尿管結石奮闘記
尿管結石、その痛みは経験者しかわからない。人生観変わる痛みである。
人間の経験する3大痛は、出産、歯痛、そしてこの結石だという。この人生観変わる痛み、せっかく体験したのだから、ここにその苦痛と涙の体験記でもかいておくことにしよう。ちなみに人生観変わるといったものの、人生そのものは変わっていない。人生観かわったからといっても、そうそう人生までは変わらないものである。あしからず。
・2000年11月中旬
なにやら腰が痛み始める。しまったなぁ、無理してヒンズースクワットをやったのが原因か。というのも、先日TVでヒンズースクワットをやっている場面を見て、普段運動もしていないくせに、いきなり真似をしてやりはじめてしまったのである。とりあえず、腰痛に効きそうな湿布を貼り付け、しばらく様子を見ることにした。ふ、湿布の買い置きなんてなかったからわざわざ買いにいってしもうたわい。
・2000年12月2日
朝起きると、なにやら脇腹が痛い。もともとあまり腸が丈夫でないため、おなかが痛くなることはよくあることで、これといって心配もせず腹痛の薬を飲む。今日は友人と出かける用事もあることだし、どうせ寝ているときにうっかり腹を冷やしてしまったのであろうと、あまり気にもとめず、そそくさと身支度をしてお出かけ。車に乗り込み友人との待ち合わせ場所へ向かう。そして友人を乗せ出発したところ突然の激痛!とても我慢できるものではない。やむなく友人お願いして近くの内科へつれていってもらった。保険書を普段から持ち歩くという習慣がこんなところで役に立つとは。
初診ということで住所・氏名・年齢を書くよう受付で言われたが、痛みでまともな字など書けない。もともと字は汚いが、それとは比較にならないような、まさしくミミズが這いつくばったような字でそれらを書く。
「受付の看護婦さん、俺ははんぱでねぇ痛みを背負っているんでぇ。この字の汚さがその証拠さ。決して普段からこんな字を書いているわけではないんだぜ。」 と心の中で思う。まぁこんなことを考える余裕ぐらいはあったようだ。
腹部の触診と痛みの個所、レントゲンの結果、急性大腸炎と診断され、やや強い痛み止めと、大腸炎用の薬をもらう。薬をもらうころ痛みもだいぶ和らいできたが、そのまま家にもどり安静にすることにした。このとき、。痛み発生から1時間程度経過である。
・2000年12月5日
朝おき、通勤の車の中でなんとなく腹部が再び痛み出していたが、いずれおさまるだろうと安直に考えそのまま会社へ。そして会社につき仕事をはじめるころ、激痛に変化。こいつぁ仕事どころじゃない。すぐさま会社の診療センターに飛び込み、ベッドで安静にするものの痛みがまったくやまない。それどころか痛みは増加する一方。自分の意に反しひたすら唸り声をあげてしまう。恥も外聞も関係無い。痛いんだ 痛いんだ 痛いんだ。その痛みもだえる私のすがたをみて、診療センターの方が救急車を手配。そして救急車が来るまでの間、血圧と脈拍チェック。数字は覚えていないがかなり脈拍が速かったらしい。その後救急車が到着しすぐさま総合病院へと搬送されました。もちろんこの痛みの原因が結石であることなんてさっぱりわからなかったものだから、とにかく痛みと不安でどうしようもない。おそらく午前10時ごろのことである。
総合病院で車椅子にのせられ、まずエコー検査の場所へ。検査医師が「うゎ、これはいたそうだねぇ。ほら、腎臓が完全に閉じているでしょう。結石だとこうなるんですよ。痛いでしょうけどもう少しがんばって」というような(よく覚えていない)言葉をかけられ、はじめて自分が結石というものを体験しているということを知る。その後、動くベットに固定されてレントゲンに小水、そんなこんなの検査を経てベッドで検査結果まちとなるのだが、痛みは一向におさまらない。通常の痛み止めを注射してもらったのだがまったく効かず、ひたすら唸りもだえていると、こんどは別の痛み止めの注射をしてくれた。なんでもモルヒネかなんか、その類のものらしい。これは効き目てきめんで、注射後痛みがぐんとひいていく。ただ、頭もくらくらして、なんだか変な気分である。一時休憩用のベッドへ移動し、時計をみたところ午後2時。痛みが退いた安心感と、ひたすらの痛みとの格闘による疲れ、そしてモルヒネ(多分)が効いているためか、とにかく眠くなり、ひと寝入りとつく。
