Live at Live Garage Adm,
Ikebukuro, Tokyo, Japan, 28th June, 1996

MR.JIMMY Live at Live Garage Adm, Ikebukuro, Tokyo, Japan, 28th June, 1996
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookkie Kurikawa






開演に先立ち...

 MR.JIMMYのLIVEを初体験しました。  前知識はチラシや雑誌での写真のみ!ZEPPのコピーバンドであることしか知りませんでした。  ちょっと不安を抱えつつ池袋駅に降り立ちました。 ●日時  1996年6月28日(金) ●会場  LIVE Garage Adm    池袋東急ハンズ前の道を右折したビルの地下1F。キャパは詰めて100人くらい。    ステージはかなり狭く、客席も20個くらいのスツールだけであとはスタンディング。    当日はART ROCK NIGHT Vol.122ということで、ジミ・ヘンドリックスのコピーバンドである    "Electric Lady Band"とのジョイントLIVE。MR.JIMMYが先に登場する形式でした。 ●メンバー  ・Jimmy 桜井氏 (Guitar)  ・Professor 大塚氏 (Bass/Keyboard/Guitar)  ・Parcy Moto氏 (Vocal)  ・Cookie 栗川氏 (Drums)  入場時に配布されたチラシには「前メンバーであるBonzo 浅羽氏が一時休養し、今回より  2ステージは栗川氏がDrumsを担当する」旨書かれてありました。  う〜ん、ZEPPサウンドの中核たるドラマーがニューメンバーか〜。  ビールを飲みながら、ちょっと不安になった私です。

