Live at "Live Garage Adm",
Ikebukuro, Tokyo, Japan, 4th April, 1999

MR.JIMMY Live at Live Garage Adm, Ikebukuro, Tokyo, Japan, 4th April 1999
Jimmy Sakurai/Professor Otsuka/Parcy Moto/Cookie Kurikawa


Stairway to Heaven

開演に先立ち...


●日時

 1999年4月4日(日)

●会場

  LIVE Garage Adm

 1999年最初のLIVEは、ホームグラウンドである「池袋Adm」での開催でした。
 配布されたリーフレット『MR.JIMMY'S GRAFFITI』によれば、「今日は71年来日公演の頃を
 意識した構成」とのこと。71年と言えばBBC LIVEが有名ですが、それとはひと味違うステー
 ジが期待できそうです。

 17:30ちょうどに演奏がスタート。
 トップバッターは『OT&H』という3人組アコースティックバンド。Crosby,Stills & Nashの
 コピーだそうです。Martinの高そうなギターを駆使し、テクニカルな演奏をされてました。
 「ウッドストックの再演」だったそうですが、私は元曲を全然知らないので批評はパスです。

 2番手は『不乱苦屋雑貨店』。以前フランクザッパのコピーバンドという『殺人ラッシュ』と
 いうバンドの演奏を見ましたが、その分家のようです。殺人ラッシュ同様、なぜか日本語の歌
 詞でアヴァンギャルドな演奏であり、私には理解不能でつらい1時間弱でした。

 3番手の『Electric Sheep』はWhite Snakeのコピーで、Vocalがデビ・カバそっくりでした。
 演奏もしっかりしており、観客にも大ウケでした。アンコールではDeep PurpleのBurnを演奏
 してくれるというサービスぶり!頑なな私の心をも動かす(笑)ナイスなバンドでした。
 今度は是非、桜井さんと共演してカヴァーディル・ペイジ曲を演奏して頂きたいものです。
 