16時ごろ目がさめ、医者より説明を受ける。レントゲンに7ミリくらいの玉がうつっており、これが石だという。腎臓から膀胱へつながっている管(尿管)に、この石がつまっているという。このあたりは神経が集中しているため、石が動いて尿道に傷がつくと激痛となるそうだ(*1)。
原因がはっきしりしたところで、 ここには泌尿器科はないからと、近くの泌尿器科を紹介され、そこへレントゲン写真をもって移動。そこで問診を受けると、石もあるが前立腺炎にもかかっているといわれる。この無菌のコップに小水をとってきてといわれるが、なかなか尿などでてこない。尿をだすためかなりの量の水を飲んだ。腹がたぷたぷいっている。ようやっと尿が出て検査に出すものが用意できた。そして診察。前立腺マッサージを受けたとたん、すごい尿意が。これは前立腺が腫れているため、尿管が圧迫され尿が出難くなっているからとのこと。そして、尿検査の結果(*2)を見せてもらうと、大量の菌が出ておりました。唖然。
ということで、結石と前立腺炎の両方との戦いが始まったのでした。
お医者からは、とにかくジャンプ運動、ウォーキングをする、水を沢山飲むということをしなさいといわれました。
*1 尿管に石が詰まることにより、腎臓が尿を送り出せなくなり、腎臓がパンパン状態、それが激痛につながるという話も聞きました。だから、前立腺炎で尿管圧迫による激痛も発生するそうです。
*2 シャーレの上に尿と検査の薬剤をつけ、菌があると緑色に反応するというもの。反応結果ということで、緑色の砂を撒いたようなきらきらした感じのものを見せてくれました。この緑色にきらきらしているものが菌だということでした。
・2000年12月中旬
会社にてひどい痛み。痛くともそれは結石のせいと原因はわかっているので、痛みが引くまで安静にするしかない。一応痛み止めの座薬をもらっているのでそれを使うが、あまり効かない。まぁ、痛いのはともかく、驚いたのは初の血尿である。とにかく真っ赤なのである。これははじめてみる私にとっては衝撃的である。
・2000年12月20日
泌尿器科にて、造影剤を用いたレントゲン検査を行う。造影剤を点滴により体に流し込んだ後、動くベッドの上でレントゲン撮影、そして排尿、レントゲン撮影を繰り返す。結構ベッドを傾けられるので、落ちないようベッド付属の手すりにしっかりつかまっていないといけない。そんなこんなで撮影がおわり、現像して出来上がった写真をみると、ちょうど石とどこかの骨が重なって、肝心の石が見えない状態に。これでは、どのくらいの大きさの石なのかわからん!。ただ、本来ならレントゲン写真において腎臓から膀胱へ伸びる尿管が白くはっきり写るはずなのだが、途中で途切れているため、石があることは確実とのこと(尿管に尿があると、白く写るとか。ただ、石が詰まっていると、そこで尿が止まるため尿管が途中で途切れて写る)。とにかく石があるのがはっきりしたんで、あとは石が自然に出てくるのを待ちなさいとのこと。とりわけ、階段の上り下りをよくやるようになった。
・2001年1月4日
