Live at "Club 251",
Shimokitazawa, Tokyo, Japan, 25th July, 1999

MR.JIMMY Live at Club 251, Shimokitazawa, Tokyo, Japan, 25th July 1999
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Bonzo Otobe


Trampled Underfoot

開演に先立ち...


●日時

 1999年7月25日(日)

●会場

  下北沢 Club 251

 1999年2回目のLIVEは、4/6/97以来2年ぶり以上の下北沢Club251でした。
 ダイレクトメールには「Back to '73-75」というサブタイトルが告知されていました。

 17:30開場がリハーサルが大幅に遅れ、蒸し暑い会場前の階段で待つこと数十分。ようやくエア
 コンの効いた会場に入れたのが18:20を回った頃でした。前に10人くらい並んでいたので、残
 念ながら前の席は埋まっており、やや後ろの席に陣取る形になってしまいました。

 オフィシャル・パンフの「MR.JIMMY's GRAFFITI」によれば、今回はDrumsの栗川氏がよんどこ
 ろない御事情でやむなく欠場し、Bonzo乙部氏がピンチヒッターで参加されるとのこと。8/7/96
 と8/27/96の2回のLIVEでDrumsを担当された方で、プロとして活動されているという大物です。
 ただ、ぶっつけに近い状態でどこまでやって頂けるのか、正直不安な気持ちになりました。

 18:40頃、Opening ActのWhite Snackさんの演奏がスタート。3/28/98の秋葉原Goodman以来の
 共演です。White Snakeのコピーであり、Vocal氏のMCによれば「90年代の最近の曲中心」の選
 曲だったそうです。タイトな演奏であり、特にKeyboardのマダム桜井のシンセがハードな演奏を
 美しく引き締めていました。(&セクシャルバイオレットな御衣装も注目でした)


