Live at "ON AIR Planet K",
Ikebukuro, Tokyo, Japan, 14th May, 2000

MR.JIMMY Live at ON AIR Planet K, Kichijoji, Tokyo, Japan, 14th May 2000
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookie Kurikawa

Achilles Last Stand

開演に先立ち...


●日時

 2000年5月14日(日)

●会場

  ON AIR Planet K

 嬉しいワンマンです。告知ハガキには「3 Hours Of A Night In 1977」と明確に本日のコン
 セプトが打ち出されていました。事前にここまで手の内を明かすのは恐らく初めてであり、今
 日の演奏に関する自信が窺い知れます。

 今日の会場は渋谷のON AIR East/Westの系列店で、昨年(1999年)にできた新しいところです。
 雑居ビルの地下1Fにあり、いわゆるライブハウスそのものの佇まいです。

 17時半ほぼぴったりに開場。本日は前から2列目右側をキープ(結果的に前の人の頭で写真が
 うまく撮れませんでした....)。
 フロアは縦長で、椅子が80席。立ち見を入れると100人ちょいというキャパです。

SETLIST&各曲寸評



 MR.JIMMYのメンバーが登場したのは18時頃。時間厳守です。
 Moto氏は花柄ジャケットにブルージーンズ、首にはRobertネックレスといういでたちです。
 大塚氏は白のウェスタンシャツにブルージーンズ。栗川氏は黒タンクトップにブルージーンズ
 姿でした。
 そして桜井氏は....まばゆく輝く白ドラゴン!白マフラーにサングラスというお約束も健在で
 す。首にはいつものターコイズの他、髑髏と十字架を組み合わせた白いネックレスをかけてい
 ます。

 この日の桜井氏のセッティングはMarshallセット(ヘッド1+キャビネット1)を2式。左側
 のキャビネット前面にはZosoマーク入りです。各ヘッドの上にはEchoplexが1台ずつ設置され
 ています。さらに右側のヘッド上にはハーフラックのエフェクターが2台確認できました。
 ステージ脇にはThereminもありありです。

 ステージ左の大塚氏のキーボード席は、正面に向かってFender Rhodes Stage Piano。その右
 側にはMIDIコントローラROLAND A-33がL字型に設置されています。Rhodesの上にはマエスト
 ロ社製のPhase Shifterがしっかり置かれています。背後のBass Ampはキャビネットは黒いサ
 ランのAMPEGで、ヘッドはメーカー不明のものを複数台使用されているようでした。