SETLIST&各曲寸評

 さて、ようやくMR.JIMMYのメンバーが登場したのは21時近くになってからです。  会場は立ち見が溢れて立錐の余地もない程の盛況で、MR.JIMMYの久々にステージに対する期待  の高さが伺えます。今日はYas師匠/Eric Sachs氏/中村嬢/ズッキー鈴木氏他との観戦です。  Moto氏はヴァイキング風の袖なし衣装にブルージーンズ。大塚氏は淡いブルー地のウェスタン  シャツにブルージーンズ。栗川氏は白いウェスタンシャツにブルージーンズ姿でした。  そして、桜井氏は....ブルージーンズにデニムシャツの上に、「Zoso」マークも鮮やかな  赤とスカイブルーのニットベスト!71年にJimmy Pageが着ていたもののレプリカです。ビート  佐々木氏御母堂製作の逸品でして、そのあまりの出来の良さにZEP SHOPに限定で卸してしまっ  たという、いわく付きの衣装です。  この日の桜井氏のセッティングはMarshallセット(ヘッド1+キャビネット1)を2式。  右側のオールドタイプをややドラム側に向け、左側の新しいタイプ(黒いサラン)を正面に向  けていました。ただし左側のはプラグインされておらず、予備だったようです。右側のアンプ  の上にEchoplexが1台、左側のアンプの上に「ストロボ・チューナー」が置かれていました。    大塚氏のBass AmpはAMPEGのヘッドにPEAVYのスピーカー・キャビネットという変則的なもの。  キーボード席には、MIDIコントローラであるROLAND A-33の上にYAMAHA SK-30が設置されてい  ました。後者はオルガン/モノシンセ/ポリシンセを一体化した往年のアナログ名機でして、  背後にはこれまた名機「レズリースピーカ」が神々しく設置されていました。  あと特筆すべきところは、栗川氏のDrumsのシンバルがピカピカのおニューになっていたこと  です。5月に御結婚を控えているそうですが、婿入り道具として自前でご購入されたのでしょ  うか? (1) IMMIGRANT SONG  長めの音出しの後、栗川氏の刻むハイハットのカウントでスタートしました。  桜井氏はティーバーストのLes Paul No.2、大塚氏はFender Jazz Bassでの演奏です。  長い休養のお陰か(?)Moto氏の調子は良好であり、伸びやかなハイトーンを聞かせてくれます。  Vocalははっきり聞こえますが、若干BASSの音が大きく、低音の持ち上がったサウンドです。  (この傾向は最後まで続きました) (2) HEARTBREAKER  間髪を入れずにこの曲です。こなれた演奏で、安心して聞いていられる一曲です。  ひとつ不満を言わせて頂くと、無伴奏ソロの間中、栗川氏のスネアのバネがずっとシャ〜〜と  鳴っていたのが気になりました。狭い会場なので反響するのも仕方が無いかと思いますが、  できればミュートして頂ければ聴きやすいかと思います。 「グッ、イ〜ブニング!  どうも、皆様こんばんわ。MR.JIMMYです、お久しぶりでございます。  え〜〜〜久しぶりということで、大塚さんも張り切っていらっしゃいますけど(笑)  あ、なんか、いつもと...(衣装をチェックしながら).....一緒ですね?(笑)  じゃ、まぁ淡々と、2時間以上演りますんで(喝采)、終電の危ないヒトはとっとと帰って  下さい」 (3) RAMBLE ON  本家ZEPPは一度もLIVEでのフル演奏が確認されていない曲です。MR.JIMMYにおいてもやはり  レア曲であり、この日以前に演奏したのは遥か昔、なんと「96年10月4日」でした。  ゆったりしたギターのストロークの後ろで刻まれる16ビートのタム音が特徴の曲ですが、  この日はノーミュートのリムショットであり、個人的にはちょっとそぐわない印象でした。  終盤にBassのSoloが挿入される恒例の「MR.JIMMY流アレンジ」が今回も光っていました。 「えー、MR.JIMMYは年度末休暇明けということで、3ヶ月目なんですけど....、  また再び『寿休暇』に入ります。(栗川氏に観客からの大喝采)多分、次回は8月くらいに  なるんじゃないかと思います。まぁ『ハワイでもどこへでも行きやがれ!』って感じですけど。  大塚さん、椰子の木陰から覗いてないように(笑)」   (4) SINCE I'VE BEEN LOVING YOU  大塚氏はシンセによるエレピサウンド、サビでオルガンという初期Versionのアレンジです。  本家ジョンジーのオルガンは同時期に活躍してたロックキーボーディストと比べるとかなり  異質であり、良く言えば「繊細」、悪く言えば「チープ」なサウンドと個人的に思ってます。  大塚氏の演奏はそんな微妙な領域を巧みに漂っており、マニア心をくすぐられるものでした。  他のメンバーの演奏もメローな雰囲気たっぷりであり、近年の名演のひとつと言えましょう。 