SETLIST&各曲寸評

 機材チェンジの間は客席とステージの間にスクリーンが降ろされ、ZEPPのコンピレーション物  のビデオが上映されていました。  MR.JIMMYのメンバーがステージに登場したのが20時過ぎ、今日はチャイナ服姿のY姉との観戦  です。  桜井氏は星座をあしらった黒パンツに、左胸に赤いケシの花、両袖にラメ刺繍をあしらった黒  ボレロの上着姿.....そう、73年MSGのSIBLY以降のドンズバ御衣装なのでした。首にはZosoマ  ークのネックレスを着けています。  Moto氏はエンジ色の花柄ジャケットにブルージーンズ。首には77年風のネックレスです。  大塚氏は白地に柄入りの長袖シャツの上に黒地に黄色い刺繍入りのベスト&ジーンズです。  乙部氏は茶系のベルベット風パンツに同系色の柄入り長袖シャツです。(さらに金髪!)  この日の桜井氏のセッティングはGuitar用とTheremin用でMarshallセット(ヘッド1+キャビ  ネット1)を各1台ずつ使用していたようです。Echoplexも2台、各アンプヘッドの上に置か  れていました。キャビネットはどちらもグレーのサランで、左側にはZosoのロゴが施されてい  ました。  大塚氏の機材はAmpegのBass Ampの他、Fender Stage Pianoがステージ正面にド〜ンと鎮座ま  しましていました。ステージ右側に向けてL字方に配置されたMIDI Controller "Roland A-33"  の上に、これまた新兵器!HOHNER Clavinet D6が設置されていました。つまりA-33をMellotron  と見立てれば、75年のジョンジーのKeyboardフルセットが構築されていたワケです。う〜む!  乙部氏のDrums Setはオレンジ色の透明なもので「おお!アンバー・ビスタライトか?」と一部  マニアが騒いでいましたが....これはバスドラの皮に明記されていたように"Fibes"というメー  カーの製品のようです。70年代にはLudwigと並んでプロ・ミュージシャンの間で人気があった  モデルです。大型のドラも背後に設置されていました。 (1) ROCK AND ROLL  オーソドックスなOpeningです。  桜井氏はティーバーストのLes Paul No.2、大塚氏はFender Jazz Bassを使用しています。  Moto氏のVocalは伸びやかであり、PAのバランスも良好です。ただし、DrumsはあまりPAで拾っ  ていないようで、残響がほとんど無いデッドなサウンドです。  全体の演奏は「ちょっと固いかな?」という感じで、乙部氏が時折入れる予測外のフレーズに  他のメンバーが恐る恐る追従しているような印象でした。  EchoplexのDELAY設定がやや長めだったようで、Guitar Soloがグチャっとした感じに聴こえて  しまったのも残念です。Soloの終わりは75年以降の特徴的なフレーズでした。 (2) SICK AGAIN  間髪を入れずに続く、75年定番の曲順です。  桜井氏はGuitarのToneをやや絞り、要所要所でPhaserを踏み分けて多彩なサウンドを繰り出し  ていました。間奏のバックで大塚氏が入れるねちっこいBass Lineが小気味良いです。  最後の方で、Moto氏のVocalにハーモナイザーで数オクターブ上のコーラスが付与されていまし  た。エンディングのDrumsパターンがわずかに合わなかったのが残念です。 「グッド・イ〜ブニング!  どうもおひさしぶりでございます、MR.JIMMYでございます。ちょいと間が空きましたけれども、  MR.JIMMY、また演らせて頂きますんでよろしくお願いします。  え〜、今日はGRAFFITIにも書いてありましたけども、Cokkie栗川がですね、ちょっと家庭の事  情で帰省をしておりまして、今日はMR.乙部がピンチヒッター、代役で....(拍手)。前にも何  回か叩いて頂きまして。今日はDrumsのお仕事が忙しい中、ちょうど、なんとか都合をつけて頂  きまして、ピンチヒッターを勤めて頂きます。よろしくお願いします」 (3) OVER THE HILLS AND FAR AWAY  静のGuitar弾きから始まるお馴染みの曲ですが、桜井氏のピッキングがやや怪しげです。  「本家Jimmyは軽々とこなしているが、実は大変テクニックのいる曲だった」ことを再認識させ  られます。 (4) OUT ON THE TILES/BLACK DOG  この曲、乙部氏のDrumsのテンポが遅過ぎます(^^;)  桜井氏や大塚氏がリードして中盤以降はなんとか持ち直し、終盤は白熱のバトルに持ち込んで  なんとか面目を保っていました。   「乙部さん、とても1回しか音合わせしていないとは思えませんな(笑)。  そう、次の曲は覚えるのが大変だった曲です。  今日も割と長く演りますけど....終電は大丈夫だと思いますので御安心下さい」 (5) IN MY TIME OF DYING  桜井氏はDan Electro 3021に持ち替えます。  Introの途中で大塚氏はおもむろにJazz Bassを肩から下ろし、ステージ下に置いてあった赤の  Arttec Bassに持ち替えていました。ブレークの多い曲なので、繋ぎとしてはほとんど目立たな  かったのですが、やや謎めいた行動でした。