と鬼瓦台座にあるという。このことは、あまり知られていない。