台湾攀岩 CLIMBING IN TAIWAN 龍洞(Lung Dung) & 大砲岩(Big Cannon Cliff)
2010.10.19-10.25
 近場の海外でのトラッドクライミングということで、思いついたのが、韓国インスボンと昔「岩雪」に紹介されていた台湾の「龍洞」。
迷ったが、私が行ったことがない国で、妻の知人がいる台湾に行くこととなりました。今回は台風のため2日間ほどしか登れませんでしたが、観光と中国人(台湾人)の知人との再会も兼ねた、台湾でのクライミングを簡単に紹介します。

 自宅を5:15に出発。NEXで成田空港、チャイナエアラインで台北へ。14時半には台鉄台北駅近くにあるホテル「天成大飯店(コスモス・ホテル)」に到着。このホテルはMRT台北地下鉄台北駅3番出口の直ぐ近くにあり、龍洞はもとより台湾各地へのアクセスが便利な、台北西Aバスターミナルへも歩いて5分程の距離ある。
 また。ここは忠孝西路と中山北路との交差点付近に並ぶ幾つかの登山用品店へも至近距離にあり非常に便利である。
 写真の忠孝西路右に並ぶビルの中央白いビルが「天成大飯店」。「テンセー」でも通じるようである。

 ホテルの室内。意外と広く明るく清潔感がある。洗面台、トイレもきれいでシャワー付きのバスタブがある。TV、冷蔵庫、エアコンあり、歯ブラシ、石鹸、シャンプー、ボディローション、髭そり、そしてLANコネクター、毎日飲料水1Lのサービス・・・と一通り揃っており、従業員の対応も良い。ロビーはさほど広くはないが、フロントは日本語対応可能で、観光地以外の場所への行き方も丁寧に調べてくれる。
 台北駅とバスターミナルに近い手頃なホテルとしては、他に「シーザー・ホテル」や「華華大飯店」などがあるが、今回は口コミ評判の良い「天成」にした。

 台湾到着後、フィリピンから台湾の南海上を大陸に向かっていた台風「梅姫」が急に進路を変え北上してくる。速度が極度に遅く、TVの天気予報では「亀速」と表示されていた。この台風は台湾北東部の宜蘭懸に豪雨をもたらし道路が寸断される程の災害をもたらした。宜蘭の北にある龍洞も当然行けず、入国日から4日間雨のためクライミング不能で、仕方なく観光地巡りとなる。日本の奄美大島でもこの台風の影響で大洪水となったので皆さん記憶されていると思う。

 一応、私たちの旅の定番、台北市立動物園内にある昆虫館へ。温室内に台湾や八重山諸島に棲息するオオゴマダラ、コノハチョウなどの蝶類が飛び回る。
 今回は台湾の国蝶で、「幻の蝶」と言われる「寛尾鳳蝶」を見たかったのだが、残念ながら、やはり絶滅危惧種の希少種とあって見られなかった。もしかしたら標本ぐらいはあったかも知れない。

 5日目、ようやく雨が上がり、龍洞が台風の余波で海が荒れていることも考えられたため、台北近郊の「大砲岩」に行く。MRTで石牌下車、バスで惇叙商工高校で下車。右に龍鳳谷硫黄谷休憩区の硫黄と温泉が噴出する景色を見ながら新北投温泉方面に下ると、山側に中国語と英語で書かれた黄色い看板が見えてくる。読んでみると、何と、クライミングは認められていないとのことで、違反者は罰金が科されると書いてある。ちょっと迷うが岩場まで様子を見に行ってみると、幾つかのチョークあとも見られ、一緒に行った台湾人の知人も大丈夫そうだと言うので、登ってみることにする。
 ホテルに戻ってから、時間があったので登山用品店「登山友」に買い物に行き、大砲岩の現況を聞くと、店主と思われる日本語を話せる親切な年配の方がおり、登っても大丈夫とのこと。日本でもよくあるが、「黙認状態」の様である。利用する場合は、草木を荒らしたり、事故などを起こさないように注意することはもちろんである。
 写真左奥は、陽明山の幾つかのピークの一つ。(七星山?)  

