US 2nd-Leg 傾向分析
さて、レビューから分析した内容を以下に列記します。
1.オールZEPP曲化 US 2nd-Legで演奏された非ZEPP曲は、Mexico 2nd NightとAlbuquequeでのYallahのみで あり、結果的にZEPP曲のオンパレードとなったのが特徴でした。 初登場曲を見ていくと (1)ZEPPのLIVEで演奏したことがある。 (2)Jimmy/RobertのSoloキャリアで、何らかの形で演奏したことがある。 という共通点があり、意外に手堅い選曲だったのが分かります。 ●本Tourでの初登場曲 ・Rock and Roll Mexico(2nd)/NY(2nd)の2公演でのみ、2nd Encore曲として演奏されました。 Robertがオリジナルキーで歌うという、ファン感涙のナンバーです。 ・Heartbreaker Mexico(1st&2nd)/Mountain View/Buffalo/Hartford/Boston/Philly/NY(1st&2nd)の 9公演で演奏されました。 意外なくらいにZEPP時代との違和感がなく、2人の健在ぶりを十二分にアピールできた曲 でした。 ・Babe, I'm Gonna Leave You Albuqueque以降の全ての公演で演奏されました。 オーケストラをバックにした壮大なアレンジで、LIVE終盤のかなめの一曲となりました。 全ての演奏で、最後にStairway to HeavenのIntroの1フレーズを挿入していました。 このことを、音楽評論家のI氏が「US Tourでは『天国への階段』をついに演奏した!」 と発言したため、しばらくこれを信じていた人がいたようです。 ・Over The Hills and Far Away マニア好みのこの曲は、Chicago/Detroit/Clevelandの3公演のみ演奏されました。 以降の公演では結局一度も演奏されず、幻のナンバーとなってしまいました。 ・What is and What Should Never Be Video "Unledded"でフューチャーされていた曲ですが、これまでTourでフル演奏された ことはありませんでした。(Euroでメドレー曲としてのみ登場) Albuquerque/Denver/Buffalo/Hartford/Boston/Philly/NY(2nd)の7公演で演奏されて います。また、メドレーでもMexico(2nd)/Irvine(2nd)で演奏されています。 ●本Tourでの復活曲 ・That's The Way 1st-Legの3/11/95 New Orleans 2nd Nightで1度演奏されただけのレア曲です。 今回のTourでは、全21公演中13公演で演奏されています。 ・Tangerine これまた1st-Legの3/23/95 Landover 2nd Nightで1度演奏されただけのレア曲です。 Boise/Boston/NY(2nd)の3公演で演奏されました。NYのみPorlのSolo入りで、他の2公演 はRobert/Jimmyでの水入らずの演奏でした。 ・Hey Hey What Can I Do Euroの6/6/96 Paris公演以来の演奏です。 Las Cruces/Albuquerqueの2公演で演奏されています。
2.エジプシャン曲の減少 各Tourの最終公演における、オーケストラが入るところからエンディングまでの流れをまと めてみました。 US 1st-Leg(Gorge) ・Since I've Been Loving You(オーケストラ) ・Dancing Days(オーケストラ+エジプシャン) ・Calling to You(オーケストラ) ・Four Sticks(オーケストラ+エジプシャン) ・In The Evening(オーケストラ+エジプシャン) Euro(London) ・Since I've Been Loving You(オーケストラ) ・The Song Remains The Same ・Going to California(オーケストラ) ・Friends(オーケストラ+エジプシャン) ・Four Sticks(オーケストラ+エジプシャン) ・Whole Lotta Love ・In The Evening(オーケストラ+エジプシャン) US 2nd-Leg(New York) ・Since I've Been Loving You(オーケストラ) ・The Song Remains The Same ・Going to California(オーケストラ) ・Babe, I'm Gonna Leave You(オーケストラ) ・Whole Lotta Love ・In The Evening(オーケストラ+エジプシャン) ごらんの通り、2nd-Legではエジプシャンの演奏が極端に減少しています。 これにより"UnLedded"の重要なファクターであったエスニック色が希薄になっており、 良く言えばRock寄り、悪く言えばありきたりの構成に感じられました。
