Live at "1G" Electric Church Love,
Akasaka, Tokyo, Japan, 2nd June, 2001

MR.JIMMY Live at 1G Electric Church Love, Akasaka, Tokyo, Japan, 2nd June 2001
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookie Kurikawa


開演に先立ち...


●日時

 2001年6月2日(土)

●会場

  赤坂 1G Electric Church Love

 諸事情により、ほぼ1年ぶりの観戦です。
 告知ハガキには「"Blueberry Hills" Special」とあり、高名ブートの再現を匂わせています。

 以前の同会場はオールド・ギター・ショップと兼用でしたが、販売の方は別のフロアに移って
 しまったとのこと。名前も若干変わって、ごく普通のライブハウスになっていました。
 これにより若干フロアは広くなったような気がしますが、超満員の観客で立錐の余地もありま
 せん。

 18:30頃、元ボン・ヘイレンのギタリスト「えーでー氏」率いるバンドの演奏が始まります。
 このところ活動の噂を聞かないボン・ヘイレンさんですが、えーでー氏の華麗なギターワーク
 は健在でした。

SETLIST&各曲寸評



 1時間程のえーでー氏の演奏に続き、MR.JIMMYのメンバーが登場したのは20時近くでした。
 Moto氏は長袖のラメラメシャツにブルージーンズ、大塚氏は白のウェスタンシャツにブルー
 ジーンズ。栗川氏は茶皮のベストを素肌に羽織り、下はブルージーンズでした。
 桜井氏は白Tシャツにブルージーンズ、前半は白地に細かい柄の入った長袖シャツを羽織ると
 いう、初期セット向き(?)の地味ないでたちです。

 この日の桜井氏のセッティングはMarshallセット(ヘッド1+キャビネット1)を2式。
 どちらのキャビネットもグレーのオールドタイプのサランで、Zosoロゴは無しです。
 各ヘッドの上にはEchoplexが1台ずつ設置されています。ステージ右脇にはThereminの姿
 も確認できました。

 ステージ左にはMIDIコントローラROLAND A-33、その上にYAMAHAのオルガンSK30が設置され
 ていました。

 栗川氏は愛用のLudwigブラック・スパークルです。背後にはドラが設置されていました。
 
(1) WE'RE GONNA GROOVE
 桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はJazz Bassを手にします。  オープニングは意外にもこの曲です。ブート「Live on Blueberry Hills」は70年9月4日の  LA公演を収録したものであり、時期的にはImmigrant Songで始まるセットだからです。  ちなみにWe're Gonna Grooveで始まるセットは70年1月から4月までで、LIVE映像のリリース  が期待されるロイヤル・アルバート・ホール公演がこの時期にあたります。  演奏はカチッとまとまったものであり、栗川氏の重いドラムが雰囲気を高めています。  中盤のギターソロの直前、桜井氏はアンプのセッティングを変更していました。
(2) IMMIGRANT SONG
 間髪入れずに続きます。勿論本家ZEPPでこういう曲順で演奏されたことは無い訳であり、この  日のMR.JIMMYの演奏がオリジナル路線であることが伺い知れます。  Moto氏のヴォーカルにエコーが効いてないのが気になりましたが、畳み掛けるような演奏で迫  力十分です。大塚氏はピック弾きにスイッチし、ゴリゴリとリフを演奏しています。
(3) HEARTBREAKER
 これまた間髪入れずです。  中盤の無伴奏ギターソロが聴き所ですが、「ジ〜〜」というハムノイズが気になりました。 「どうもありがとうございます、MR.JIMMYでございます。  皆さんには今日初めてお目にかかりますけど(笑)、よろしくお願いします」
(4) DAZED AND CONFUSED
 お約束の長尺曲です。桜井氏はイントロのワウ技がイマイチ不発気味でしたが、中盤の弓芸  では熟練した匠の技を披露してくれました。時々飛び散るニカワの粉も雰囲気です。
(5) BRING IT ON HOME
 一息ついた後、再開したのはブルージーな雰囲気を持つこの曲です。  いつもはオフ気味のMoto氏のBlues Harpが、この日はいい感じで聞こえています。 「という訳で、MR.JIMMY、久々のアコースティック・セッコ....アコースティック・セット。  噛んでしまいました(笑)。まぁ、その、先生がですね(桜井氏の方を見て)、新しいギター  を入手なされて...、これを演らない訳にいかなくなりました(笑)  すいませんね、MR.JIMMYですから。よろしくお願いします」
(6) BRON-YR-AUR
 中央にスツールが置かれ、桜井氏が座りで演奏します。手にしたアコギは、ハーモニー社の  Sovreign。本家Jimmy Pageが初期に愛用していたモデルそのものです。Dan Electro同様、  Jimmy以外のプロ愛用者がいないこともあり、オールド市場でもレア中のレアな逸品です。  曲順から言えばThat's The Wayの次に演奏されるのが本家版ですが、ステージの流れからす  ればこの方が自然な気がします。  肝心な演奏の方も、繊細なピッキングが雰囲気ありありです。本家はこの時期、アコギのサウ  ンドホールにマイク本体ごと突っ込んで集音していましたが、桜井氏もそれを踏襲。外部にマ  イクを立てず、ボディ内部にピックアップを入れて集音していました。トレブル気味の枯れた  音が、ブートで聴けるあのサウンドに肉薄していました。
(7) THAT'S THE WAY
 ステージにスツールが追加され、メンバー全員が着席します。  大塚氏はGibson A2 Mandlin(筆記体ロゴがヘッドにある方)、栗川氏は皮付きタンバリンを  手にしています。非常に難易度の高い曲ですが、この日は非常にこなれた感じの演奏です。
(8) GOING TO CALIFORNIA
 栗川氏が退場して3人になります。リラックスした、良い感じの演奏に仕上がってました。
(9) SINCE I'VE BEEN LOVING YOU
 栗川氏がドラム席に戻り、大塚氏はキーボード席に着きます。桜井氏はLes Paul No.2を再び  手にします。大塚氏はA-33でエレピ音、サビでオルガンにスイッチしています。  全体的に「ダークでブルージー」なサウンドであり、本家の70年頃の演奏の雰囲気を見事に再  現していました。
(10) THANK YOU
 荘厳なオルガンソロでスタート。桜井氏はステージを一旦降り、上着を脱いでTシャツ姿で再登  場します。ゆったりしたDコードのアルペジオで曲に突入します。  光と影が交差するZEPP節を、余裕たっぷり演奏しています。ギターソロが秀逸で、弾きまくり  の桜井氏にバンド全体が牽引されて行く様が、客席から見てて「心地良し!」でした。 「あ、そうだ!最初に言い忘れましたけれども、終電の危ない方はとっととお帰り下さい(笑)。  これ言わないと、ちょっと...お約束なんで(笑)」
(11) STAIRWAY TO HEAVEN
 桜井氏はW-Neckに持ち替えます。  ごく自然な流れで始まりましたが、この曲の初演は71年初頭であり、ちょい早過ぎの選曲です。  メンバーからのファンサービスというところでしょうか?  最初期を意識してかアクションもほとんど無く、ギターのフレーズもおとなしめですが、それが  逆に凄みのある重厚な演奏となっていました。これはこれで良しでしょう。  演奏後、前席のマニアな観客(私の知り合い)から選曲に関する指摘がありましたが、Moto氏は  「どうしても演りたかったんだも〜ん!」と可愛く返していました。
(12) WHAT IS AND WHAT SHOULD NEVER BE
 桜井氏がLes Paul No.2、大塚氏がJazz Bassに持ち替えます。  一度演奏がスタートしますが、大塚氏からストップの声が出ます。シールド線のトラブルだった  ようですが、Moto氏は「また!わざとらしい!」と笑っていました。ブートの演奏をもじったか  のような口ぶりでしたが、確認したところBlueberry Hillsにはそのような場面はありませんで  した。 「じゃあ、いよいよ、お腹がゆるゆるの....ビールでゆるゆるの(笑)Cokkie栗川が...  行きますよ?....Cookie栗川、モビー・ディック!」
(13) MOBY DICK
 冒頭のインストパートで桜井氏の手元が微妙に怪しく、やや不調な滑り出しです。  栗川氏のドラムソロは手堅い演奏で、叩きながらタムの位置を直す余裕の場面もありました。
(14) WHOLE LOTTA LOVE
 おもむろにイントロリフから始まる、正調Versionです。  この日のThereminは感度抜群で、桜井氏の手かざし加減で自在にコントロールされてました。  メドレーはLet That Boy Boogieのみで、意外にもあっさりエンディングを迎えました。  拍手喝采の中、メンバーはステージを後にします。