 栗川氏は黒地にラメ入りのLudwig。背後にはドラが設置されていました。
 
(1) THE SONG REMAINS THE SAME
 軽い音出しの後にスタート。お約束のDコード一発はやや控えめでした。  桜井氏のW-Neckですが、事前情報によると「カスタムメイドしたボディに、前のEDS-1275のパ  ーツを載せ替えた」ニュー・バージョンとのこと。木目が鮮やかで、ルックス的にはより本物  Jimmy Pageモデルに近づいた感があります。サウンドは以前のものに比べてややトーンが甘い  ように聞こえます。  大塚氏はナチュラルのArt Tech Bassです。ウォームなトーンとビキビキした弦鳴りのトーン  が混在していましたので、ひょっとして出力を2系統パラって2つの音質をMIXしているの  かも知れません(想像です)。  今日のPAは大きからず、小さからず、非常に良いバランスです。Vocalもハッキリ聞こえてて  Moto氏も歌い易そうです。ただし演奏の方はややラフで、随所で??なところがあります。
(2) SICK AGAIN
 間髪を入れずにこの曲です。ここでもひたすらHEAVYなサウンドに圧倒されます。   「グッド・イブニング!....どうもこんばんは。MR.JIMMYでございます。  今日はですね、ワンマンライブということで。勘違いしている私達なんですけども。  長々と演らせて頂きますので、キツくなった方は、とっととお帰り下さい(笑)」
(3) ROYAL ORLEANS
 桜井氏がLes Paul(新No.2)に持ち替えてスタートしたのは、意外な選曲でした。  ZEPPがステージで演奏したことのない曲であり、今日のコンセプトが単純に1977年セットリス  トそのままでないことが伺い知れます。ちなみにMR.JIMMYにとっても1997年8月31日以来とい  う超レア曲です。  桜井氏の華麗なコードワーク、Moto氏のエフェクターをかけたアグレッシブなVocal等、見所  は沢山あったのですが....演奏がこなれておらず、リズムが合わない部分が気になりました。
(4)NOBODY'S FAULT BUT MINE
 間髪入れずにこの曲です。Introの間に、大塚氏は悠々とRickenbacker 8弦Bassに持ち替えて  いました。   「まだまだ、長いですよ。1回の表裏の攻防が終わったあたりですね」
(5) IN MY TIME OF DYING
 桜井氏はDan Electro 3021に、大塚氏はナチュラルArt Techに持ち替えます。  今までの桜井氏はメタル製のスライドバーを中指にはめていましたが、今日は薬指にはめて  います。本家Jimmyが薬指派ですから、このあたりは要チェックポイントでしょう。  やや栗川氏のDrumsのオカズの重さ(タメ?)が気になりましたが、全体としては迫力の演奏  でした。特にMoto氏の「My Jesusコーナー」がいつになく本気度が高く、キマってました。  最後にYou Shook Meのフレーズ有りなのもMR.JIMMY恒例です。 「最近、ちょっと不穏な噂がありまして....MR.JIMMYがオリジナルCDを制作中だというデマが  流れてますけども....。まだ全然できてませんので(笑)予約しないで下さい!  私のところにもまだ音が来てないんですよ、お願いしますよ(桜井氏の方に向かって)。  私のところに来てから半年かかりますから、もう、年内は無理です。  という訳で、せかさないで下さい。我々も忙しいものですから。何が忙しいのか分からない  ですけれど(笑)」
(6) SINCE I'VE BEEN LOVING YOU
 桜井氏はLes Paul No.2に持ち替えます。  77年の本家Jimmyの演奏はややアドリブが散漫で、全体的にメローな雰囲気が漂うのが特徴  ですが....桜井氏もそのあたりを巧みに表現しています。  大塚氏は久々に登場のFender Rhodesを演奏。重い鍵盤の返りを利用し、指先でコロコロ転  がすようなフレーズが本物ならではのカッコ良さです。  Moto氏の情感たっぷりのVocalも光っており、なかなかの好演奏でした。 「Jimmy Page, Guitar!!(拍手)」
(7) NO QUARTER
 続いて大塚氏が奏でたのは、この曲の印象的なエレピのIntroでした。  ここでもMoto氏のVacalが冴え渡り、巧みにかけられたエコーと絡み合って幻想的なサウン  ドを醸し出しています。桜井氏の今年になってから新調したという特製Thereminも、良い  感じで響いていました。  ...が、しかし!Thereminの余韻の中、77年恒例のアコピ・ソロがなかなか始まりません。  大塚氏はMIDIコントローラA-33に向かってあれこれスイッチを操作しますが、音が出ない  模様。ここで大塚氏はサッサとあきらめ、再びRhodesに向かってソロを再開しました。 「ちょっと前までテレビのCMで、001番KDDのCMで....ニューヨークのBLUE NOTEで  デビューしたという、鈴木シゲコちゃんてジャズシンガーが出てたんですけど。  彼女は同級生でして(笑)。同級生シリーズ第三弾で、青島達也、大澄賢也に続く....。  私の田舎、浜松の同級生で。出世したかなという。ただそれだけなんですけど(笑)。  ここは昔話をするコーナーでして(場内爆笑)。15年以上も前になってしまいましたけれ  どもね。準備もよろしいようで。Ten Years Gone....」
(8) TEN YEARS GONE
 桜井氏はString Bender付きのTelecaster Modelを手にします。IntroでBender技が不発と  なり、一瞬ヒヤリとしました。  大塚氏はステージ前に座ってOvation 12弦とフットベースを演奏しています。  桜井氏は後半でピッチシフターを駆使し、厚いサウンドを聴かせてくれますが....。  あえて苦言を言わせて頂ければ、この曲の再現性は今一歩だと思います。  静/動が交互する複雑な構成のミドルテンポであり、ロックバンドとしてはおよそ演り辛  い曲です。しかし、それを事も無げにステージで演奏するのがZEPPの凄さであり、これに  肉薄するのは並大抵のことではないでしょう。  このレビューを書くにあたってZEPPの音源を聴き返しましたが、BonzoのDrumsがこの曲の  要であると感じられました。スカスカで単調になりがちなサウンドを、巧みなリズムワー  クで盛り立てているのです。  このあたり、栗川氏の頑張りに期待したいと思います。  「それでは、次はアコースティックを演ります。  ドリフみたいに舞台がグル〜と回ると簡単なんですが(笑)ちょっと時間がかかります。  しばらくお待ち下さい」