75年の演奏であれば別段Jazz Bassのままでも問題  ないハズですが.....何かトラブルでもあったのでしょうか?    全体の演奏はなかなかにまとまったものでした。ストップ&ゴーの複雑な構成ですが、危な気の  ないカッチリとした感じで、乙部プロの底力を見せつけられました。  終盤にYou Shook Meを盛り込む、MR.JIMMYのお馴染みパターンも健在です。 「もう、今日はJimmyさん、楽屋でもうガンガン飲んでましてですね(笑)。顔真っ赤なんですけ  ど。次の曲はまぁ、逆にいい感じになるんじゃないかと。  これからどんどんベロベロになってって、更に本物に....。本物に近づいてヘロヘロになって  いただけると助かると、よろしいんじゃないかと。  ....Since I've Been Loving You!!」 (6) SINCE I'VE BEEN LOVING  桜井氏は再びLes Paul No.2に持ち替えます。  この曲を弾き始める前、本家JimmyはIntroの先頭音である「G音」を鳴らす事が常です。これは  フレット位置の確認だけではなく、曲ごとに細かくセッティングを変えている音色の確認でもあ  ると推測されますが.....。  この日の桜井氏はこの「確認G音」を大きく外して驚きます。(ホントに酔っ払ってた訳じゃな  く、Moto氏のMCを受けてのシャレだと思います)  大塚氏は初公開のFender Stage Pianoを演奏しますが、ミストーンが多くて冷や冷やものです。  どうやら足元のFoot Bassの位置が悪いようで、それを気にしながらの演奏は観客席から見ても  大変そうでした。肝心のエレピの音はややVolumeが低めだったこともあり、「本物」の良さを  あまり感じ取ることができませんでした。これは次回以降のお楽しみにしましょう。 「という訳で、梅雨も明けまして暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?  MR.JIMMYはですね、またちょくちょくLIVE活動をして行くことになりますので、よろしくお願い  します。  次回はですね、8月の14日に池袋のAdmでART ROCK NIGHTのイベントが3日連続でありまして。  それの中日がMR.JIMMYということになっていますので、よろしくお願いします。  次が8月の29日に秋葉原のGoodmanで演ることになりましたのでよろしくお願いします」 (7) THE SONG REMAINS THE SAME  桜井氏はGibson EDS-1275、大塚氏はFender Jazz Bassに持ち替えます。  乙部氏の畳み掛けるようなDrumsがこの曲ではハマっており、怒濤の演奏になっていました。 (8) THE RAIN SONG  前からメドレーで続きます。  Guitarのアルペジオが美しい曲ではありますが、残響が少なくて生っぽかったのが残念です。  ややラフな指使いも、聴いていて気になったところです。  大塚氏がA-33で弾くMellotron Stringsはなぜかピッチがズレまくっており「アララ?」という  感じです。(本物はテープが滑ってピッチがズレるのは日常茶飯事だったらしいが、まさか?)  中盤から入るDrumsもフレーズが今ひとつで、総合的に最後まで聴いているのが辛い1曲となっ  てしまいました。 「大塚さんも、ちょっと見ない間に機材が増えまして(笑)」 (9) KASHMIR  桜井氏はチェリーサンバーストのLes Paul No.1を手にします。昨年11/22のワンマンLIVEと同  様、75年を意識したGuitar選択が面白いところです。  大塚氏はA-33でMellotron Stringsをシュミレートしつつ、新兵器「Honer Clavinet D6」で  カウンター・フレーズを挿入しています。音的/Visual的に、文句無しのカッコ良さでした。  乙部氏のハイハットにはフランジャーが掛けられており、ショワショワの音が気分です。  前曲の不出来を一掃する、会心の一曲でした。 「そう言えば、昨夜『今週の所さん』という番組で、Von Halenがなんと!出ていました。  相変らずケツ出してたんですけど(笑)  我々にもその(出演)話は、あったことはあったんですよね?先生?(桜井氏を見る)  で、なくなっちゃったんですよね?このところLIVEがしばらくなかったもんですから、まぁ取材  は無しということで、延期ということになってしまいました。  そのうち出るかも知れませんので、その時はよろしく....」 (10) TRAMPLED UNDERFOOT  桜井氏はLes Paul No.2に持ち替えます。  Clavinetと言えばこの曲な訳で、大塚氏は期待通りに弾きまくってくれてます。本物はさすがに  音のパワー/抜け共に一際輝いており、大音量のDrums/Guitarに負けないで対抗していました。  あとはジョンジー先生と同じに「立って」弾いて頂ければ完璧でしょう(^^;)  終盤は構成が怪しいところもありましたが、Moto氏が「Gallows Pole」の歌詞を交える等の小技  も光り、これまた迫力の演奏となっていました。 (11) NO QUARTER  Fender Stage Pianoと言えばこの曲な訳でして、大塚氏の指先に観客の期待が集中します。  