MALAYSIA Batu Caves Climbing
2010.6.30-7.7
★東南アジアのイスラム教国の一つマレーシア、その首都クアラルンプールの近郊にあるバツーケイヴでのクライミングに行くことになった事の発端は、今ではインドで観られなくなったヒンズー教のお祭り「タイプーサム」を調べたことに始まります。検索をかけた一つのページに「Rock Climbing」の文字を発見。覘いてみたところ、バツーケイヴ周辺にある幾つかのエリアの案内がありました。さらにネットで検索を重ね、簡単なトポの載っているページも発見。ということで観光も兼ねて訪れたクライミングツアーを以下簡単に紹介します。

 バツーケイヴはクアラルンプール首都圏の郊外、セランゴール州南端にある周りを岩壁で囲まれた大きな石灰岩の丘である。巨大な洞窟にはヒンドゥー教寺院があり、スカンダの神が祭られ、毎年タイプーサムの祭りには世界中から観光客が訪れる。クアラルンプールの中心から約13kmの距離にあり、タクシーでは20分ほどでアクセス可能。クライミングのエリアはこの寺院の側ではなく、この丘の南東から北東側に点在している。各エリアへはバスも利用できるが、タクシー利用が便利。料金は20-30RM程である。寺院は7月3日のクライミング後に見学する。

 7月2日クライミング後に訪れたKLタワーから遠望するバツーケイヴ南面。高さ200m程の丘の左側、JALAN BATU CAVES通り沿いにヒンドゥー教寺院があり、同通り沿い中央右寄りにコミックウォール、ロードショウウォール、ナンヤンウォール。右の高いビルの奥にバレーボールコート。丘の右の尾根状に見える位置にニャムウォール。そして北側に回り込んだところにホワイトウォール、ダマイウォール、レッドロックスがある。

 7月1日(クライミング1日目)ダマイウォール全景。中央に巨大な洞窟があり、その左に巨大なチョックストーンの挟まった穴が見える。ここは下が公園となっており、クライミングボードも設置されて非常に整備されており蚊も少ない。バツーケイヴのクライミングの中心的な場所とのことだが、グレードは初級者向きで、ハングしたラインはほとんどない。トイレは写真の左側の建物にあるが鍵がかかっている。運が良ければこの公園の管理をしている青年が来て、頼めば開けておいてくれる。注意すべきは「置き引き」で、実はちょっとした間にウエストバッグを盗まれてしまった。、登っているのは我々だけで、他には公園整備をしているちょっと怪しげな人が一人いたが、ちょっと荷物が死角になる見えないところで登って戻った時にはなくなってしまっていた。

 Rain Man(6a)?を登る。ガバガバで中間部上にちょっと被った核心がある。易しいが快適な楽しいライン。チョックストーンのある穴の下で終了。他のラインも全体的には似たような雰囲気で、あまり個性的なラインは登った中では見当たらなかった。ダマイでは全部で10本程登る。昼過ぎになると近くのモスクからコーランの唱が響いてきてイスラムの香りを味わうことができる。

 地元のクライマーが壁の上部から木やブッシュを落として掃除を始めたため、左側のルートが登れなくなってしまったので、階段より右側のショートルート(写真:ルート名不明 6a+)?とその右のルート(ルート名不明 6a)を登る。この間に置き引きにやられてしまったのだが、不注意であったのはこちらの責任と割り切ってその後は注意するよう心がけた。盗られたものは眼鏡と筆記具、古い腕時計程度で貴重品は持っていたので不幸中の幸いであった。そのような人間は日本にも沢山おり、マレーシア人がどうのこうのということはない。それよりも下で登っているのが分っているのに、壁の上部から降りてきてわざわざ木やブッシュを落としてクリーニングすることはないでしょう。場所を変えるとか、もう少し配慮する姿勢がないものかと思う。

 ダマイウォールから右に見える無名壁と今回は行く機会がなかったレッドロックス。歩いて10分程とのこと。さらに、このダマイウォールの左の方にはやはりここから歩いて行けるホワイトウォールがあるが今回は登らず遠くから眺めたのみ。

 7月2日(2日目)ニャムウォールへ。JALAN TIB3通りの岩場入口でタクシーを降り、そこから民家の間の道を入っていく。つきあたりまで行かず、少し出前を左へ、すぐに右に曲がり、真っ直ぐ民家横を通り抜けて庭先を抜けるとまもなく岩場に到着する。ニャム(Nyamuk)とは蚊のことで岩場に着くと、さっそく蚊の歓迎を受ける。 

 このエリアはコルネが少なくいが、岩は白くきれいでしっかりしており、プロテクションもケミカルでしっかりと埋めてある。ここはバツーケイヴでは最新エリアでハイグレード(8a+まである)のラインが多く、プロジェクトも何本か残されている。このエリアはもう少し整備がなされれば、今後おそらくバツーケイヴで中心的存在となるのではないか。左側は蚊が多そうで取りつきや沢山のボルダーが草に覆われている。右側は取りつきが大きなテラス(広場)になっており、風があり、蚊も少ないので、この日は右側で登ることにする。

