Live at "Live Garage Adm",
Ikebukuro, Tokyo, Japan, 20th December, 1998

MR.JIMMY Live at Live Garage Adm, Ikebukuro, Tokyo, Japan, 20th December 1998
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookie Kurikawa


Sick Again

開演に先立ち...


●日時

 1998年12月20日(日)

●会場

  LIVE Garage Adm


 98年最後のLIVE、しかも「しばらくLIVE活動を停止する」という事前情報もあり、これは
 何をおいても駆けつけねばなるまいという固い決意のもと、秋葉原に繰り出しました。

 17:00開場予定が遅れに遅れ、結局開場となったのは17:40頃。座席は最前列ちょい右寄り、
 この会場ではベストの撮影ポジションです。
 会場内のモニターディスプレイには、先日OAされた北野チャンネルのコピーバンド大会の
 映像が写しだされていました。派手な照明で見るMAKIN' LOVEやSTOKEは、生で見るよりも
 数倍は本物っぽく見えるのが面白いところです。
 
 MR.JIMMYの映像はまだかな?っと思っているうちに、トップバッターの"JET LAG"が登場。
 JOAN JETのカヴァーだそうで、黒のLes Paul Custumでリズムを小気味良く刻む女性Vocal
 さんはなかなかかっこ良かったです。ランナウェイズ時代の名曲「チェリー・ボム」以外は
 全く知らない曲でしたが、シンプルなサウンドが楽しめました。
 ドラマーさんはワンタムのラディック・ステンレス・シェルで、バスドラの上にシンバルス
 タンドという「?」なセッティング。なおかつアディダスの半袖シャツにつけヒゲ&サング
 ラスとくれば....いかにうとい私でも「ア・ラ・ボンゾ」であることには気付きました。
 会場のひそひそ声を聞くと、この方、元MR.JIMMYのドラマーさんだそうです。う〜む。

 2番手の"STOKE"さんはギター・アンプが絶不調!遂には完全に音が出なくなったようで、
 急遽"JET LAG"のVocalさんが使っていたアンプを借りて演奏を再開します。しかし、トラ
 ンジスタ・アンプのJazz Chorusで演奏するブライアン・メイ....悲しい光景です。
 ステージの方は相変らずの楽しさでした。フレディーさんの芸は一見の価値ありです。

