Live at "CLUB GOODMAN",
Akihabara, Tokyo, Japan, 22th Nov, 1998

MR.JIMMY Live at Club Goodman, Akihabara, Tokyo, Japan, 22th, Nov, 1998
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookie Kurikawa


Rock and Roll

開演に先立ち...

●日時  1998年11月22日(日) ●会場  秋葉原 CLUB GOODMAN  年に1回、恒例のワンマンLIVE!  ....と言いながら、「Opening Actあり」という変則的な形態でした。  17:30をわずかに過ぎて開場となり、18:00きっかりにOpening Actの"SPEED KING"が  登場。Deep Purpleのコピーバンドで、Highway Star/Child in Time/Strange Kind  of Woman/Space Truckin'とオーソドックスな第2期の選曲でした。コルグのオルガ  ンにリングモジュレーターを通し、悲鳴のようなサウンドを操るキーボードさんの演奏  には食い入るように見入ってしまいましたが....。  双璧であるギタリストさんは、1曲目にして不運にもアンプトラブルに見舞われ、その  後もイマイチ精彩に欠けた演奏でした。(髪型はリッチーそっくりでしたけど)  しかし、PurpleのLIVE演奏って、一言で言って「曲芸」だったのですね。インパクトは  あるけれど、何か深みに欠ける気がしました。この得体の知れない「深み」こそが我が  ZEPPの魅力では?と考えさせられるステージでした。