 Stupid With Manners(7a)を登る。1回目はムーヴ探り。2回目は核心でフォール。3回目にようやくRPする。ボルト2本目までのボルダチックなラインで、上部は易しいがランナウトするので落ちられない。陽光が降り注ぎ、汗で手が滑ってしまうのが辛い。このルートは今回のツアーでの最高グレードとなる。

 Ilias(6b)を登る。取りつきの大きなコルネを登り浅いクラックを左上してレッジへ。すっきりしたラインで、核心はバランスが必要。この日は8本ほど登り終了する。ここの岩場の取り付き付近は硬くツルツルで大理石の様な感じである。

 このエリアの終了点はケミカルで、写真の様なタイプの終了点が設置されている。遠くから目立たず岩もきれいに見える半面、長いラインは終了点が何処にあるのか確認がしづらいのが難点。太さは10mmほどでしっかり固めてあるので強度的には問題ないと思われるが、1本なので心配になるクライマーもいるかもしれない。

 これはカタツムリの一種の「アフリカマイマイ」。日本でも小笠原諸島に棲息するが、野菜を食い荒らすため本土への持ち込みは禁止である。ところで、エスカルゴにしたら美味しいのであろうか?これで全長70mm程、マイマイカブリ(マレーシアにいるのか分らないが)にとっては食べ応えがありそうだ。このエリアでは、何種類かの大小の美しい蝶も飛びまわり、クライミングをさらに楽しくさせてくれる。

 7月3日(3日目)JALAN BATU CAVES大通り側からのロードショウウォール(右の大きな壁)と小さなヒンドゥー寺院(洞窟)の左にあるコミックウォール。コミックウォールの前には大きな岩があり、写真の暗くなった部分がクライミングエリアとなっている。寺院の入口にはトイレがあり利用可能である。ロードショウウォールの下を右に行くと、ナンヤンウォールへと続く。ゴミが非常に目立ち気になるところだ。猿がいるので、食べ物は手にぶら下げず、ザックの中に入れて行動するのが良い。この日はナンヤンウォールで登る。

 7月3日(3日目)ナンヤンウォール北面左側。コルネの発達が目立つ。向かい側はフェンスに囲まれた芝生の広がる工場になっており、そのフェンスとの間が通路となっていて、ルートの取りつきにもなっている。
 工場の東側は住宅地で集合住宅が並んでおり、近くにお店やレストランもあり便利な岩場である。バツーケイヴ・ヒンドゥー寺院からも徒歩でアクセス可能である。

 ナンヤンウォール北面右側。大通り側の寺院の洞窟がこちら側まで突き抜けているようだが、入口は鍵がかけられ入れないようになっている。こちらの壁は大きなコルネを使った易しいラインとコルネ間の手がかりの少ないスラブ状壁を登る難しいラインが混在している。蚊が少なく、壁もきれいだが、ひとつ気になるのは、悪戯をする猿が近づかないようにするための見せしめなのか、猿の死骸をフェンスにぶら下げていることで、臭いがしてクライミングに集中できない。ぶら下げたのはクライマーではないと思うが、西洋人は当然批判するだろうし、猿や犬、クジラまで食べる文化をもつ東洋人であってもこのような見せしめの行為はするべきではないだろう。多神教のヒンドゥー教では猿も神様の一つとして扱われていると思うのだが・・・。

 ナンヤンウォール北面右側の Outing1p目(6a+)を登る。最初から最後までガバの連続で、最後のハング越えが楽しい。この日は曇り時々晴れ&時々雨ということで、暑さも和らぎクライミング日和であった。

 南国風の巨大コルネに沿って登る Indecision(6b+)。コルネの左を登るラインとコルネ上でクロスし、最後はコルネから5m程左上したところで終了。易しいのが長いので充実感がある。

 岩場の下には生活ゴミや建築廃材と思われるゴミが沢山残っている。大分燃やして処理したようだが、片づけ切れていない。どのような経緯で残っているのか分らないが、クライミングの環境としてはちょっといただけない。燃やした煙で岩は黒くなっっており、ルートが台無しである。この岩場はアクセスも良く、ハングやコルネが多く、見た感じでは、コミックからナンヤンまで取りつきやラインをしっかり整備をすれば素晴らしいエリアになり、外国人にも人気になると思われるので非常に残念である。この日は10本ほど登ったところで早めに切り上げてホテルに戻り市内観光に出る。

 路地の奥に見える壁がバレーボールコートエリア。入口にお店があり、入っていくと以前バレーボールコートがあった場所は私有地で、資産家が建てたゲストハウスの様なものが建っている。左は同じ持主であろうクライミングとケイヴィングガイドの事務所(不在)、そして2階にクライミングボードもある。クライミングをするには私有地利用料として一人5RMの支払いが必要であるが、整備されているので納得できる。

