Live at "Club Citta'",
Kawasaki, Kanagawa, Japan, 23th October, 1998

MR.JIMMY Live at Live Club Citta, Kawasaki, Kanagawa, Japan, 23th October 1998
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookkie Kurikawa


Whole Lotta Love

開演に先立ち...


●日時

 1998年10月23日(金)

●会場

  クラブ・チッタ川崎

●メンバー

 ・Jimmy 桜井氏 (Guitar)
 ・Professor 大塚氏 (Bass/Keyboard)
 ・Parcy Moto氏 (Vocal)
 ・Cookie 栗川氏 (Drums)

 今回は川崎クラブ・チッタの10周年と"ART ROCK NIGHT Vol.1 & 2"全国発売を祝った
 特別イベントでした。共演はMAKIN' LOVE/STOKE/VON HALEN/ELECTRIC LADY BANDです。

 クラブ・チッタは定員は1,030名(入り口に大きく書いてあった)、外タレも使う程のメジ
 ャーな会場です。ついに我がMR.JIMMYもここでLIVEを演るようになった訳で、ファンとし
 て感激もひとしおです。同時に「ガラガラだったらどうしよう?」と、ドキドキしながら
 川崎駅に降り立ちました。

 会場は駅から5分くらい。小奇麗な映画館が立ち並ぶ、川崎で唯一お洒落なエリアです。
 18:00頃に着いたら20人位会場前に並んでいました。いつもであれば「おお、結構並んでる
 な」と思える風景ですが、なにせ定員1,030名ですから(^^;)「こんなんで大丈夫か!?」
 と不安は募るばかりでした。

 18:20頃、ようやく開場になりました。中は学校の体育館を半分にしたくらいの大きさで、
 ステージも立派なものです。トラスを組んで照明がセットされており、プロのステージそ
 のものです。天井も高く(20メートル以上?)、客席の頭上には星型に組まれた照明トラ
 スがあり、まるでディスコのような作りです。
 事前にオールスタンディングと聴いてビビっていたのですが、会場の真ん中あたりから後
 ろには座席も用意されており、MR.JIMMYの出番までは座って待つことに決めました。

 この日は沼田先生、ビート佐々木氏と一緒の観戦でした。「イゴール大好き」Kommy女史
 やY姉、長野の花火師さん達は前の方で臨戦体制だったようです。
 開演の19:00近くには座席は満杯、フロアもかなりの人が溢れるようになりました。
 取材もかなり来ている様子で、プロ用のビデオカメラが数台セットされていました。

 さて19:00過ぎになると、司会者の方が出てきてあれこれと観客をあおります。
 「これは単なるロックじゃなくて、アートロックである」「コピーというとダサい感じだ
 けど、今日の出演者達の演奏は単なるコピーじゃない!」などということを声高くアジっ
 てましたが、はっきり言って興ざめでした。逆に、そういうことを言わないと一般の客に
 アピールできないのかと思い、大会場でやるとかCDを売るということの煩わしさを垣間
 見た気がしました。

 トップバッターのMAKIN' LOVEは相変らずのラフな演奏でした。ただ、ポールさんの楽しい
 トークやお約束のジーンの血吐きもあり、結構盛り上がっていたようです。
 2番手のSTOKEは、堂々として良いステージでした。やっぱ、QUEENは広いステージで演ら
 ないと良さは伝わらないのですね。Brake Freeでフレディーさんが調マジメな顔で女装し
 て唄ってたのが馬鹿ウケでした。

 3番手はVON HALENさんでしたが、見る元気が無かったため(^^;)Y姉とロビーで世間話を
 してました。通りかかったKommy女史から「YES日本公演・イゴール追っかけ秘話」を聞い
 て大いに盛り上がってしまいました。