 この日は最前列にて、沼田先生と横並びでの観戦でした。
 

SETLIST&各曲寸評

 さて、ようやくMR.JIMMYのメンバーが登場したのは、21時近くになってからです。  桜井氏は久々の白いドラゴンスーツで、白いマフラーにサングラスのお約束付きです。  Moto氏はエンジ色の衣装にブルージーンズ。首にはしっかりRobert印のチェーン装着です。  大塚氏は白いウェスタンシャツに黒ジーンズ、栗川氏も白いウェスタンシャツにブルージー  ンズです。  この日の桜井氏のセッティングはいつものMarshallセット1式(ヘッド1+キャビネット1)  をややドラム側に向け、その右側に同じ構成のMarshallセットをややステージ右袖に向けて  置くという変則的なものでした。マイクは左側のキャビネットにのみ設置されてましたから  右側のセットは予備だったと思われます。左側のアンプのヘッドの上にEchoplexが1式と、  ハーフラックサイズのエフェクター(ピッチシフター?)が置かれてました。  大塚氏のキーボードはROLAND A-33のみ。音源ユニット等を納めたラックが足元に置かれて  いるのが個人的には嬉しいところです。(ラックをシンセの上に置くと客席から手元が見え  ないし、ベースをシンセの後ろで弾かれると手元が見えない) (1) THE SONG REMAINS THE SAME  当然ながらのこの曲でスタートです。  桜井氏はEDS-1275のネックを振り回し、片膝ついてのお約束ポーズで観客をあおります。  大塚氏は久々にナチュラルのArttec Bassです。ビキビキの音質で、小気味良いフレーズを  連発!最近多かったJazz Bassでの演奏と面白い対比になっています  栗川氏のドラミングはいつも以上にパワフルなのに加え、時折挟むアドリブ風のオカズが  スリリングなアクセントになっていました。 (2) SICK AGAIN  お馴染みのメドレーです。ひたすら重いサウンドが雰囲気を出しています。  ここでも大塚氏のベースが大活躍で、ギターソロのバックでねちっこいフレーズをかまして  くれてます。  「グッドイブニング!どうもこんばんわ、MR.JIMMYでございます。   今年1年も、皆さまありがとうございました。(拍手)   2日間に渡って繰り広げられました第354回Art Rock Nightも(笑)いよいよ我々で最後   となりました。一応、トリを勤めさせて頂きます、五木ひろしです(笑)。   という訳で、今日はJIMMY桜井のたっての希望で、77年の衣装を着たいと....(笑)   違いましたか?....という訳で、曲目も自然とそうなりました。   またまた随分長くなりそうなので、終電の危ない方はさっさとお帰り下さい」 (3) NOBODY FAULT BUT MINE  桜井氏はチェリーサンバーストのLes Paul No.1、大塚氏はRickenbacker 8弦ベースです。  ストップ&ゴーが連続する難易度の高い曲ですが、今日の演奏はバッチリ決まっています。 (4) OVER THE HILLS AND FAR AWAY  ほとんど間髪を入れずにこの曲です。大塚氏はArttec Bassに持ち替えます。  ハードなサウンドは心地良かったのですが、随所で演奏の荒さが目立ちました。特に、曲の  かなめとなるIntro/Outroでのアルペジオ部分で、ギターの歪みやピッキングのもつれが気  になりました。(この曲では毎回この傾向がある) 「えー、ここで業務連絡といいますか...。  我々MR.JIMMYはですね、しばらくの間、通常のLIVE活動を、ちょっと休止することになりま  して。何でか?っちゅ〜とですね、最近、あの〜我々、ちょっと、芸が荒れてきまして(笑)  これはいかんということで、もう一回、1からとは言わず、3くらいからやり直しをしようと  そういう話になりましてですね。  まぁ、3〜4ヶ月、ちょいとお休みして、リハをばっちりとやって、皆様の前に再び現れて...。  皆様が居てくださることをお祈りしますけど(笑)。いなかったらしょうがないですけどね。  という訳で、しばらくお休みさせて頂くと。よろしくお願いします」 (5) IN MY TIME OF DYING  桜井氏はDan Electro 3021に持ち替えます。ここ数回のLIVEでは以前使用していたコピーモ  デルに比べてやや太いサウンドで、若干違和感を覚えたのですが....。今日の演奏はややト  レブル強めのセッティングで、なかなか良い雰囲気です。 「えー、次の曲は久々に演る曲ですけど...。Led ZeppelinもLIVEでは演ってない曲を、ちょい  と演らせて頂きます」 (6) TEA FOR ONE  97年4月6日の下北沢LIVE以来の演奏です。桜井氏はLes Paul No.1に持ち替えます。  