「え〜、季節も暑くなってきました。ここも暑いんですけど、Jimmyは蒸してもセーターを....  (桜井氏の派手な衣装を指差して)....見てやってください(笑)」 (5) OUT ON THE TILES/BLACK DOG  大塚氏は再びJazz Bassを手にします。  途中で観客との「ア〜ア」の掛け合いの無い初期Versionです。  終盤のGuitar Soloが秀逸で、Echoplexを効かせた伸びやかかつトリッキーなフレーズの連続  に、すっかり聴き惚れてしましました。 「では、Jimmyの真骨頂を(笑)。機材、よーし!」 (6) DAZED AND CONFUSED  お馴染みの長尺シリーズです。チェリーサンバーストのLes Paul No.1に持ち替えることが多  かったこの曲ですが、桜井氏はあえてNo.2を持ったままで演奏に臨みます。  初期Versionということで、『花のサンフランシスコ』パートはありません。  弓弾きパートでバンバンとGuitarに調教を加える桜井氏に、一部関係者(?)は騒然となります。  (「ああ!○○年製の○ールドが!」)...心臓に良くない、実にスリリングなプレイでした。 「暑い暑い!(桜井氏を返り見て)意地でも脱ぎません(笑)」 (7) STAIRWAY TO HEAVEN  桜井氏はGibson EDS-1275に持ち替え、大塚氏はキーボード席に移動します。  桜井氏の奏でるアルペジオは71年特有の「霞のかかったような」甘いトーンであり、オルガン  の透き通ったトーンと美しい対比を見せています。ブルーの照明に照らされ、神々しいまでの   ZEP WORLDです。(これを体験できないZEPファンの方、ホントにお気の毒です)  中盤で12弦側の弦が1本切れるというアクシデントがありましたが、特に演奏には影響があり  ませんでした。Guitar Soloは71年の基本フォーマットを踏まえつつも、中盤に山場を設けた  スリリングな展開であり、これまた近年有数の名演奏に仕上がっていました。 「実は前回のLIVE....12月でしたか?その際に『我々はリハをしっかりやって、パワーアップし  て戻って来る』と言ってましたが....私、嘘をついてしまいました(爆笑)全然やってません。  先週の日曜日もですね、仕事と称しましてまんまとサボりまして。どうもすみませんでした。  まぁ、またしばらく休みますけど、皆さんもDMを是非とも待っていただいてですね。  なんか次は『オン・エアーなんとか』でしたっけ?(桜井氏に確認)...という話もあると(笑)  ....話だけですね(笑)」 (8) CELEBRATION DAY  桜井氏は切れた弦はそのままで、引き続きEDS-1275で演奏します。LIVE盤「永遠の詩」における  Les Paulでの演奏が印象に強い曲ですが、初期はW-neckでの演奏でしたね。  12弦側でストローク、Solo部で6弦側を弾くという早技を堪能できました。  大塚氏はJazz Bassで早いパッセージを繰り出し、スピード感のある演奏に仕上がっていました。 「先程言い忘れましたけれど、(天井のミラーボールを指差し)ここに輝かしい、我々が一応贈呈  したものが輝いておりますが....さっき光りましたか?さっきの曲で光らなくていいんですか?  (大塚氏を振り返って)あ、初期はいいそうです(笑)という訳で、初期の名曲をもう一丁...」 (9) WHAT IS AND WHAT SHOULD NEVER BE  桜井氏はLes Paul No.2を再び手にします。  Ramble On同様、ZEPP得意の「静と動の対比」が面白い曲です。  金属製のバーを使ってのスライドプレイも堂に入っており、非常に安定して「聞き流せる」出来  になっています。ねちっこい大塚氏のベースも良い雰囲気です。 「『強き二人の愛』、という邦題もついてますけど....  なんと流れのよろしいことか、(栗川氏を振り返って)今日はシンバルも光っております。  も〜、ピカピカだね〜(笑)いや〜嬉しそうですね〜。(観客の冷やかしの声があがり)  という訳で、『祝・コトブキ』の....Cookie 栗川、モビーディック!」 (10) MOBY DICK  イントロが終わり、桜井氏とMoto氏はステージ裏に引き上げます。大塚氏はキーボード席の後ろ  で、栗川氏のプレイをニコニコしながら見守っておりました。  長尺のDrums Soloでしたが、ダレることなく盛り上げる栗川氏でした。素手プレイも堂に入った  ものであり、ドラへのヒジ打ちも全く躊躇なし!見てるこちらがビビる大迫力でした。 「祝・コトブキ!....栗川さん、ちょっとお休みで....大丈夫ですか?  こないだ、高田の馬場のピーコックで買い物していたんですけど、店頭でだんごを売ってたん  ですよ。