SETLIST&各曲寸評

 SPEED KINGが1時間きっかりで演奏を終え、ドラムセットとキーボードが交換されまし  た。ギターアンプはMarshallが2セット。先程トラブったアンプはスピーカーヘッド部  の接触不良だったようで、応急修理がなされてTheremin用として設置されました。  MR.JIMMYのメンバーがステージ上に登場したのは19:20頃です。今日は最前列中央にて、  ゴンザレス・N夫妻&Y姉とご一緒での観戦です。  桜井氏は胸にラメの入った黒の長袖上着に、先日の川崎チッタで初披露した「永遠の詩」  版の星柄パンツです。首には三日月型のネックレスをしています。  Moto氏はお馴染み花柄ジャケットにブルージーンズ、首にはエスニックなネックレス姿。  栗川氏は素肌の上にウェスタン調のヒラヒラがついた皮のベストにブルージーンズ。こ  れまた首にはインディアンの酋長を思わせる大振りな首飾り(ネックレスにはあらず!)  をあしらっています。  大塚氏は肩口に青い切り替えの入った白地のウェスタンシャツにブルージーンズです。  (最近髪が短かめです) (1)COMMUNICATION BREAKDOWN  いつもより長めの音出しの後、栗川氏のドラムから始まります。  The Train kept Rollin'風のイントロを経て、桜井氏がストロークを刻んで突入した  のがこの曲でした。(9/25/97のLIVEでも、同様の流れでWalter's Walkを演奏してま  した)  桜井氏はティーバーストのLes Paul No.2、大塚氏はFender Jazz Bassです。  Moto氏は快調な様子で、伸びやかなVocalを披露してくれます。PAの通りも良好です。  ギターソロではワウを駆使し、トリッキーな演奏になっています。 (2)THE ROVER  間髪入れずに続きます。Sick Againに行くかと思わせて実は....というMR.JIMMYでは  お馴染みのパターンです。桜井氏はフェイザーを全般で深めにかけており、強烈な音  のウネりにのせて繊細なピッキングを披露しています。   「グッドイブニング!.....毎度お世話になっております。MR.JIMMYです。  今日も長く演りますので、終電その他で危ない方はとっとと途中で出ていって下さい」 (3)MISTY MOUNTAIN HOP  大塚氏はキーボードでエレピをシュミレートします。ビブラートが希薄で金属的な音色  ですが、抜けが良くて聴きやすい感じです。フットベースも小気味良く決まってます。  栗川氏は中盤でスタッカート気味のリズムを入れ、全員がそれに合わせて面白い演奏に  なっていました。ただし!終盤でスネアのロールを目一杯入れたのが周りと合わず、ア  レアレとなる場面もありました。 (4)SINCE I'VE BEEN LOVING YOU  前曲とギターのインプロビゼーションで繋がる、73年US Tourのパターンです。  情感たっぷりの演奏です。 「え〜次回のLIVEのお知らせを先にしておきますと、12月の20日に池袋のAdmさんで演ら  せて頂きます。対バンは....(客席を見回して)そちらにおられるSTOKEさんと(笑)  ジョーン・ジェットの....いわくつきのバンドと一緒に演ります。  よろしくお願いします」 (5)KASHMIR  桜井氏は虎目チェリーサンバーストのLes Paul No.1を手にし、低音の効いた太い音  で押しています。(本家Jimmy Pageも、75年LIVEではLes Paulで演奏してましたね)  ドラムスは相変らずエフェクト処理なしです。ZEPPのLIVEではフェイザー処理がお約  束でしたので、これはご一考願いたい部分です。 「えー、実は昨日、スカイパーフェクTVの『北野チャンネル』という番組がありまして、  我々コピーバンドの面々でそれに参加してきたんですけど。  出来レースとは言え、MR.JIMMYは最優秀賞を頂きまして....(拍手)いえ、あくまで  出来レースですけど(笑)。立派なミラーボールを頂きまして(爆笑)  桜井家の2階でグルグル回っております。ご覧になりたい方は、家に....。  ミラーボールはStairway to Heavenとか、そこらへんで欠かせないですけど。ええ、  あそこにありますけど...(会場天井を指差すと、すかさずミラーボールが回り始め)  さすが!Club Goodman!! Club Goodman!! 素晴らしい段取りです。  ということで、よろしいですか?」 (6)NO QUARTER  桜井氏はLes Paul No.2に持ち替えます。  大塚氏のエレピはビブラート控え目です。左手の動きがつっかかり気味で、リズムが  ふらつくのが気になります。栗川氏もそれにつられてしまうのか、随所でリズムが不  安定に聞えました。  Moto氏はスタジオ盤で聴けるような歌いまわしで雰囲気を出しています。  一発Thereminは入るタイミングが遅かった気がしますが、寸前までそぶりも見せずに  サッとアンテナに手をかざす姿は「カッコいい」の一言に尽きます。ぜいたくを言わ  せていただければ、エコーを深めにかけて音量をもう少し下げた方が全体のサウンド  となじむのではないかと....(毎回、この曲の演奏で思うことです)。 「営業的なことを申し上げさせて頂きますと、"Art Rock Night Vol.1"を今日もフレデ  ィー・マーシーさんに持ってきてもらいました(笑)。入り口のところにあるそうな  ので、興味のある方、興味のある方で結構ですので見て行って下さい」 (7)THE SONG REMAINS THE SAME  桜井氏はEDS-1275に、大塚氏はJazz Bassに持ち替えます。  栗川氏のバスドラが随所で遅れ気味で、全体的にリズムがもたつく感じなのが気にな  ります。 (8)THE RAIN SONG  前曲からメドレーで繋がるお馴染みのパターンです。  全体に適度なリバーブ処理が施されていて、よい雰囲気になっています。  大塚氏のシュミレートするMellotron音はかすれ具合が絶妙ですが、単なるストリング  ではなく人声っぽいニュアンスも感じられました。本物Mellotronでは音色セレクター  をハーフポジションにすると3トラックテープの2つの音を出すことができるそうです  から、こういう音もアリですね。 「さて、皆様、お待ちかねかどうかは分かりませんが.....次はとても長いやつを。  ワンマンならではの長いやつを演ります。  今日はバンドの調子から言って、転んでも転んでも立ち上がりながら、前へ前へと行く  ような.....そんな感じでしょうか?(笑)Cokkieどうですか?Cokkie?(笑)  という訳で、Jimmyさん、よろしいでしょうか?」 (9)DAZED AND CONFUSED  桜井氏はLes Paul No.1に持ち替えます。この日の演奏はオリジナルなフレーズが随所  に挿入されていました。