こうしたいきさつで、結局ウクレレ・ケースを2本抱えての帰国となった。
ホノルル空港では「おお!どこのウクレレ?」「あなた、ミュージシャン?」などど、係のオ
バサン連中からさんざんイジられまくってしまった。一方、成田の税関では「それ、ホントに
ウクレレですよね?」と疑いの眼差し。白いお粉の運び屋に見えたのかも知れない。
以来、ウクレレ三昧の日々である。
帰国して気づいたのは、ウクレレは意外に日本の生活にマッチしているということ。
まず、小さくて場所を取らない。
ギターはでかくて場所を取るが、ウクレレはケースごと置いても全然気にならない。
そして、音が小さい。
テレビを見ながらポロポロ弾いても、奥様から苦情が(あまり)出ないのである。
(マンドリンは意外に音がでかく、夜は絶対練習できない!)
そういうことで、2本のウクレレをとっかえひっかえしながら、ハワイでご購入したCDなぞ
を聴き、太平アロハな毎日を過ごしている。
果たしてこんな生活がいつまで続くのか?そいつは、極めて謎である。
おまけ:コアロハ/カマカ比較
2本のウクレレを同時購入したからこそ分かる、マイ・コアロハ/カマカの比較である。
左:コアロハ/右:カマカ
●面取り
コアロハのボディは全て面取り加工されており、長時間抱えても腕に痛みを感じない。
指板の両端は斜めにカットされており、シェイクハンド系のコードが押さえ易い。
これに対し、カマカはボディ/指板ともに角が90度である。
●ヘッド形状
コアロハのヘッドは下部が細くくびれており、ローコードを弾く時に手の甲が当たらない。
カマカのヘッドはゴロンとした形であり、これまた気になるところである。
●ヘッド角
カマカはネックに対するヘッドの角度が大きくつけられているが、コアロハはほとんど角度が
ついていない。
弦楽器はこの「ヘッド角」が大きいほど弦のテンション(張力)が強くなる性質があり、ウク
レレも例外ではない。カマカに比べてコアロハはテンションが弱く、コードが押さえ易い。
●ボディ厚
コアロハはカマカに比べて1センチ弱薄い。
一般に、弦楽器はボディが大きくて厚いほど音量と低音が増す傾向があるが、確かにカマカの
方が低音域が豊かである。その代わり、高音域に関してはコアロハの方が圧倒的に出る。
このあたり、カマカが容積の大きいパイナップル型であることも起因していよう。
音量に関しては、不思議なことにコアロハの方が大きい。カマカが若い(カマカは2000年7月
製造、コアロハは2000年4月製造)せいもあるだろうが、個体差なのかメーカの違いなのか、
これは不明である。
左:ヘッド角比較/右:ボディ厚比較(それぞれ、左がカマカで右がコアロハ)
●材質
コアロハは全体が同じ材質であり、店員の言葉を信じればオール・コア製であろう。
さらに側板は1枚板で、継ぎ目が全く無い(上の右写真をご参照)。
カマカはボディとネックはコアだが、指板とブリッジは????である。見た目が真っ黒で、
どちらかと言えばエボニーかローズウッドに見える。
ただ、コアの木そのものは白木であり(サウンドホールの中を見ると分かる)、塗装によっ
て深みのある木目が現れてくる材質のようである。このカマカの指板/ブリッジも、コア材
に黒っぽい塗装をしているだけ、という可能性もある。
●全体の感想
引き易さから言えば、断然コアロハ。他のウクレレも随分試したが、ネックの薄さやテンシ
ョンの柔らかさで、こいつにかなうものはなかった。初心者には絶対お薦めである。
音に関しては、一長一短ある。コアロハはコリコリという硬質な音が心地良いが、中低音に
やや乏しい気がする。カマカはこもった音であるが、それがコード弾きの時にまろやかに聞
こえる。結局どちらも良い楽器であり、自分としては良い買い物であった。
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