Live at Crocodile,
Harajuku, Tokyo, Japan, 1st Dec, 2001

MR.JIMMY Live at Live Crocodile, Harajuku, Tokyo, Japan, 1st Dec 2001
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookie Kurikawa

Since I've Been Loving You

開演に先立ち...


●日時

 2001年12月1日(土)

●会場

  原宿クロコダイル

 2001年最後の公式LIVEは、高名ミュージシャンも出演する老舗会場での開催でした。

 テーブル席で食事をしながらステージを見るという「レストラン&バー」的なシステムで、
 入場時に店員が勝手に座席割りをするのは個人的にちょい抵抗ありでした。



SETLIST&各曲寸評



 対バン1組が終了後、MR.JIMMYのメンバーが登場したのは20時過ぎ。
 Moto氏は黒地にドット模様のシャツに黒スラックス、白いロンドンブーツといういでたち
 で、1979年のネブワース公演におけるのRobertを意識したであろう雰囲気です。
 大塚氏は白シャツに黒ジーンズ、栗川氏は白ウェスタンシャツにブルージーンズでした。
 桜井氏はブルーシャツに白スラックスで、これまたネブワースでおなじみの姿です。

 この日の桜井氏のセッティングはMarshallセット(ヘッド1+キャビネット1)を2式。
 どちらのキャビネットもグレーのオールドタイプのサランで、左側はZosoロゴ入りです。
 左のアンプヘッドの上にEchoplexが1台設置されています。

 ステージ左にはMIDIコントローラROLAND A-33、その上には(おそらく)初登場!国産ア
 ナログシンセの名機、ROLAND JUPITER-8が設置されていました。

 栗川氏はステンレスのLudwigです。バスドラの上にライドシンバルのスタンドが立ってる
 という、まさにドンズバのボンゾ・モデルで、ZEPPマニア佐々木氏からの借用品とのこと。
 