過去の演奏では「Since I've Been Loving Youの代わり」的な印象でしたが、今日の演奏は  ギターの音質を曲中で様々に変えており、実験的な色合いを強く感じました。ソロの途中で  ギターヘッドの弦を押す等(Heartbreakerで有名なヤツ)、意外な奏法も登場してました。 「えー、という訳で、話すネタもなくなったんですけど....。じゃ、Cookie栗川に来年の抱負  でも聞いてみましましょうか?(笑)」  突然のフリに、栗川氏がステージ前に引っ張り出されます。 栗川:「...ちょっと休息が入りますが、グレードアップして帰ってまいります。     今年最後ですので、楽しんでいって下さい。我々も楽しんで演ります」 (7) WHITE SUMMER/BLACK MOUNTAIN SIDE  ステージ中央にスツールが置かれ、桜井氏がDan Electroを抱えて座ります。  スポットライトに照らされて奏でられるアラビックなフレーズに、しばし会場が釘付けに  なりました。中盤でMidnight Moonlight(風?)のフレーズが挿入されていたようです。  ちなみに本家JimmyがThe FirmとOutrider Tourで演奏していたのは「Midnight Moonlight  の演奏途中に」White Summer/Black Mountain Sideのフレーズを挿入するというもので、  桜井氏Versionとはちょうど逆のアプローチと言えます。 (8) KASHMIR  メドレーで続く、77年Tourでお馴染みの展開です。  桜井氏はフレーズ毎にフェイザーを細かく踏み分け、ワイルドかつ繊細なサウンドを展開  しています。栗川氏の叩く音の一発一発がひたすら重く、全体的に重厚な雰囲気に仕上が  っていました。(シンセの音が小さめだったのが惜しいところです)  演奏後、ステージ左前方にスツールとフットベースが設置され、大塚氏がOvation 12弦を  持って座ります。 Moto:「じゃ、前に出て来たということで、『ジョンジー』大塚にも来年の抱負を」 大塚:「来年は『もっと余裕を持って』ですね....」 Moto:「真面目なお言葉ですね(笑)」 (9) TEN YEARS GONE  昨年12/20/98のワンマンLIVE以来、まる1年ぶりの演奏です。  桜井氏はストリングベンダー付きテレキャスターを手にします。冒頭ミストーンが多くて  危惧しますが、ギターソロのあたりから俄然盛り返します。特に、中盤のピッチシフター  による「一人ハモリ・ギター」は、前回の演奏では聴けなかった(聴こえなかった?)こ  ともあり、マニアには涙ものの瞬間でした。大塚氏の足技にも脱帽です。  最後のVocalへのハーモナイザーもバッチリ決まり、会心の1曲となりました。 「えー、私のVocalなんかにエフェクトがかかっていることにお気付きの皆さんもおられる  と思いますけど....。最近、私、自分で踏まなくてよくなりましてですね(笑)。  あちらにおられます、『はぐれ刑事(デカ)』XXさんという方に....。  なんで『はぐれ刑事』かと申しますと、『はぐれ刑事』に出てらしたという華麗な経歴の  持ち主で(笑)藤田まことさんと共演していたという。  あの方が私の負担を軽減してくれてまして...。今までの渡辺ノリちゃん(ギター担当)  に加えまして、スタッフとしてよろしくお願いします」 (10) OVER THE TOP  Out on the TilesのリフをIntroにした、77年恒例のドラムソロです。  大塚氏はArttec Bass、桜井氏はティーバーストのLes Paul No.2を手にしてます。  前回のワンマンでは正直言って冗長な印象が強かったドラムソロですが、今回は短い時間  の中でバリエーションを持たせ、迫力ある演奏となっています。録音テープで聴くと、ド  ラムに軽くフェイザーがかかっていたようですが、生で聴いた時には分かりませんでした。  最後はPat's Delightのリフでしめくくっています。 (11) TRAMPLED UNDERFOOT  前回のワンマンでは随所で不満の残る演奏でしたが....今回はその敵討ちのような演奏で  した。リズムはダレることなく怒濤のごとく直進してましたし、大塚氏の見せ場のキーボ  ードソロではちゃんとPA側でヴォリューム・アップされていました。  万全なバック演奏の中、桜井氏のギターソロ&Moto氏のVocalが冴え渡りました。 「次は、こないだの『自称』ワンマンLIVEでも披露しました、長い長〜い曲を...」 (12) DAZED AND CONFUSED  桜井氏は再びLes Paul No.1、大塚氏もArttec Bassです。  77年には演奏されなかった曲ですが、これまた前回の敵討ちなのでしょうか?  非常にスムーズな流れで曲が進行していきます。弓弾きも前回以上に滑らかです。 (13) ACHILLES LAST STAND  弓弾きの余韻を残した状態のまま....DAZEDの演奏半ばで桜井氏が弾き始めたのがこの曲  のIntroです。やや唐突な印象のあった前曲DAZEDでしたが、実は77年でお馴染みの展開  (Guitar Solo〜弓弾き〜Achilles)をもじっていた事が判りました。  大塚氏はRickenbackerで、畳み掛けるようにリズムを繰り出しています。 「という訳で、次の曲は本編最後の曲となりましたけれども。  来年の抱負をですね、Jimmy桜井にも語って頂こうと思ったんですけど、『俺はいいよ〜』  とおっしゃいまして。でも、何か聴きたいですよね?(拍手)じゃひとこと...」 桜井:「明けましておめでとうございます(笑)今年も一年ありがとうございました。     ちょっと休みに入りますけど、パワーアップして戻ります。また来年お会いしま     しょう。どうもありがとうございました」 (14) STAIRWAY TO HEAVEN  桜井氏はEDS-1275に持ち替えます。アルペジオ部分は歪みがほとんど無く、アコギを思  わせる繊細な音色となっています。ギターソロ部は77年のフォーマットで、更にLA公演  初日等で聴けるレゲエ風のリズムをより強調したような面白い演奏となっています。  演奏後、手を振りながらメンバーはステージ後方の楽屋に戻ります。 [Encore-1]  アンコールを求める熱い拍手に、メンバーがステージに再登場しました。 「ありがとうございました。  鮭の産卵後のような(笑)状態になっていますけども、頑張ってみたいと思います」 (15) HEARTBREAKER  桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はArttec Bassを手にします。  桜井氏が弾き始めたのは、ギターのIntroで始まるノーマルVersionのこの曲でした。 (16) WHOLE LOTTA LOVE  前曲が完全に終わり、若干のブレーク後に桜井氏が弾き始めたのがこの曲のIntro。  つまり、前回とほぼ同じパターンという事です。う〜む、なんか不思議な感じです。  Thereminは快調に鳴っています。バックでピック弾きする大塚氏の演奏もCoolです。 (17) ROCK AND ROLL  WLLからメドレーで続く、77年パターンです。(77年WLLにはThereminはありませんが)  最後の「ロンリロンリ...」でのハーモナイザーもバッチリ決まっていました。 「みなさま、良いお年を...」というMoto氏のセリフで、メンバーは楽屋に引き上げます。 [Encore-2]  更なるアンコールを求める拍手が鳴り止みません。  時計を見ると23時を大きく回っており、「これはもう演らないだろう」とやや諦めかけ  ていた矢先....メンバーがステージに戻って来てくれました。 (18) IMMIGRANT SONG  桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はArttec Bassを手にします。  ここに来て全く衰えることのない迫力で、特に桜井氏のギターソロはまさに「狂熱」!  ドラム&ベースの怒濤のサウンドとあいまって、驚愕の演奏となっていました。 (19) COMMUNICATION BREAKDOWN  そして、まさかのもう1曲!(この瞬間、終電を逃した人は数知れず)  声も裂けんばかりに絶唱するMoto氏が圧巻です。中盤で更に展開を見せる77年頃の  アンコールパターンを再現しているようで、これでもかという程の過剰サービスを  観客に見せつけて、ようやくの大団円となりました。
感想  なんと2時間半!メンバーがステージを去ったのは23時半を回っていました。  日曜ということもあって、あと一歩で私も終電を逃すほどの際どさでした。  前回のLIVEの出来にはMR.JIMMYのメンバーも不満を持っていたそうで、今回のLIVEが  その「雪辱戦」であることは、事前に桜井氏からのメールで告知されていました。  実際、演奏の出来は前回に比べて数倍良かったと思います。  今回の功労者は、間違いなく栗川氏でした。スネア一発にも皮が破れんばかりの迫力  でしたし、無理目とも言えるトリッキーなオカズにも果敢に挑戦していました。  ボンゾに近づくのは、楽器や小手先のフレーズのコピーだけではないハズです。来日  の生き証人達の語る「とにかくデカい音だった」「タイコの風圧でズボンが震えた」  等の逸話は、「一生懸命」「渾身の力を込めて」演奏していたボンゾの演奏姿勢をも  示唆しているのではないでしょうか?  さて、この好LIVEを最後に、MR.JIMMYはしばらく休養に入るようです。  次に登場する「祭典の日」を、みんなで楽しみに待ちましょう。
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