が、しかし!これまたFoot Bass絡みのミストーンが多く、厳しい展開となっていました。  ただしA-33で弾くアコースティック・ピアノ音でのSoloは秀逸で、展開の読めない不思議な雰囲  気のジョンジー節が見事に再現されていました。  桜井氏が放つThereminはちょいVolume大き過ぎで、演奏から浮いた感じだったのが残念です。  最後の方がやたら長く、「いつエンディングになるんだ?」と不安になる程でした。 「それでは、今日のDrumsはピンチヒッターの乙部さんということですけど、やっぱりここはプロ  の腕前を見せて戴かないといけないということで(笑)  タンバリンも(ハイハットの上に)置きましたので....では、披露して頂きましょう。    ミスター乙部......モビ、ディーック!!!!」 (12) MOBY DICK  桜井氏はLes Paul No.1、大塚氏はJazz Bassを手にします。  Drums SoloはいわゆるBonzo風ではなく、素手叩き等はナシです。ただ、小気味良いフレーズを  淀みなくポンポンと繰り出してて、聴いてて全くダレるところがありません。  ブレークを挟んで叩き出したのがPoor Tom/The Crunge/Royal Orleans/Good Times Bad Times/  Bonzo's Montreux等のZEPP曲であり、Drumsによるインストという面白いアプローチでした。 「凄かったですね、さすがプロ!  あ、乙部さん、活動のインフォーメーションないすか?....ない?....ないそうです(笑)  そのうちあるそうで、出てきますから顔を覚えておいて下さい」 (13) STAIRWAY TO HEAVEN  桜井氏はEDS-1275、大塚氏はA-33の前に座ります。  青の照明をバックに歌うMoto氏のVocalは、神々しいまでのZEPPワールドです。  大塚氏のMellotron Fluteのシュミレーションは完璧で、ステージ正面のエレピにスイッチする  という本家ジョンジーそのままの演奏も涙ものでした。(以前はA-33の音色切替のみだった)  Drumsの最初の入りが中途半端だったのは聴いててコケましたが(^^;)、Solo以降は盛り上がり  全体としてはなかなかの出来となっていました。 (14) HEARTBREAKER  Drumsの短いSoloから入る、73年のアレンジです。  桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はJazz Bassです。  終盤の畳み掛けるDrumsがスピード感充分であり、タイトな演奏となっていました。 (14) WHOLE LOTTA LOVE - EVERYBODY NEEDS SOMEBODY TO LOVE - BOOGIE CHILLIN' - THAT'S ALRIGHT MAMA - GOOD TIMES BAD TIMES  Drumsのロールからメドレーで繋がる、これまた73年独自の形式です。  お約束のTheremin Soloは、Moto氏のVocal掛け合いと大塚氏の粘っこいBass Lineと相まって  スリリングで面白い展開となっていました。  MR.JIMMYの十八番であるBOOGIE CHILLEN'はややDrumsが走り気味だったのですが、桜井氏が  一歩も引かず、神ワザ的な早弾きで追従していたのが見せ場でした。  白熱のGood Times Bad Timesを経て、ゴングの連打でエンディングとなりました。  メンバーは手を振りながらステージを去ります。 [Encore] (12) COMMUNICATION BREAKDOWN  アンコールを求める拍手に応え、メンバーが再登場します。  桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はJazz Bassを手にし、演奏したのはこの曲でした。  スピード感のある好演奏だったのですが、最後のブレークで大塚氏だけが終われず、再び他の  メンバーが演奏を繰り返して帳尻を合わせていました。  演奏後、メンバーがステージ前に一列に並び、観客に深々とご挨拶をしていました。
感想  演奏が終了したのは23時過ぎであり、実に3時間近い演奏でした。  ハプニングありありでしたが、トータルとしては迫力のあるLIVEだったと言えましょう。    栗川氏欠場が決まったのは数日前であり、ピンチヒッターの乙部氏はほとんどリハーサルもで  きない状態だったそうです。それでいてあれだけの演奏をして戴いたのですから、これはもう  さすがプロと言うしかありません。僭越ながらMR.JIMMYファンを代表してお礼を申し上げます。    個人的にはKASHMIRにおける大塚氏のClavinetの使い方が収穫でした。LIVE後に大塚氏にお尋  ねしたところ、「75年だけ、ジョンジーはKASHMIRでClavinetを使っているんですよ」との事。  家に帰って音源をチェックしましたが、確かにその通りでした。う〜む、勉強になる。  Fender Jazz Bass、Stage Piano、Clavinetと、本物志向まっしぐらの大塚氏。次はMoog Taurus  か、Mellotronか?....「限りなき戦い」はここでも繰り広げられているようです。
ひとつ上に戻る