SETLIST&各曲寸評

 さて、ようやくMR.JIMMYのメンバーがステージに登場したのは予定より約1時間も遅く、  21:30近くでした。  桜井氏は黒の長袖シャツに黒地に星柄の刺繍をあしらったフレアパンツ。今回はパンツの  模様がグレードアップしており、右モモには龍の刺繍、両内モモに飾りひものようなもの  が縫い付けてあります。(映画「永遠の詩」をチェックすると、確かにそんなひも状のも  のが付いてました)  Moto氏はエンジ色のお衣装にブルージーンズ、大塚氏は白地のウェスタンシャツにジーン  ズ、栗川氏は素肌の上に茶色っぽいベストを着ていたようです。(遠くてよく確認できず)  ステージ右手にはMarshallのスピーカー・キャビネットが5台、L字型にセットされて  おり、73年以降のJimmy Pageのセッティングを彷彿させます。(右端のアンプ・ヘッド  がVONさんのPEAVYなのと、左端のキャビネットの上にアンプ・ヘッドが置いてあるのが  違いですね)アンプの上にはしっかりEchoplexが2台置かれてました。  ステージ左手にはAMPEGの大型Bassアンプが2台、その右横にはドラム台の上にお馴染み  のシルバーのドラムキットがセットされていました。ステージ進行の関係上、他のバンド  さんが使っていた黄色いドラムキットがその右横にセットされたままでした。  ちなみに、スタンディングの人達でステージがよく見えないため、私は演奏開始直後に  ステージ右最前に移動しました。以降はそのポジションで立っての観戦です。 (1) ROCK AND ROLL  ストロボが瞬く中でドラムのロールが叩かれ、照明が一斉について演奏がスタート!  ....となる演出だったようですが.......、  なんと桜井氏のギターの音が出ません!イントロの半ばで演奏が中止になり、場内は騒然  となってしまいます。Moto氏は苦笑いしながら「グッド・イブニング!」と叫んでます。  気を取り直して演奏再開。今度はバッチリ決まってのスタートです。  若干リバーブが深めな感じですが、いい感じのサウンドです。特にドラムの「ドゴーン!」  という鉄槌のようなスネアの音が、聴き慣れたZEPPの後期LIVE音源の数々を彷彿させます。  Motoさんは大観衆を前に、実に堂々とした歌いっぷりです。  桜井氏はLes Paul No.2で、若干中低音の持ち上がり気味で太い感じのサウンドです。  大塚氏はこのところご愛用のJazz Bassです。低音が強めで周りの音に埋もれがちでしたが、  他のバンドの時に比べるとはるかに聴きやすかったと思います。  ギターソロ後には桜井氏のお約束ジャンプ!やや小さめで、まだまだエンジンがかかって  ないように見受けられました。  桜井氏はエンディング近くでセンターポジションに切り替えてコロコロとフェイズアウト  したサウンドを披露してます。LIVE盤「永遠の詩」ではハッキリとメイキングされてて  印象が強い音ですが、73年当時の海賊音源を聴き返したところ、意外にも実際の演奏では  フェイズアウト感は希薄だったことが分かりました。 (2) BRING IT ON HOME/BLACK DOG  前曲からメドレーで続く、映画「永遠の詩」での曲順です。意外なことにMR.JIMMYがこの  曲順で演奏したことは無かったと思います。  リフの前のVocalに、この日は深〜いエコーがかけられていました。ちょっと大袈裟な感じ  がしましたが、これまた73年当時の音源を再チェックしたところ、逆にこんな感じの処理  の日もあることが分かりました。(「永遠の詩」では軽めでしたが) 「.....どうもこんばんわ、MR.JIMMYです(笑)  我々のバンドはちょっと、お笑いがありませんので、まぁ淡々と、いつも進んでいく訳です  けど....。ま、今日はショーが短いということで...。  私もMR.JIMMYに入りまして、もう丸4年くらい経つんですけど....。  えー、ね?(笑)こういう大きいところで演れて、嬉しい訳なんですけど。  えーそんな訳で(笑)、次は希望の歌を.....This is song of hope!」 (3) STAIRWAY TO HEAVEN  桜井氏はEDS-1275、大塚氏はキーボード席に座ります。  会場のナチュラルな残響に加えてリバーブを軽く施しているようであり、大ホール風の  リッチなサウンドが良い雰囲気です。  大塚氏はシンセでMellotron Flute音をシュミレートしてますが、かすれ具合や揺らぎに  若干のホワイトノイズを加えているようであり、これまた非常にリアルで良い感じです。  青いピンスポットに照らされて歌うMoto氏の格好良さも、ライブハウスで観るのとは格  段の違いがあります。  ギターソロ前の盛り上がり部分ではシンセドラムでティンパニの音を入れてます。  ギターソロは73年MSG初日、つまりは「永遠の詩」Versionにほぼ忠実な展開です。若干  フェイズアウトしながらも太い音であり、これまでのステージとはまた違った新たなる  アプローチであるように感じられました。  最後の「and she is buying a stairway to heaven.....」のところでミラーボール  が回ります。あまりに有名な73年LIVE時の演出ですが、やはりお約束をきっちりやって  いただけると素直に嬉しくなってしまいます。 