[Encore-1]

(15) OUT ON THE TILES
 メンバーが再登場。いきなりリフで始まったのがこの曲ですが、Moto氏が歌に入れずに演奏が  中断されます。メンバー苦笑の中、もう一度リフが刻まれて演奏が再開します。  本家ZEPPがこの曲をステージで演奏したのは70年9月4日のLA公演のみと言われており、ここに  来て告知に沿った展開を見せてくれていました。
(16) COMMUNICATION BREAKDOWN
 間髪入れずに演奏されたのがこの曲です。  メドレーはGood Times Bad TimesとFor What It's Worthの2曲で、70年9月4日に演奏され  た3曲目のI Saw Her Standing Thereはオミットされてました。  見せ場は2曲の間に挿入されたベース・ソロで、普段あまり聴けない大塚氏のベース技を十分  堪能することができました。
(17) BLUEBERRY HILLS
 次回ライブ告知の後、Moto氏が歌い出したのがこの曲です。本家ZEPPのおちゃらけカバー曲で、  70年9月4日と72年6月27日の2日のみ音源が残っています。  かったるいリズムの諧謔的な曲調ですが、本家ZEPP同様、摩訶不思議なロックナンバーに仕上  がっていました。  演奏後、メンバーはステージ前に一列になって客席に挨拶し、ステージを降ります。

[Encore-2]


(18) ROCK AND ROLL
 鳴り止まぬ拍手に応え、再度メンバーが登場します。  客席からのリクエストに応じて(?)演奏されたのがこの曲です。初演が71年初旬ですから、  Stairway to Heaven同様、観客へのサービス曲ということでしょう。  演奏の方も年代を特定できないフリーフォーマットで、特にギターソロは気ままなフレーズ  を散りばめた「特別ヴァージョン」となっていました。  演奏後、再びメンバーが一列並びで挨拶し、ステージが終了しました。

感想



 約2時間半のステージでした。対バンありとしては、かなりの長丁場と言えましょう。
 個人的には約1年ぶりの観戦であり、メンバーの演奏力の向上に驚きを覚えた一夜でした。

 この日のトピックスと言えば、幻のアコギ「ハーモニー」のデビューでしょう。
 ClevelandのRock'n Roll Hall of Fameに展示してある本物を見たことがありますが、この
 時以外には楽器屋でも雑誌でも見かけたことがありません。いやーよく発見されました。

 本物嗜好がヒートアップしているMR.JIMMY、次はやっぱり黒ドラゴンでしょうか?


ひとつ上に戻る