ああ測定器
何かを学ぶにしても、一人だけでやるには限界がある。やはり、よい先生・師匠を持ってこそ、よい技術が拾得できるもの。私にとっての師匠は、測定の大事さをよく教えてくれた。
「測定できるものは測定せよ、
しかし測定できないものは測定できるようにせよ」
と書かれた色紙をいただき、いまでは私の宝物となっている。
師匠曰く、「測定器は測定器を呼ぶ」。これはまさしく事実であったが、ちょっと私なりに補足をすれば、「測定器は中古測定器を呼ぶ」となる。新品測定器は非常に値段が高く、買う気が起きても先立つものがないのが現実、しかし中古測定器なら何とか手が届く。中古測定器で怖いのは、ちゃんと動くかどうかということと、校正ができるかどうかの二つだ。動くかどうかはほとんど買うときの運みたいなもんだが、校正できるかどうかは、今自分が持っている測定器にかかってくる。つまり、ある程度の測定器を持っていれば、安い中古測定器を比較的安心して買うことができるのである。これが、測定器は中古測定器を呼ぶ要因の一つではないかと思う。
作る電子回路の種類、例えば電源・低周波増幅器・高周波増幅器・発振器といったものによって、使う測定器も変わってくる。電源の設計・調整に必要な測定器は何か、また低周波増幅器のときはどうか、それが分からなければなんの測定器をそろえればいいのか分かるはずもない。それを教えてくれるのが、学校であり、師匠であり、友人であり、先輩・後輩であったりする。なんか、理系学校の宣伝みたいになってきたが、やっぱり理系学校の強さはこんなところにもある。中古で買った測定器は学校の校正された測定器を使って調整できるし、うまくすれば先生からもいろいろ教えてもらえたりで一挙両得。なお、どんな回路を作るにしても、オシロスコープという測定器はとても使い道がある。オシロスコープがあれば、ある程度なら他の測定器の動作チェックを行うことができる。中古測定器を買うときはある程度「かけ」をすることになるのだが、オシロスコープに関しては、できるだけ「かけ」をせず、信用おけるものを購入しておくほうがいいだろう。
(ハムフェア94 クラブ出展物 '94 DCDCコンバータ設計入門より抜粋)