サンフランシスコの部分では、Jimmy Pageが弾いていたスパニ  ッシュな旋律をさらに押し進め、複雑かつ深遠な雰囲気となっていました。  お約束の弓弾きはまさにMagic!滑らかな音の流れに格段の進歩が感じられます。弓叩き  部分ではPAで左右に音が振られてます。松脂の粉も舞い上がってます。  ただし後半では各パートの繋ぎがスムーズでなく、勢いが削がれる場面がありました。 「長らくお付き合い頂きまして、ありがとうございます。  いや〜、危なっかしいですな!(笑)  次はお口直しに....大塚さん、なんか最初から言い訳してますね?(笑)」 (10)TRAMPLED UNDERFOOT  桜井氏はLes Paul No.2に持ち替えます。  Motoさんの熱唱は良かったのですが...。  まず大塚さんのKeyboardの音が小さい!せっかくのソロパートがギターのリフに隠れて  ほとんど聞えませんでした。(PAさんは、あそこがソロだと知らなかったのでは?)  リズムが随所でつっかかり気味だったのも気になりました。本家ZEPPは軽々と演奏して  いるので気がつきませんでしたが、ワンフレーズ/ワンリズムだけを正確かつテンショ  ンを下げずにひたすら演奏するってのは、ホント大変なのですね。 「えー、MR.JIMMYのSHOWも、まだまだ佳境に入りません(笑)まだまだです。  佳境には入りませんが、次は名曲を....」 (11)STAIRWAY TO HEAVEN  桜井氏はEDS-1275に持ち替えます。  大塚氏がシンセで奏でるMellotron Fluteは、文句無しのリアルさです。おそらく本物  Mellotronでも、現在ではこのようなコンデションでは鳴らないでしょう。  ギターソロはフェイズアウト感はありますが、やや歪み多目でハードな印象です。尺と  構成は73年頃のフォーマットですが、フレーズ的にはオリジナルだと思います。   「えー、それではお待ちかねの.....今週の目玉! 行くよ、ボヤッキー!  という訳ですね、本日も『Cookieの部屋』がやってまいりました(笑)  司会のCokkieさん、抱負を...(栗川氏は「流していきま〜す」という軽〜い答え)  いけませんね〜(笑)....じゃ、一丁行くか!Cookie 栗川、モビ・ディ〜〜ック!!!」 (12)MOBY DICK  桜井氏の使用ギターは....失念しました(^^;)。ただし、この曲では6弦をD音に落と  す必要があるので、次の曲へのスィッチの早さから考えるとLes Paul No.1だったと思  われます。大塚氏はJazz Bassです。  この日のドラムソロは長い!かなり叩き続けていたので「今日は素手叩きはない?」と  諦めていたら、15分以上経過してから満を待しての登場(?)でした。  途中のブレークでの「ヘビメタのドラムソロみたい」という栗川氏のお言葉にもあるよ  うに、終盤は全くのオリジナルのようでした。個人的にはシンセドラムの乱打のあたり  が一番面白かったです。 (13)HEARTBREAKER  桜井氏はLes Paul No.2です。  ドラムのフレーズから始まる73年US Tourのパターンです。大塚氏のBassによるコード  弾きが、シンプルな曲調に複雑な響きを加えています。  無伴奏ソロにおけるドラムの1発目のブレークが合わず、メンバー全員が苦笑いしてま  す。以降のギターソロ部でも、大塚氏がネックを振って栗川氏にタイミング指導を入れ  るシーンが見られました。  ギターソロの後、栗川氏は通常のドラムフィルを叩き、バンドはAメロを再度演奏しま  す。メンバーは演奏しながら苦笑いしていたので、これは73年US Tour恒例の「ドラム  ソロからWLLへ」という構成を間違えてしまったと思われます。 (14)WHOLE LOTTA LOVE   - LET THAT BOY BOOGIE   - THAT'S ALRIGHT   - SLOW DOWN   - SOMETHING ELSE   - HEARTBREAK HOTEL   - HOUND DOG   - BLUEBERRY HILLS   - A MESS O' BLUES  どうやってWLLに繋げるんだろう?とドキドキして聴いてましたが....。  前曲が終わると、桜井氏は間髪入れずイントロのリフを刻み、「ごく普通に」曲に突入  しました。あまりに自然で完璧なフォロー!感服です。  Thereminは感度も抜群で、桜井氏の操るがままに音が飛び回っていました。  Everybody Needs Somebody to Loveのリフの後、ブレークの後で妙な間ができてしまい  ました。栗川氏がドラムロールを入れてギターソロに繋げていますが、一瞬気まずい雰  囲気が流れていました。  メドレー曲ではSomething Elseが珍しいところでしょうか?1969年終盤にはHow Many  More Timesで、1970年初頭にはWLLでメドレー演奏されていた曲です。  ドラの連打で盛り上がって終了。メンバーは手を振りながら楽屋に引き上げます。 [ENCORE] (15)ROCK AND ROLL  拍手に応えてメンバーが再登場。桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はJazz Bassを手にし  ています。Moto氏はここに来て声が枯れ気味ですが、それがまたいい味を出しています。 「皆様、お帰りの方をお気を付けて....」というMoto氏のお言葉があり、メンバー全員が  ステージ前に一列になってご挨拶。あれあれ?と思っていると楽屋に引き上げてしまい  ました。観客はあっけに取られた様子で、拍手も今ひとつ盛り上がりません。  時間は22時。まだまだ宵の口ですが、今年唯一の『ワンマンLIVE』は幕を閉じてしまい  ました。
感想  約3時間という長丁場でしたが、非常に短く感じたステージでした。  73年をベースに75年曲を盛り込んだ構成であり、意外な曲もなくオーソドックスな印象  でした。ラフさが目立ち、演奏もベストの出来とは言い難かったと思います。  昨年のワンマンは2部構成で約3時間半。アコースティック曲ありの2部構成で、間に  お楽しみ抽選会まであるという『特別イベント』でした。あれを体験できたファンから  すれば、今回のLIVEにはやや物足りなさを感じるのは否めません。  川崎チッタの一大イベントに続き、11月に入って3回目のLIVE。ここまでサービスして  頂いているのですから、その上スペシャルなものを要求するなんて贅沢であるのは重々  承知しているのですが....。いや〜、ファンというのは強欲なものです。(私だけ?)  ちなみにMoto氏のMCにあった「ボヤッキー」とは....。  アニメ「タイムボカン」シリーズで登場する、悪役キャラ2人の痩せた方です。  (だからどうした、と言われても困るのですが)