(9) THE BATTLE OF EVERMORE
 ステージ前に、左から大塚氏/Moto氏/桜井氏/栗川氏がスツールに腰掛けます。  桜井氏は自前のGibson A-2 Mandolin。エフェクト控えめのナチュラルサウンドでのアプ  ローチです。大塚氏はOvation 12弦。せっかくのVocalがOFF気味なのが残念です。  栗川氏はお約束の皮なしタンバリンです。マイクからの距離を離したり近づけたりして、  サウンドを調整しているのが正しくBonzo流で嬉しいところです。 「こういう、ワンマンという贅沢な時間の使い方でないと、アコースティックをキチンと  演れないものですから....ごゆるりとおくつろぎ下さい(笑)」
(10) GOING TO CALIFORNIA
 桜井氏のA-2 Mandolinを大塚氏が持ち、桜井氏はMartin D-28に持ち替えます。  幻想的な雰囲気に酔いしれていたのですが、中盤からMoto氏が1拍早く歌い出してしまい、  ちょっと現実に引き戻されてしまいました。 「あ、大塚さんの新兵器が!また〜、こんなもの買っちゃって。  だからおふくろさんに怒られるんですよ。『ミノルさん、しっかりしなさい!』って(笑)」
(11) BLACK COUNTRY WOMAN/BRON YR STOMP/DANCING DAYS
 大塚さんがステージ脇から運び出して来たのがアップライト・エレクトリック・ベース。  ジョンジーが77年ステージでFRAMUSというメーカーのものを使用していましたが、ついに  こんなものまで手を伸ばされてしまいました。  この日の桜井氏は、アコギの指さばきが圧巻!今まで「アコギを弾く桜井氏の姿」という  のはあまり印象に残らなかったのですが、この日はまぁ指が動くこと動くこと!  出てくるサウンドは確かに本家Jimmyのフレーズですから、77年頃のJimmyもこのように弾  いていた訳で....。「おクスリでラリってフラフラ」な印象が強い77年Jimmyですが、こ  んなに凄まじいプレイをしていたのですね。感動してしまいました。  DANCING DAYSが挿入されてて意外な気がしましたが、家に帰ってから調べたら、本家ZEPP  も77年に同様なメドレーを演奏していました。(皆さんも調べてみましょう) 「さて、このへんで、本日の主役......  それではJimmy桜井が、36年の渾身の積み重ねを皆様に披露するということで....」
(12) WHITE SUMMER/BLACK MOUNTAIN SIDE
 桜井氏ひとりがDan Electro 3021を手にし、スツールに座りながらの演奏です。  ちょい気になったのが、Jimmy Page奏法の基本技である「ヘッドの弦押しベンド」の時の  ギシギシという摩擦音でした。(細かいことですみません)
(13) KASHMIR
 前曲から繋がる、77年ならではのパターンです。ハイハットにフェイザーをバッチリかけて  いるのが気分です。大塚氏はA-33でMellotron Stringsを巧妙にシュミレートしています。  中盤以降は構成が怪しげでしたが、全体としては迫力の演奏でした。 「それでは、次は本日の準主役の栗川先生....お時間でございます。  OK、Cookie 栗川、Over The Top!!!!」
(14) OVER THE TOP
 OUT ON THE TILESのリフでスタートし、栗川氏のDrums Soloコーナーに。  この日はやや精彩を欠いていた栗川氏ですが、ここに来て俄然パワーアップ!長尺のソロ  をダレることなく、ガンガン叩いてくれました。Drumsのチューニングがやや低めだった  ようで、サウンドの方も「当社比30%増」の太くて迫力ある音でした。 「えー、MR.JIMMYの次回LIVEは、6月3日に赤坂のファースト・ギターというところで行い  ますので、よろしかったらお越し下さいませ。  その1週間前に某所で....それはいいですね?(笑)  内容は、何でございますかね、先生?(桜井氏を見て).....聴いてねぇや(笑)  多分、古いブルースとか、そこらへんを演奏すると思いますけども。  MR.JIMMYの結束の固いところをお見せします。どこがだよって?(笑)」
(15) DAZED AND CONFUSED
 桜井氏はLes Paul No.2を、大塚氏はナチュラルArtTechを使用しています。  ZEPP 77年TOURではJimmyのエフェクトたっぷりのギターソロが挿入される位置ですが、  MR.JIMMYはその元ネタとも言えるこの曲をフルバージョンで演奏してくれました。  「花のサンフランシシコ」パートから続く、恒例の弓弾きもバッチリ決まっています。
(14) ACHILLES LAST STAND
 前曲の混沌の中からスタートします。大塚氏はRickenbacker 8弦Bassです。  この曲については、私個人として全く言うことはありません。VocalがRobert本人でない  ことくらいでしょう(^^;)どなたにも自信を持ってお薦めできる一品です。   「本日初めて、ここPlanet Kさんで演らせて頂きましたが、非常に演りやすいです。  スタッフの皆さん、有難うございます。評判通りの音の良さです」
(15) STAIRWAY TO HEAVEN
 桜井氏はカスタムW-Neckを手に、中音域が膨らんだ柔らかいトーンでアルペジオ部を演奏  します。大塚氏はA-33でMellotron Fluteをシュミレートし、中盤からFender Rhodesに  スイッチしています。  終盤でブレークありの77年パターンで、迫力たっぷりの演奏でした。 「では、最後ですね?これで、一応の最後です」
(16) WHOLE LOTTA LOVE
 77年セットではStairwayで締めのハズですが、なぜかこの曲に突入します。  桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はナチュラルArt Techです。  桜井氏のIntroから始まり、「Sex Machine」のフレーズを経てThereminパートへ。以前の  Thereminは手をアンテナに触れるくらい近づけないと反応しませんでしたが、新タイプ  は30センチくらい近くから反応を示すようです。おかげで本家Jimmyばりのアクション  付きで、華麗に操作する仕草が楽しめました。
(17) COMMUNICATION BREAKDOWN
 ガガガガとリフを刻んでこの曲へ。  Moto氏のVocalにハーモナイザーがかけられ、いつもとちょっと違う雰囲気です。  盛り上がりのままエンディングとなり、メンバーはステージから去って行きました。