そのだんごの屋台で、ガンガンに「だんご三兄弟」が流れてまして(笑)  ちっちゃい子がですね、もう、二人座り込んで「だんご、だんご」って。  で、「あ〜、やっぱ、歌えるっていうのは素晴らしいな」と(爆笑)口ずさめるっていうのは、  歌の基本だなと思いましてですね。  なんでこんな話をしてるかっていうと、次の歌がリフが口ずさめるという。簡単なリフが永遠  と続く曲だからでしょうね。....「自分が一番、次男」だからでしょう(笑)」 (11) WHOLE LOTTA LOVE - BOOGIE CHILLIN' - TRUCKIN' LITTLE MAMA - FIXIN' TO DIE - THAT'S ALRIGHT MAMA - FOR WHAT IT'S WORTH - HOW MANY MORE TIMES - GOOD TIMES BAD TIMES - YOU SHOOK ME  聴き覚えのないリフ(ひょっとして製作中のオリジナル曲?)のインストを挿入してWLLに突  入しています。  この日はEchoplexが1台しかなかったため、(1)GuitarのシールドをEchoplexのINPUTから外し、  (2)ThereminのシールドをEchoplexに差し、(3)Thereminのシールドを抜いてGuitarのシールド  を差す、という離れ業をサラリとやっていらっしゃいました。最前列だから確認できたことで  あり、音の繋ぎも完璧!肝心のThereminも、エコーが効いてて浮遊感漂う好サウンドでした。  メドレー前半はBBC LIVEに準じ、後半は71年日本公演を意識したような構成です。  Good Times Bad Timesではワウペダルで細かいビブラートを効かせたGuitar Soloが秀逸です。  演奏後、手を振りながらメンバーはステージ後方の楽屋に戻ります。 [Encore-1] (12) KEY BOARD SOLO/THANK YOU  アンコールを求める拍手喝采に応え、大塚氏が一人で御登場。教会音楽を彷彿させる荘厳なオ  ルガン・ソロを披露します。続いて他のメンバーが定位置につき、厳かな雰囲気のまま演奏さ  れたのがThank Youです。しっとり歌い上げるMoto氏のVocalが気持ちの良い一曲でした。  桜井氏のくぐもったギタートーンも、日頃の研究の深さを伺い知れる完成度でした。 (13) COMMUNICATION BREAKDOWN  大塚氏がJazz Bassに持ち替え、続けざまに演奏されたのがこの曲です。  スピード感のある「息をつかせぬ」演奏であり、あっという間にエンディングとなってしまい  ました。 [Encore-2]  メンバーは楽屋に引き上げますが、拍手は一向に鳴り止みません。  時間は既に23時を大きく回っていますが、メンバーは再びステージに登場してくれました。 (14) ROCK AND ROLL  客席から様々なリクエストの声がかかりますが、彼らが選択した最後の曲はこれでした。  73年を思わせる重厚なサウンドであり、「締めの一品(by 将太の寿司)」にふさわしい演奏  で、1999年最初のステージは幕を降ろしました。
感想  演奏が終了したのは23時半近くであり、実に2時間半近い演奏だったことになります。  せめて対バンは2つに抑えて欲しい、と切に願う次第です(^^;)  約3ヶ月の休養期間を挟んだ復活LIVEでしたが、新曲がゼロだったのは残念でした。  ただし演奏の方はカッチリと安定したものであり、聴き所もいくつかありました。桜井氏は  スロー曲で「オヤ?」と思わせるギターの音色がありましたし、栗川氏のスネアも良い音で  鳴っていました。Moto氏も快調であり、トークでもガッツンガッツン笑いを取ってました。  特に、大塚氏のオルガンは、演奏/音色ともに格段にグレードアップしていたと思います。  ステージ後に機材を拝見させて頂きましたが、SK-30+レズリーという組合せは非常にナイス  なサウンドを出せるようです。ふむふむ。  ちなみにMarshallの上に置いていたストロボ・チューナーは、ストロボの光り加減でチュー  ニングのズレを検知できるというしろものです。70年代のロックギタリストがよく使用して  おり、熟年ファン層にはたまらない「懐かしアイテム」のひとつです。  今日のステージでも演奏中にピカピカ光ってましたが、実際にはチューナーとして使用して  いなかったとのこと。単に「光るオブジェ」だったようです(^^;)  さて、これからまたしばらくお休みだそうで、次にお会いできるのは夏になりそうです。  オリジナル曲のレコーディングも進んでいるようであり、その成果も期待しましょう。  最後にひとつ。「栗川さん、御結婚おめでとうごさいます!」
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