3.Babeのアレンジ推移 さ〜て、恒例の『それがどうした/重箱の隅つつき』研究テーマといたしまして、 Babe, I'm Gonna Leave Youのアレンジの変化を取り上げてみます。 (1)中盤のPorlのスライド上昇効果音 Jimmyのアルペジオ弾きの後ろで、サポートギタリストのPorl Thompsonがスライド技で ギュルルル〜〜ンと上昇音を入れています。ただしリバーブ処理等をしておらず、はっきり 言って情けないショボイ音になっています。 このためなのでしょうか、Cleveland公演からはオケも一緒に上昇音を入れるようになり、 厚みのある音になりました。 (2)JimmyのGuitar Soloのバックのアレンジ 曲の終盤にJimmyのGuitar Soloがありますが、ここのアレンジ/長さが時期によって変化して います。その数、なんと8パターン!最短24小節で最長48小節という幅の広さでした。 以下にそのパターンを列記します。 ●パターン1:全24小節で、全編単純な8ビート。 Drumsはズッタンズッタンと単調な感じで、Bassはタラララ、タラララと律義に 刻んでいます。 Albuqueque/Denver/Irvine(1st)で聴けます。 1小節を8等分した、適当なリズム譜で表現すると以下のような感じです。 | | | | | | | | H H H H H H H H <--Hi Hat | | S | | | S | <--Snare B | | | B | | | <--Bass Drums | | | | | | | | ●パターン2:全24小節中、前半16小節はスローな曲調で、終盤8小節はパターン1と 同様。前半のBassはメロディックな感じです。 Irvine(2nd)だけのパターンです。 <前半16小節> | | | | | | | | H | H | H | H | <--Hi Hat | | | | S | | | <--Snare B | | | | | | | <--Bass Drums | | | | | | | | ●パターン3:全32小節で、全編スローな曲調。 Chicago/NY(2nd)でのパターンです。 ●パターン4:全32小節中、前半16小節はスローな曲調で、後半16小節はパターン1と 同様。 Mountain Viewだけのパターンです。 ●パターン5:全36小節で、全編スローな曲調。 Salt Lake City/Cleveland/NY(1st)でのパターンです。 ●パターン6:全40小節で、全編スローな曲調。 Boise/Detroit/Montreal/Buffalo/Philyでのパターンです。 ●パターン7:全40小節中、前半16小節はスローな曲調で、後半24小節はパターン1と 同様。 Sacramentoでのパターンです。 ●パターン8:全48小節で、全編スローな曲調。 Ames/Hartfordでのパターンです。 8ビート混じりはMountain Viewまでですが、小節の長さは増えたり減ったりしています。 おそらく構成はかっちりと決まっておらず、Jimmyのノリに全員が合せていたのでしょう。 じゃー長いほど良い演奏だったのかと言うと必ずしもそういう訳でもなく(笑)、Hartford のSoloは単に冗長な感じでした。あ、Amesは量/質とも良い演奏でしたよ。 <おためしダウンロード> ★Irvine 1st Night(パターン1)[LHA圧縮で530KB] ★Ames(パターン8)[LHA圧縮で915KB] Soloパートをまるごとサンプリングしました。多少なりともダウンロード時間を 軽減するべくLHA圧縮してます。頑張って落としてみて下さい。
4.最高/最低の公演は? 演奏点での最高が5.0で1公演、最低は3.0で3公演ありました。 ●最高:10/18/95 Montreal, 10/23/95 Boston ●最低:09/27/95 Las Cruces, 09/29/95 Albuquerque, 10/24/95 Philadelphia MontrealはBabeのSoloが今ひとつでしたが、全体の迫力では一番でした。 最低と言っても演奏レベルは高くて、Robertの声が出てないという程度でした。 ただし、2nd-Leg全体を通じて『こなれた感じ』があり、演奏的にはグレードが高い反面、 どこか醒めた雰囲気が感じられました。
5.まとめ 世界1の音楽マーケットであるUSで、同じ年での2度目のTourという背景を考えると、 「ファンにお馴染み」で「手堅く演奏できる」ナンバーを追加することは、ごく自然な流れ であったと言えます。結果としてPage/Plant曲は影を潜め、Solo活動で演奏経験のあるZEPP 曲を追加した構成となりました。 『ZEPPの面影を求めて会場に来たファン』を満足させたであろうステージ構成であり、 Entertainmentに徹したプロのアプローチと言えましょう。 ただし、Page/Plantに対する新しい音楽性を期待していたマニアにとっては、あまりに予定 調和的なステージだったのではないでしょうか? 「悪くはない、悪くはない演奏なんだけど、何だかちょっと物足りない...」 そんなTourだったような気がします。 ただし、こうした手堅いステージを続けたおかげで、Jimmyの演奏力は確実な向上を見ること ができました。この自信が、おそらくはサポートのPorl Thompsonの脱退につながり、翌96年 のTourでの「思いもかけない展開」への布石となったであろうことが想像できます。 彼らがどのように飛翔していったのか? 次回は『南米/豪州Tour編』です。お楽しみに!