[Encore-1]

 観客の熱狂的な拍手と歓声に応え、メンバーが再登場します。

「今日はなんか、わりかし予定通りですか?(桜井氏の方を見て)
 良かったですね、先生....」


(18) HEARTBREAKER
 桜井氏はLes Paul No.2、大塚氏はナチュラルArt Techを手にします。  ギターを持つ前はフラフラで「大丈夫かな?」という風情の桜井氏でしたが、演奏が始まる   とバリバリに弾きまくり!ここに来て底力を見せてくれます。
(19) ROCK AND ROLL
 間髪入れずにこの曲です。ここでもメンバーのテンションは下がりません。  最後は「ロンリロンリ」の繰り返しの正調77年式演奏で、ロングランのステージが終了しま    した。

感想



 3時間半ぴったりのステージでした。
 「3時間たっぷりやります」というのが告知ハガキに書いてくれた大塚氏のコメントでしたが、
 今日の演奏はそれを上回る大サービスだったと思います。
 
 ステージ後、桜井氏と大塚氏にお会いできたので、簡単にお話を伺いました。

 まず桜井氏ですが、新ダブルネックは非常に軽い材質の木を厳選したとのこと。持たせて頂き
 ましたが、普通のLes Paulと大差ない重さでした。ブリッジの下ネジをボディに直打ちする等、
 今までの再生産モデルで再現できなかった不満点を全て改善している模様です。更に感動して
 しまったのが、Jimmy Pageのものと同じ「赤いフライトケース」まで作ってしまったこと。
 ここまでやる人は、世界でもたぶんこの方だけでしょう。
 あと、チェリーサンバーストのLes Paul No.1の回路を、Jimmy Pageの59年製と同様に改造し
 たそうです。拝見しましたが、ピックガードの下にしっかりPUSH/PULL式のスイッチが付いて
 いました。今日は出番がありませんでしたが、近いうちに登場させるそうですので楽しみです。
 
 あと、大塚氏。No Quarterでのトラブルについてお尋ねしたところ、「PAの方で、シンセの
 出力をOFFにしてしまってたみたい」とのことでした。アップライト・ベースについてもお聞
 きしたかったのですが、これは次の機会ということで。(写真、取り損ねました)


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