 岩の下は大きな洞窟になっており、ちょっとした探検もできる。右奥にはハングした岩の下にウッドデッキと椅子があり、のんびりくつろげるとともに、車の見える左奥にはトイレも設置されている。
 壁は、左に大きなコルネがあり、その右は薄かぶりのきれいなフェイス。その右は出だしが垂直で上部は傾斜が落ちる。さらにラダーの右に薄かぶりのルートが2本ほどある。

 Tiger(6b)を登る。グレードは辛く、写真の登っている辺りまでで充分6bはある。各ルートの取りつきには低めのフェンスがあり怪我をしかねないので、1本目はプリクリップが良い。またランナウトするルートが多いので、ビレイは細心の注意を払う必要あり。

 Bat Attack(6a+)を登る。ガバを使い大コルネの右寄りを登るのだが、ここもランナウトする。朝から青空が覗いていたが昼前から急にスコールとなり、クライミングは終了となる。時間があったので、この後ヒンドゥー寺院まで歩きバスを利用しホテルに戻る。

 KLタワーから望む「ペトロナス・ツインタワー」、クアラルンプールの街を望むには展望台のあるKLタワーが良いが、ツインタワーの方が公園やショッピングセンターなどがあり楽しく過ごすことができる。7月2日、クライミング後、KLタワーへ。タクシーで行くが、「KLタワー」では通じず写真を見せてようやく行き先を理解してもらえた。マレー語が国語であり、教育水準が高く英語も準公用語といってもいいが、全ての人が話せるわけではないようだ。ちなみにここは「ナナス」の方が通じる。タワーからはバツーケイヴを含め、KLの街のほとんどが見渡せる。。

 屋台、飲食街、ショッピング街が並ぶチャイナタウン。夜遅くまで賑やかで、ただ見て歩くだけでも楽しい。街中には手ごろなホテルやバックパッカーズ宿が多く、またパサール・セニやセントラルマーケット、バスターミナルも近くKLの滞在地としてはお薦めである。マレーシアは中華系がマレー系に次いで多く、彼らがこの国の急速な経済発展を支えており、現在は日本より中国との関係が強くなってきている。またここにはヒンドゥー教のスリ・マハ・マリアマン寺院があり、毎年1から2月に行われるタイプーサムではバツーケイヴまでの行進がここから始まる。

 私たちが滞在した「スイス・イン スーペリアル・イースト・ウイング」の部屋。エアコン、TV、冷蔵庫、トイレ、シャワー付。せまく窓がないが古きチャイナタウンの絵などが飾ってあり、小ぎれいで落ち着ける雰囲気なのでお薦め。ルームキーはカード式でチェックイン時100RM のデポジット(チェックアウト時返してもらえる)が必要。外の雑沓音も入らず静かだと思ったら、ちょうどワールドカップの時期だったため、階下のレストランで夜遅くまで騒ぐ音がしたのには閉口した。

 マレーシアのお金RM(リンギット紙幣)とセント貨幣。他に100RMもあるが、大きすぎて使いにくいので、換金時は小さな額の札を多めにした方が便利である。買い物では10RM以下をよく使い、庶民的な店、電車やバスなどは1RMとコイン(セント)が何枚もあると支払いがしやすい。ちなみにトイレは有料で概ね0.2RM(20セント)。またお釣りをもらえないこともあるので、タクシーやトイレなどの支払い時はきっちりとお釣りなしで払えるよう小銭を持ち合わせていると良い。1RMは約30円程(2010年6月末現在)である。

 マレーシアの国蝶:ラジャ・ブルック・バタフライ(Trogonoptera brookiana:アカエリトリバネアゲハ)。マレーシアは蝶の宝庫。日本が250種程、マレーシアは945種でいまだ学名の付けられていない新種がまだまだいるとのこと。
 クアラルンプールのレイクガーデン内にあるバタフライパークにて今回の目的の一つだったアカエリトリバネアゲハを観る。いかにも熱帯の蝶という感じで、大きく品格があり美しい。偶然手にとまってくれたくれたところを運よく撮影。本当は自然の中での飛翔を観たかったが、飼育されたものとはいえ充分満足。

 国立博物館にあるアラビア語で書かれた古いコーラン。
マレーシアは長い植民地時代や日本軍の侵攻支配した戦争の時代があったが、建国以来イスラム教とともに発展してきた国でありイスラム教が国教となっている。敬虔なムスリムが多く、昼過ぎにはあちこちのモスクからコーランが聞こえてくる。モスクの礼拝時間は信者以外入れない。それ以外は見学できるが外国人はある程度服装などに配慮の必要がある。習慣やしきたりに注意しながらも多種多様の民族文化や自然を楽しみたいものである。
 また機会があったら今度は中北部のイポー、グア・ムサン、ぺルリス辺りのクライミングエリアも訪れてみたい。