SETLIST&各曲寸評

 客層は20歳前後の若い女の子を中心に、スーツ姿のおじさんもちらほら(私ですか?)  7時10分くらいに、ステージ奥の控え室からおもむろにメンバーが登場。 (1)WE'RE GONNA GROOVE  短い音出しの後、鋭いスネアの連打。マニア好みのオープニングです。  なんと、Vocalが歌えてます(失礼!)。うねるようなHeavyな演奏です。  いやいやいや...(×128)これは期待できます。 (2)THE ROVER  「ふむ、SICK AGAINか〜ちょっとフェイザーがキツいかな?」などと思っていたら、なんと  そのまんまTHE ROVERでした。考えてみれば何の不思議もないんですけど、ブート病ですね(^^;)  ZEPPではステージでフル演奏されたことがなく、73年Chicagoリハーサルで軽く流した音源が  残っているのみですが、これはもちろんフル演奏です。  本家Jimmyお得意の、ワウを踏み込んだトレブリ〜な音色でギターソロを披露しています。 (3)RAMBLE ON  ペイジ・プラントの演奏曲として耳に馴染んでいましたが、よく考えるとこの曲もZEPP時代に  フル演奏されたことがありません。  イントロはペイジ・プラントVersionより細かい(?)ピッキングを入れてます。  終盤ではブレークを設けて、大塚氏のベースのソロ弾きをフューチャーしてます。  「うーむ、MR.JIMMYって単なる完コピじゃないのね」と、ここでようやく気づきました。 (4)OVER THE HILLS AND FAR AWAY  静のコードワークからハードな音への切り替えの時、エコーの切れかたが唐突で気になりまし  た。ただし、間奏はギター/ベース/ドラムが一丸となっての怒濤の演奏です。  Vocalは73年のキーを下げたVersionではなく、アルバムVersionに近いものでした。 (5)TEA FOR ONE  「ペイジ・プラントにインスパイアされて...」とのMC。彼らも初めての演奏だそうです。  ペイジ・プラントVersionはストリングスをフューチャーした重厚なアレンジでしたが、ここで  はアルバムに近いシンプルなアレンジです。大塚氏もキーボードではなくベースを手にします。  また、ペイジ・プラントでのJimmyのギターは甘い音色でデリケートなイメージでしたが、桜井  氏はゴリゴリした音色で粗削りな感じのアプローチです。  ZEPPでは全く演奏されてない曲ですが、71年頃のSIBLYをダブらせて不思議な懐かしさを感じま  した。 (6)THE SONG REMAINS THE SAME  ここで桜井氏がGibson W-neck(EDS-1275)に持ち替えます。ラージヘッドでテールピースの位置  を下に移動させた、いわゆる「Jimmy仕様」です。  ベースが裏で派手に動く、79年Versionに近い感じのアレンジです。  Drumsがちょっともたつく感じなのが気になりました。 (7)THE RAIN SONG  Introのピッキングが少し怪しげです。  シンセでMellotronの音を代用してます。ちょっと細い感じですが、許せる範囲です。 (8)TEN YEARS GONE  桜井氏はストリングス・ベンダー付きの赤いTelecasterに持ち替えます。「まさか、Hot Dog?」  などとひとり心の中でボケていたら、やはりこの曲でした。  大塚氏がOvationの12弦を弾きながらフットベースを入れるという涙モノの演奏です。  Parcy氏のVocalにエンディング近くでハーモナイザーをかけていたようですが、残念ながら  客席ではほとんど聴こえませんでした。 (9)STAIRWAY TO HEAVEN  ブルーの照明の中、ムードたっぷりの演奏です。Parcy氏のVocalも情感たっぷりです。  ギターソロは73年MSG初日のアレンジを基本に、後半微妙に違うフレーズを披露してくれます。  ソロ後のシャウトはキーを下げないMSG2日目Versionです。 (10)MOBY DICK  Parcy氏のMCから、どうも演奏予定になかった曲のようです。  桜井氏のリフが多少乱れますが、なかなか良い雰囲気です。  中盤、栗川氏のドラムソロがあり、メンバーは楽屋に引っ込みます。迫力あるプレイです。  Bonzoの素手ドラミングのパート前あたりで「出てきてヨ〜!」という栗川氏の泣きが入ります。  リラックスした雰囲気の中、演奏が再開されますが、Heavyで実に良い演奏です。 (11)HEARTBREAKER/WHOLE LOTTA LOVE  いやー、これも良い演奏だ!  73年のメドレー形式の2曲で、HeartbreakerのIntro前にDrumsが入るパターンです。  桜井氏は、ヘッドの弦押しプレイをキメてくれます。続くWhole Lotta Loveではテルミンソロを  披露。テルミンはロッドアンテナ式の、本人と同様の形です。  Let's That Boy Boogieはシャッフルのノリがギンギンで気持ち良いです。  さらにThat's All Rightが挿入。これはおそらく73年には演奏されていませんから、独自の  アレンジと言えましょう。 [Encore] (12)CUSTARD PIE  ベースのハイポジションの音が微妙にずれた感じで気になります。  Parcy氏がMouse Harpを披露してくれてますが、マイクの音量が低くてよく聞こえません。 (13)ROCK AND ROLL  Parcy氏はアルバムと同じキーで歌ってくれます。  Solo後のキメ部分でParcy氏/桜井氏でジャンプをキメてくれますが、天井が低いためか  飛距離が小さいのが残念です。
●感想  非常に楽しいステージでした。  Vocalが聴こえづらい/スローな曲でのギターミスが多い、等のマイナス点もありましたが、そ  んなことが些細な問題に感じられるほど、彼らが繰り出すサウンドに確かな迫力を感じました。  「ZEPPのコピーであるが、単なる形態模写ではない」そんな奥深さを垣間見た気がします。  MR.JIMMYの演奏を聴いてまず驚いたのが、VocalのParcy氏がRobertのパートを実に無理なくこな  していたことです。発音もさることながら、キーも問題なし。歌い回しのニュアンスも良好でし  た。この日は扁桃腺が腫れててコンデションは最悪だったそうですが、これで絶好調だったらど  んなにすごいか...。某完コピ(を自慢してる)バンドがどーやってもZEPPと違うのは、この  Vocalの違いによるところが大きいのではないでしょうか。  大塚氏のマルチプレーヤーぶりも脱帽ものです。本職(?)のベースもAtlantic Record 40周年  記念ステージの延長線にあるようなコンテンポラリーな音で好感が持てましたし。  Drums栗川氏も臨時参加とは思えないハマったプレイを披露してくれてました。  そして、なによりも特筆すべきなのが、桜井氏のスター性でしょう。  ギターを弾き出した瞬間にあんなに華を放つヒトはそうそういないと思います。  Jimmy様/麗しの黄金期(by 沼田先生)を演じきるにはこのヒトしかいない!と感じてしまい  ました。