 ここはトップロープの岩場で、リード用のプロテクションは無いが、岩の上にはしっかりしたケミカルのアンカーが設置してある。
 雰囲気は湯河原幕岩という感じで岩質は安山岩だが、高差は7から8m程しかない。ハングは少なく、ほとんどが垂直程度のアレート、コーナー間のフェイスを登るものである。細かなホールドが多く、何本か登ると指先が痛くなってくる。登っているのは、5.5のアレート。トップロープだからか全般的にグレードが少し辛いようだ。
 外国からのクライマーにとっては、この岩場のお薦め度は低く、1日時間があるなら龍洞に行くことを薦めたい。
 帰路、知人に士林の夜市を案内してもらい、暗くなってからホテルに戻る。

 6日目、ようやく今回の主目的の龍洞へ出かける。バスターミナルから、本数は少ないものの、下車する「龍洞湾」バス停を通り、宜蘭、羅東まで行く直行便があるので乗り換えの面倒くささは無い。時間も1時間強というところである。「龍洞湾」バス停で降り、階段を下り右へ和美國小へ。トイレを済ませ、海岸沿いに岩場へと向かう、「校門口(スクール・ゲイト)」の岩場を過ぎ、岩がごろごろした広い海岸を、赤いペイントマークを目印に「双鐘塔(クロック・タワーなどいろいろな呼び方があるようだ)」方面へ向かう。
 写真後方は、「スクール・ゲイト(校門口、左は人面岩)」。

 トラヴァース手前から見た「双鐘塔」の左右の塔。右塔のハング左からリップ上を右にトラヴァースして上がるのが、「ONE WAY TICKET(11a)」。今回はトライはしなかったが、見栄えのするラインである。帰路、この塔の周辺で地元のクライマーが登りを楽しんでいた。
 手前は「大池(ビッグ・ポンド)」と呼ばれる小さな入り江。

 アプローチの一番の難所「横渡(トラヴァース)」。高さ5から6mの高さに7から8mの長さで古いフィックス・ロープが張ってある。足場は狭いがバンド状で、手は良いホールドがあるので、あまりロープに頼らず落ち着いて行けば大丈夫。もちろん落ちれば大けがをするので注意は怠りなく。後方に双鐘塔のルーフが見える
 ここを過ぎれば、素晴らしい快適な大岩棚が待っている。

 獨木橋の左の大きなチムニー状の岩場が「長巷」。この中にも多くのルートがあり、夏でも日陰になるので良く登られているらしい。
「長巷右の岩」で登るクライマーが見える。

 ホエール・ヘッドの「SWORD」を登るクライマー。
 写真右から、「長巷(Long Lane)」、「布告板(Bulletin Board)」、クライマーのいる「鯨頭(Whale Head)」、洞穴状の「演奏台」。

 「演奏台」とアレートを挟んで左が「音楽廳(Music Hall)」。
白く長いフェイスが「結婚路線(Wedding Route)」、その左のアレートが「北東角」で、ここから左へボルトプロテクションのショートルートが沢山ある。
この付近はロケーションも良く、大テラスがあり、龍洞の北半分の中心的なエリアである。

 記念の1本目。「演奏台」左の長いフェイス「結婚路線(Wedding Route)(5.7)ケミカルボルトプロテクション」を登る。岩は硬くしっかりしており、次第にホールドが欠けるという不安は遠のいていく。このラインは地元でも龍洞入門ルートとして人気があるらしい。

 「音楽廳(Music Hall)」エリア。 
 シンクラックに沿って「豎琴(タテゴト 5.11c ケミカル)」を登る。この面はまだ陽光が当り暑い。岩場全体が東向きなので午後になると日陰になるラインが多く、そこを狙って登るのが一般的のようだ。右のアレートが「東北角」。

 ホエール・ヘッドの「SWORD(5.11b NP)」を登る。最後のシンクラックにマスターカムを決めて核心を越え、右にトラヴァースして鯨頭上のテラスに出て終了。本来リード&フォローで登るラインだが、ロワーダウンしながら回収したのでちょっと大変だった。

  「音楽廳(Music Hall)」から、「大禮堂」、「龍脊」、そして、迫力のある「Big Cave(大洞)」と続く。
 ここにも何本もラインが引かれている。下の堆積物を見ると、落石に充分注意する必要がありそうだ。

  「音楽廳(Music Hall)」大テラスから南の断崖を望む。
 一番右が「龍脊」その陰に「Big Cave(大洞)」がありその向こうに「Small Cave(小洞)」が見える。「Small Cave」はトンネル状になっており、その向こうには「黄金谷」、「後門(Back Door)」が南へと続く。

 帰路、校門口で何本か登る。中央の「大アレート右のクラック」(体感5.10 NP)を登る。上部プロテクションが取りにくいが、少し前傾していて面白い。。アレートのハングを越えて行くラインが、今回はトライしなかった「虎牙(5.11b/c ケミカル)」である。
 帰りのバスの時間を確認しておかなかったので4時に終了しバス停へ。結局2時間近くバス停でブラブラ過ごすことになった。18時半前にようやく台北行のバスに乗り、20時前にはホテルに帰る。最後の夜なので中山・天津街へ夕食に出る。
 最終日は午前中街を歩き回り、12時にチェックアウト。自宅には夜0:00過ぎに到着となった。
 今回は、台風の影響で2日間だけのクライミングであったが、観光、グルメも含め大変充実した満足できる旅行であった。