(1) TRAIN KEPT A ROLLIN'
 桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はRickenbacker 8弦を手にします。  1980年欧州ツアーのOpeinig曲で、ZEPP結成時の初リハーサル曲としても有名です。
(2) NOBODY FAULT BUT MINE
 ほぼ間髪を入れずに続きます。  ストップ&ゴーが連発する難曲ですが、この日の演奏はカッチリと決まっています。 「グッド・イーブニング!(歓声)グッド・イーブニング!  ありがとうございます、MR.JIMMYでございます。  本年最後のLIVEとなりましたけど、また長くなりますが、よろしくお願いします」
(3) OUT ON THE TILES/BLACK DOG
 本家の1980年ツアーでは、この曲の前にJimmy Page御大が曲紹介するという一大イベン  トがあるのですが.....この日のMR.JIMMY版はごく普通にMoto氏がご挨拶してます。 「えー、前回のLIVEでお約束しましたけど、今日は大塚さんが頑張る回でして....。  ゴレンジャーよりモモレンジャーが活躍する回とかありますけれど、今日は大塚さんが、  手にマメができるほど、練習....してましたよね? この2週間、してましたよね?  あれ?(笑)というわけで、ジョンジーちゃん大塚ということで、大丈夫ですか?」
(4) IN THE EVENING
 桜井氏はレイクプラシッド・ブルーのStratocasterに持ち替え、大塚氏がキーボード席に  移動します。重厚なストリングス音に栗川氏のシンセドラムと桜井氏のアーミングによる  下降音が絡み、オドロオドロしい雰囲気でスタートします。  単調になりがちなワンテンポの曲ですが、栗川氏の重いドラムが迫力です。大塚氏は間奏  後半、新登場JUPITOR-8でポルタメントがかかったシンセ音を演奏していました。 「大塚さん、今のは小手調べですね?  次から俺を見てくれと?(笑)もうね、穴が開くくらい見てくれと?  ささいなミスまで指摘して下さい(笑)」
(5) HOT DOG
 桜井氏はストリングス・ベンダー付のTelecasterモデルを手にします。  ささいなミスを指摘すると、歌の入り位置を間違えたのはMotoさんでした(^^;)  若干ピアノがOFF気味でしたが、その分弾きまくりの桜井氏のギターがド迫力!本家の  ややおふざけ風なサウンドとはまた違う、ロック色強めの曲に仕上がってました。 「と言う訳で(大塚氏に向かって)ダメ出しはLIVEが終わった後になんぼでもして下さい。  (『お腹痛い、とか言わないように!』という栗川氏の声に)  そういうこと言うとね、最後に『僕はベーシストだから』とか言い訳するんですよ」
(6) ALL MY LOVE
 A-33によるポリフォニック・シンセのコード弾きで厳かに始まります。  MR.JIMMYファンの間では長年ステージでの再現が望まれてた曲でしたが.....。  最大の見せ場である中盤のシンセ・ソロで、JUPITOR-8にスイッチした大塚氏の手元が  やや怪しくなりました。やがて大塚氏は演奏中断を要請。メンバーはそれに従います。 「....やってしまいました(笑)  じゃ、今のはカットで、皆さん記憶から削除して下さい....」  気まずい空気が流れる中、「TRAIN KEPT A ROLLN'!!」と観客から声がかかります。  栗川氏が「えー、アタマから演るの〜??」とリアクションを返し、ようやく雰囲気が  和んで来ました。リーダー桜井氏の「忘れた頃に(もう一度)演ろうよ」というお言葉  に、メンバーは気を取り直して次の曲の準備に入ります。 「あ、皆さん、見てやって下さい。新しいベースを!  『俺ベーシストだから、まかしとけ』って?」
(7) THE SONG REMAINS THE SAME
 桜井氏はW-Neck、大塚氏はこの日初公開のAlembic4弦Bassを手にします。ジョンジー  が使用していたオメガシェイプのものではなく、Jimmyが所有していたスタンダードな  タイプです。  桜井氏は前曲のダメージを振り払うかのごとくの突っ走りで、他のメンバーもそれに引  っ張られるようにハイテンションな演奏になっています。  大塚氏のAlembicは、意外にもナチュラルなサウンドでした。演奏中に何度もアンプの  つまみに手を伸ばしており、まだ最適設定を探っている様子です。  1980年ツアーでは演奏されなかった曲ですが、桜井氏/Moto氏の衣装がネブワース風で  あることを考えると違和感は少ないですね。(1979年ネブワース公演のOpening曲)
(8) THE RAIN SONG
 前曲からメドレーで続きます。1975年以降のステージでは単独演奏のみでしたから、こ  れまた意外な感じです。  大塚氏がA-33で奏でるストリングスはMelotronサウンドではなく、当時のジョンジーが  愛用してたYamaha GX-1を彷彿させるポリフォニック・シンセ風サウンドです。 「雅子様も御産まれになったことで(笑)今日は記念になる日ですね?  何の記念か判かりませんけれど、とりあえずおめでとうございます。TEN YEARS GONE」
(9) TEN YEARS GONE
 桜井氏はストリング・ベンダー付のTelecasterモデルに、大塚氏はキーボード席で  Ovation 12弦を手にします。  過去ステージでは不本意ながら苦言を言わせて頂いた曲ですが、この日の演奏は○です。  (5)(6)でこのギターの慣らしを終えていたこともあり、桜井氏はベンダー技をスムーズ  に随所で決めていました。ギターソロ時のエフェクターはピッチシフターではなくフェ  イザー&ワウのみでしたが、それはそれでシンプルで味のある演奏でした。  栗川氏も流れるようなフレーズ回しで、気持ちよく聞かせてもらいました。  
(10) SICK AGAIN
 桜井氏は鮮やかチェりーサンバーストのLes Paul No.1に、大塚氏はAlembic Bassを手に  します。ちょっと唐突な曲順のような気もしますが、ネブワースでは確かにステージ後半  で演奏されていましたね。 「フリーはブルースをベースにしたロックバンドなんですが、ツェッペリンも当初はブルー  スもベースにしたバンドだったんです。次の曲もブルースを(聞き取り不明)した曲を演  ります」
(11) SINCE I'VE BEEN LOVING YOU
 大塚氏はキーボード席に移ります。  1980年頃のこの曲はJimmy御大の演奏がやや散漫な印象が強いですが、この日の桜井氏は  そのあたりの雰囲気を醸し出しつつもTEA FOR ONEを彷彿させるブルージーな展開を聞か  せてくれました。 「(大塚氏に向かって)まだ心の準備はできませんか?」
(12) ACHILLES LAST STAND
 大塚氏はRickenbacker 8弦Bassを手にします。  若干ギターの音がOFF気味だったのが残念ですが、演奏的にはまずまずの迫力でした。 「えー、今日は、カレンダーも最後の一枚となってしまいましたけども。  MR.JIMMYは、本年最後であります。皆様、良いお年をお過ごしくださいませ。  また、来年LIVEをやる機会がありましたら.....ま、やると思いますけど(笑)  よかったらお越し下さいませ。来年もよろしくお願いします」 
(13) STAIRWAY TO HEAVEN
 桜井氏はW-Neckを手にし、大塚氏はキーボード席に移動します。  大塚氏は線の細いストリングスサウンドで、中盤からCP-70B風の堅めのピアノ音にスイ  ッチしてました。桜井氏は絞ったトーン設定で、前半はウェットな雰囲気です。  ギターソロ序盤はひっかかり気味の80年風、中盤からタンゴ&ブレーク入りの77年風と  いう、非常に面白いアレンジでした。    拍手喝采の中、メンバーはステージを後にします。