「えー今日は、いつもやってるMR.JIMMYの時間よりはだいぶ短いですので....  次の曲が最後ということで。(「え〜〜!!」という観客の声に対し)最後ですけど、  時間の半分を占めております(笑)。Led Zeppelinのショーもいつもこんな感じで、  お客様が盛り上がれば盛り上がる程に伸びていくと。今日はどうなりますことやら....」 (4) HEARTBREAKER  ドラムの短めのソロ(?)から入る、73年独特のパターンです。  桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はJazz Bassへと再び持ち替えています。  大塚氏のダブルノート奏法がさりげなく光っています。 (5) WHOLE LOTTA LOVE  ブレイクの後、再びドラムソロを挟んで突入しています。このドラムソロ、ZEPPの演奏  でもなんだか唐突な印象があったのですが、この日の演奏を見て納得しました。この間  にギターの音色をすばやく変えているのですね。ふむふむ....。  ちなみに映画の中では弦が切れたのか、WLLに入ってからの演奏中にLes Paulを持ち替え  ている様子が写っています。更にTheremin部では赤のLes Paulに持ち替えており、忙し  いことこの上ありません。(編集でゴチャゴチャになってる可能性もありますが)  桜井氏の前にはマイクスタンドが用意されており、サビ部分はこのマイクを使っていま  す。これまた「永遠の詩」に忠実で、「Robertと1本マイクで掛け合い」は75年以降の  パフォーマンスでしたね。  この日のThereminは感度も抜群で、「ヒュ〜〜ン!」という浮揚感あふれるサウンドで  した。アンプもEchoplexもTheremin専用で使っており、セッティング面での優位性もあ  ったのかも知れません。  キメのギターソロを挟んでLet That Boy Boogieに。若干Moto氏との掛け合いで噛み合  わない部分も感じられましたが、そんなものを吹き飛ばすような迫力の演奏でした。  やや強引にBaby I Don't Careへ展開し、You Need Loveの雄叫びに繋げています。  最後はドラの連打で、大迫力のうちにエンディングとなりました。
 演奏後、メンバーは観客に手を振りながら舞台を去りますが、無粋な司会者が雑談のた  めに呼び戻します。渋々Moto氏がステージに再登場しますが、それでも気が済まないの  か、執拗に桜井氏までステージに呼び戻します。  ZEPPやMR.JIMMYのことを全く知らないであろう司会者の餌食となり、お二人&観客は  つら〜い数分間を過ごすハメとなりました。
 トリのELBの終了後、出演者全員によるジャムセッションが行われました。  桜井氏は白ドラゴンスーツにLes Paul No.1を携えて登場。栗川氏もイギリス国旗柄の  Tシャツに着替えていました。いつになくノリノリのMoto氏の熱唱が、全出演者の中で  最も映えていました。  そんな熱気の中、客席の私の隣で「なぜか」演奏を拍手喝采で観戦していたのが大塚氏  でした。クラブ・チッタで私が体験した、この日最大のマジックです。
感想  約43分という短いステージでした。平日の19:00開演、5バンド出場というはなから  無茶な構成ですから、この程度の演奏時間となったのは仕方無かったかと思います。  ファンに最も馴染みの深い「永遠の詩」73年MSG公演からの抜粋でしたが、随所に  見せたこだわりの深さは、マニア筋にとっても実に興味深いものでした。  動員が心配されましたが、蓋を開けてみればほぼ満員と言って良い状態でした。音楽業  界人も多数見に来ていたようであり、特に「X-JAPAN」のPATA氏が来ていたのには驚き  でした。(沼田先生、ツーショットの写真はバッチリ撮れてましたよ!)  MR.JIMMYとしては、96年の春に今はなき新宿パワーステーションでLIVEを演られたのが  最大のイベントであったと思われます。今回はそれより更に大きい会場であり、メンバ  ーには相当のプレッシャーがあったことが想像されました。  そんな中、いつも以上に堂々としたパフォーマンスであり、ファンとしては充分に満足  できるステージでした。3,500円というやや高めの入場料設定でしたが、あのサウンド・  クォリティに比して決して高くなかったと思います。  一方、ライブハウスでの演奏に慣れていたせいでしょうか、広いステージを持て余して  いた感があったのも事実です。桜井氏/Moto氏は大きめのアクションだったとは思います  が、いかんせんステージはいつもの数倍!どうしても小さく固まって見えてしまったの  が残念です。これは今後の課題でしょう。  ひとつ、エピソードを。  当日券を買おうと窓口に並んでいたら、「余り券を2,000円で買いませんか?」という  私設ダフ屋みたいな人に声をかけられました。「いえ、窓口で買いたいんで」と断ると  「じゃ1,000円でいいです」と食い下がられて、ちょっと往生しました。  う〜ん、MR.JIMMYでこの手のヒトが出てくるなんて...嬉しいやら何やら、複雑な気持  ちです。
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