Live at "Live Garage Adm",
Ikebukuro, Tokyo, Japan, 5th May, 1997

MR.JIMMY Live at Live Garage Adm, Ikebukuro, Tokyo, Japan, 5th May 1997
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookkie Kurikawa




開演に先立ち...

●日時  1997年5月5日(月)  Tribute Bandの共演LIVEである"Art Rock Night"としての開催でした。  出演はElectric Lady Band(Tribute to Jimi Hendlix)、Makin' Love(Tribute to KISS)、  自由(Tribute to FREE)の順で、MR.JIMMYはトリでの登場でした。  入場時に配布されたパンフレット『MR.JIMMY'S GRAFFITI』には「今日はPHYSICAL GRAFFITI  の曲を中心にお送りします」とのアナウンスがあり、期待が高まります。  さて、この日の観戦メンバーは沼田さん/Yasさん/中村さん/私の4人でした。  ゴールデンウィーク最終日ということで客足が心配されましたが、ジミセンさん(ELBのGt.の方  の芸名はジミ・センズリックスなのでこう呼ばれている)の出番の時には既に満員になっていて  安心しました。 ●会場   LIVE Garage Adm ●メンバー  ・Jimmy 桜井氏 (Guitar)  ・Professor 大塚氏 (Bass)  ・Parcy Moto氏 (Vocal)  ・Cookie 栗川氏 (Drums)