[Encore]

(14) ALL MY LOVE
 桜井氏はストリング・ベンダー付のTelecasterモデルを手にし、大塚氏はキーボード席  に座ります。大塚氏が奏でたのは、やり直しのこの曲でした。  注目のシンセソロは冒頭ヴォリュームがOFF気味でしたが(これは大塚氏のせいではない)  後半はしっかり持ち直し、演奏後は拍手喝采でした。  実のところ、個人的にはウェットであまり好きではない曲でしたが、今回MR.JIMMY版を  聴いて、改めて「良い曲だなぁ」と思ってしまいました。 「実は大塚さんはですね、ジョージが亡くなったんで、とても動揺してまして....」
(15) SOUTH BOUND SAUREZ
 軽快なピアノの刻みで始まる、In Through The Out Doorからの曲です。もちろん本家  は一度もステージでは演奏していない曲です。  ほぼアルバムに忠実なアレンジですが、終盤はベンダー技混じりのギターソロが挿入さ  れます。これが「いかにもこの時期のJimmyが弾きそうな」フレーズで感動ものです。  最後にMoto氏と桜井氏が顔を寄せ合ってコーラスを入れるという趣向もあり。実に楽し  い演奏でした。
(16) MONEY
 桜井氏は再びStratocasterを手にします。1980年6月30日Francfurt公演のアンコール  に演奏されたカバー曲です。桜井氏はアーミングを駆使しながら荒削りな展開を見せて  います。大塚氏はA-33による生ピアノサウンドで曲にアクセントを付けていました。
(17) I'M GONNA CRAWL
 これまたIn Through The Out Doorからの本家未演奏曲です。  大塚氏はイントロを弾き始めますが、すぐに中断。照明が暗くて鍵盤が見えないらしく  「見えない、見えない!」と苦笑い。Moto氏が「手元ライトをお願いします」と会場の  スタッフにお願いしていました。  桜井氏の足元エフェクターは、いつの間にかフェイザーの代わりに小型のレズリー・ス  ピーカー・シュミレータが接続されており、アルバムで聞けるヒラヒラしたサウンドを  見事に再現しています。大塚氏の重厚なストリングス・サウンドも雰囲気たっぷりです。 「じゃ、もうひとふんばり。終電の危ない方はホントに、気をつけて下さいね。  じゃ、おとうさん。頑張って行きましょう」
(18) WHOLE LOTTA LOVE
 桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はAlembic Bassを手にします。  中盤にはいわゆる「ネブワースのクリエ」と呼ばれるリフ演奏が挿入されていました。  Let That Boy Boogieを経てエンディングに至ります。
(18) ROCK AND ROLL
 間髪入れずにこの曲に続きます。若干走り気味の後年ヴァージョンです。  最後のギターソロの頭で、ギターの音が出なくなるトラブル発生。エフェクターに入る  部分のシールドが外れたためですが、桜井氏は冷静にキック一発!復活していました。 「皆様、良いお年を!」  演奏後、メンバーはステージ前に一列になって客席に挨拶し、ステージを降ります。

感想



 約2時間半のステージでした。
 1980年ツアーをベースに、ネブワースやIn Through The Out Doorの未演奏曲を盛り
 込んだ、年末にふさわしい非常に贅沢な曲目だったと思います。

 この日の殊勲者は、なんと言っても大塚氏でしょう。アルバムIn Through The Outは
 ジョンジーが当時ハマっていたポリフォニック・シンセ「Yamaha GX-1」を前面にフィ
 ーチャーしており、普通の4ピースのロックバンドには演奏不可な曲目ばかりです。
 MR.JIMMYに出会ってから5年余り。氏の頑張りで、ようやく実現したステージでした。

 大塚氏個人としてはトラウマになったかも知れませんが(^^;)、難曲ALL MY LOVEには
 これに懲りずに何度でもチャレンジして頂きたいと思います。


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