正月休みで実家に戻っていたが、「7mmなんてでかい石を抱えて大丈夫か?」と両親が心配し、実家に比較的近い(とはいっても電車とバスを乗り継がなければ成らないのだが)結石専門の病院で検査を受けてみろと薦められ、とりあえず行ってみる。その病院は超音波粉砕機(でかい石は、超音波で粉砕して出す。そのための装置)をもっており、結構有名なところらしい。つい最近、親の知り合いもそこで結石を爆破させてきたということから、この病院を知ったとのこと。その場で造影剤検査をしてもらったところ、尿管が綺麗な線でつながっており、もう石は無いとのことで、かなり安心した。新世紀早々、いいことあったなぁという感じである。診察が終わって、待合室に戻ると、超音波粉砕の説明ビデオを見ている人がいたので、「大変ですね」と今後の参考のため横でいっしょに見させてもらう。もしまた石が詰まったら、これのお世話になるかもしれないわけで、いまからどんなものなのかを知っておけば、精神的に楽なのである。TV画面には、手すりにつかまったままの患者が、そのままでっかい水風呂に全裸でつかっている様子が......そう、ビデオは、これから超音波粉砕を行うクライマックスへと突入していたのだ。医師がモニタに映し出さされたレントゲン画面をみながら、詰まっている石に超音波の照準をあわせ、Fire! すると、バン!バン!とすごい音がし、何十回か超音波を浴びせたところで見事に石が砕ける。あとは砕けた石がそとに出るのを待つだけ。ここで清算窓口に呼び出され、私のビデオ鑑賞は終了。お大事にと一言そえて清算窓口へ。
さて、石を出すためには尿を大量に出せばよいとのことなので、ビールを飲めばいいじゃんと思われる方も多いかと思う。私もそう思った。だが、この考えが間違いであるというポスターが病院内にしっかり貼ってありました。まぁ、結石で尿管に傷がついているのに、アルコールなどご法度といったところだろうか(*)。
(*)多少のビールは利尿効果を促進するので良いようです。ただ、利尿の効果を期待するほどビールを飲みつづけると、肝臓への負担が大きくなるため、ビールによる利尿効果促進を考えるのは止めたほうが良いということのようです。
2001年1月〜6月
前立腺炎治療のため、泌尿器科へ通院を続けているのだが、とにかく毎回血尿が見られる。目で尿をみても赤くないので血尿しているとは気づかないのだが、検査をすると血尿していることがわかるとか。血尿でも何段階かあり、検査のたびに、今日は血尿度○× と医師から言われる。
たびたび、ひどい痛みがあるのだが、これは前立腺のせいかなと思い、その都度我慢我慢。このいまいましい石の野郎め。さっさと出てきやがれ。
・2001年6月下旬
朝、トイレで、尿に混じってなにやらでかいものがぼっこりと出てくる。なんじゃいこの物体は! ま、まさか..........そう、これが石。私を苦しめつづけた憎き石である。ついに出てきた。もう石はないといわれて、その石はどこに言ったのだろうかと疑問に思っていたのだが、ずっと膀胱にとどまっていやがったんだな。とりあえず、その石をピンセットで拾い、適当な場所においてそそくさと会社へ。とても気分が軽い。
こうして出てくるまで半年、長い長い戦いであった。出てきた直後は、周りがゼリー状のぶよぶよしたもので覆われ、大きさ10mm近くはあるように見えた。が、1日たつとぶよぶよしたものはすべて消え、石本体だけが残った。で、これがその石本体の写真。
当初7mmと言われていたものの、それよりは若干小さく、縦7mm程度、横4〜5mm程度、形は円錐形。写真はぼやけているが、周りはぎざぎざで、こんなものが尿管を通ったら傷だらけになるんじゃないかという感じのもの。
この石がでた日から、血尿がぴったりと止まり、突発的なひどい痛みも出なくなりました。どうやら鈍痛は前立腺炎、突発的な痛みは石のせいみたいだったです。
この後、石を病院に持っていき、成分を調べてくださいとお願いしたところ、蓚酸結石だと教えてくれました。水に溶け難い石だそうです。
・おしまいに
いまだ前立腺炎の治療は続いてますが、とりあえず石はでました。もう二度と経験したくない痛みでした。これからは水をよく飲み、運動し、石ができないよう注意をすることを心がけることにします。前立腺炎ってのはなかなか治らないそうですね。へたすると一生もん?(T_T)