SETLIST&各曲寸評

 リハが遅れた関係で開演は18:30近く。ジミセンさんは1時間くらいでサクっと終わりました。  KISSは血吐き/火吹き(いいのか!?豊島区消防局)ありでルックス的には頑張っていましたが、  演奏の方は音程ハズレまくり。それで自主的にアンコールまでやるんだから、ヤレヤレです。  自由はボウズ頭のVocalさんが一種異様な雰囲気をかもし出していましたが、演奏は手堅い感じ。  ただし、曲調が全て同じで、ひたすらダークなノリでした。  MR.JIMMYがよ〜〜やっと登場したのは、予定を1時間も過ぎた21:30頃でした。  桜井氏は黒の星座パンツにラメを軽くあしらった黒の長袖シャツ姿。Moto氏はジーンズに花柄  のガウン。大塚氏はゆったりした白ブラウスに白ジーンズで、栗川氏はサテンのウェスタン・シ  ャツ姿(お洒落)でした。   (1)THE WANTON SONG  Drumsの連打から入る、予想だにしないOpening曲です。Page/Plantを一瞬ほうふつさせます。  桜井氏はこの日がLIVE初おろしのLes Paul Standardを手にしてます。色はいわゆるLemon Drop  で、ごく薄めのトラ目です。全編コーラス・エフェクトを深めにかけています。  Moto氏のVocalは初盤は聞こえづらかったですが、徐々に向上します。調子は良好のようです。  大塚氏はJazz Bassタイプの赤いArttec Bassで、ブリブリにピック弾きしています。  栗川氏もオカズ多めで、攻撃的なフレーズを繰り出しています。  残念なのは桜井氏の演奏にミストーンが目立っていたことで、随所で「あれあれ?」という  シーンが気になりました。 (2)THE ROVER  73年US TourでのHeartbreakerを思わせるDrumsのIntroがあって、この曲です。  序盤は今ひとつラフな感じに聞こえましたが、終盤はガンガン押しています。  大塚氏のBassが大活躍で、指弾きによる細かいパッセージで曲をドライブさせています。 (3)HOUSES OF THE HOLY  なんと、なんとのレア曲です。「うわ〜!」というため息が観客のあちこちから漏れます。  桜井氏はアルバムに忠実な「固めで細い感じ」の音質で演奏しています。  全体的に軽いノリで、各フレーズの決めが若干ルーズな印象でした。 (4)IN MY TIME OF DYING  桜井氏は黒のショートホーンに持ち替えます。甘めの音色で、これまたアルバムに忠実です。  ここでも若干、ギターのミストーンが気になりました。  最後にYou Shook Meのワンフレーズを挿入しています。 (5)TEN YEARS GONE  「MCやれ〜!!」という無粋なヤジに苦笑で答えるMotoさんです。  大塚氏はOvation 12弦、桜井氏は赤のストリングベンダー付きのTelecasterを手にします。  昨年6月以来の演奏で、「もう一度聴きたい」と思っていた佳曲ですが、ギターは相変らず  音程が不安定です。Soloでも一部外してしまっています。  前回はよく聴こえなかった終盤のVocalのハーモナイズ音は、今回はしっかり聴けました。 (6)BOOGIE WITH STU    「えー、『PHYSICAL GRAFFITI』と言いますとアコースティックの曲が一杯入ってますが、   その辺をちょいと、かいつまんで演りたいと思います」というMC。  若干長めのセッティング&チューニングがあってこの曲です。  大塚氏はシンセでアコピをシュミレート、桜井氏はMartin 6弦を演奏します。  エンディング近くで「アルバム通り」アコギの表板をパーカッション代わりに叩いてDrums  と絡むシーンがあります。 (7)BLACK COUNTRY WOMAN  アコギのチューニングで一瞬Dancing Daysのフレーズを入れてこの曲です。  途中から大塚氏のBassと栗川氏のDrumsが絡みます。間奏でMoto氏がMouse Harpを披露して  います。アコギの音は若干小さく、音もやわらか目です。  ZEPPの77年LIVE版ではなく、アルバムのイメージに近い感じです。 (8)DOWN BY THE SEASIDE/TRAMPLED UNDERFOOT  桜井氏は新Les Paulを手にし、アルバムに忠実にビブラート・エフェクトを深くかけています。  大塚氏はシンセでエレピの音をシュミレートしています。  エコーを深くかけたSoloの後、メドレーでTrampled Underfootを挿入しています。  Keyboardはあえてクラビのそれではなく、エレピの延長的な音で臨んでいました。  As Long As I Have Youに似た短いフレーズを入れてDown by the Seasideに戻っています。  演奏後、「なごみ系の曲が多いですね」とMCを入れてます。 (9)NIGHT FLIGHT  大塚氏はKORGのオルガンを弾いています。(この曲だけのために用意した?)  ZEPPの73年Chicagoリハーサル音源でこの曲のLIVE演奏が聴けますが、あれとはかなり異な  る、アルバムに忠実なアレンジです。リラックスした演奏ですが、若干スローテンポです。  「考えてみれば、ギターソロの無い曲ですね。今気がつきました」というMCがあります。 (10)CUSTARD PIE  「長年のファンの方のリクエストにお応えして」の演奏です。  序盤バンドの息が合わないところもありましたが、後半は盛り返しています。  ギターソロが早めに始まるアルバム・アレンジで、Page/Plant版を聴きなれてるせいか  若干違和感を感じました。 (11)SICK AGAIN  「最後の曲です」と言って演奏されたのが、PHYSICAL GRAFFITでも最後に収録されていた  この曲です。出だしのリフがZEPPのLIVEで聴き慣れたものではなく、アルバム通りのシン  プルなものになっています。桜井氏の強いこだわりを実感しました。   [ENCORE] (12)OUT ON THE TILES/BLACK DOG  熱烈な拍手に応えて再登場。桜井氏はメインのLes Paul No.1を手にしてます。  客席からの「モビ〜ディック!」という声に応えて栗川氏が一瞬Moby DickのIntroを叩き  ます。桜井氏も軽くお付き合いでIntroのリフを弾いてくれます。  Out on the TilesがIntroとして使われる71/72/80年のアレンジですが、珍しくMoto氏が  Robert同様キーを一部下げて歌っています。これはおそらくサービスでしょう(^^;)  桜井氏のギターはここに来て太く伸びやかな音になっています。やはり使い慣れた愛機の方  が鳴りが良いのでしょうか?演奏も格段に安定しています。 (13)WHOLE LOTTA LOVE/ROCK AND ROLL  「アキレスやれ〜!」という観客の無謀な掛け声に、「今からですか〜?電車で帰れなく  なりますよ〜」と返すMotoさんです。  パーカッシブなジミヘン曲のJamをひとしきりやった後、WLLへ。  続くRock and Rollは75年以降の軽いものではなく、73年あたりのHeavyなリズムでのフル  演奏です。ギターSoloも73年のLIVEフレーズに比較的忠実なものでした。  最後の「ロンリロンリ....」の後、Moto氏がキメの「タイム」を歌う前にDrumsロールに  入ってしまうというアクシデントがありました。
感想  約1時間半の演奏で、レギュラーセットではアルバム『PHYSICAL GRAFFITI』の曲だけを  演奏するという、意欲的/実験的なLIVEでした。アコースティック曲を中盤に配し、構成  としては非常にバランスが取れていたと思います。    アルバムの再現ということを最初に聞いた時、「独自のLIVEアレンジを施すのでは?」と  予想していましたが、実際はアルバムに極力忠実なアレンジ/音色でのアプローチでした。  桜井氏の、長年に渡るZEPP研究の結晶と言えましょう。  ただし「LIVEとして満足できたか?」と言われると、疑問を感じます。  まず全体的に固さが感じられ、演奏そのものの完成度は高いとは言えませんでした。  何より、肝心の桜井氏の演奏が不安定でした。スロースターターであるのは毎度のことな  のですが、今回はLIVE終盤までその傾向が続きました。  新しいGuitarであったことも無関係とは言えないでしょうが、In My Time of Dyingや  Ten Years Goneでも同様でしたので、楽器のせいだけではなかったと思います。  観客のマナーの悪さも気になりました。「○○を演奏しろ〜」って叫ぶのは、やっぱ失礼  です。流しじゃないんですから。そういうことはアンケートに書きましょう。  演奏の幅を広げるという意味では積極的に色々な曲にチャレンジする姿勢も大切ですが、  個人的には「MR.JIMMYの十八番」と呼べる曲を少しでも増やす方向に向かって欲しいと  思っています。そういう意味では、アンコールでのRock and Rollは今回の最大の収穫で  した。今まで聞いた中では最高のドライブ感であり、自由なMoto氏のVocalとあいまって  「MR.JIMMYの曲」として遂に仕上がった感がありました。  Houses of the Holyも今後トライして仕上げて頂きたい1曲です。  毎回最高の演奏!という訳には行かないでしょう。本家ZEPP自体、演奏ムラの多いバンド  でしたから、そういうことを期待して行くのは無理というものです。  とにかく、今回初めてLIVEを見たヒト!あれでMR.JIMMYを判断しないで下さいね、と。