直流電圧発生器
いい性能なら調整や校正に使える
作ったのは、1998年ごろ
1.どんなものか
ユーザーが指定した、正確な直流電圧を発生させるものです。たとえば10mVと設定すれば、正しい10mVが発生してくれるというものです。標準電圧発生器といったほうがわかりやすいかもしれません。電圧計や電流計の調整や校正、そして直流確度といった性能評価にも用います。もちろんこれら用途に必要とする確度が出ていればの話ですが。
図1 全体写真
図2 画面表示 出力OFF , 1Vレンジ , 出力電圧0Vという意味である。
2.仕様など
レンジ 10V ,1V の2レンジ
出力電圧 ±10V(10Vレンジ),±1V(1Vレンジ)
分解能 10mV(10Vレンジ),1mV(1Vレンジ)
最大出力電流 100mA
保護 出力短絡保護
出力確度 最悪 (^^; 恥ずかしくて数値表現できません
温度安定度 これも最悪(^^;;;;;;
3.回路
3-1 全体構成
DAコンバータ出力に電流増幅回路をつけただけの回路です。それに電源とCPU、キーボード、表示用LCDが入ります。
DA出力を基準電圧とした、制御回路にすれば良かったのですが、手抜きをしてDA出力をそのまま電流増幅しただけの回路にしてしまいました。そのため、電流増幅回路のリニアリティや温度安定度がそのまま仕様を決めてしまうという回路となりました。かなりみっともない回路なので、ブロック図だけにします。
図3 ブロック図
3-2 電圧生成部
DAC(DA Converter 略してDAC ダック)は、LTC1257というリニアテクノロジーの12BitDACを用いました。このDACの積分直線性から考えると、分解能1mVという性能はちと無謀です。まぁ、性能はともかく、分解能のそこそこある直流電圧発生器があれば便利かなと作ったものですから。
3-3 電流増幅部
DAC出力の電圧・電流増幅と、保護回路です。トランジスタとオペアンプを用いてディスクリートで作成しました。150mA程度で保護が働くよう保護回路をつけています。増幅度は、レンジにより1倍・10倍と切り替えます。
3-4 CPU
AKI-80ゴールドを用います。キーコントロール、LCD表示、DACの制御をやらせています。ファームウェアの言語は秋月で購入したMiniC(\2k)を用いました。
3-5 内部写真
内部の写真です。
左から順に、電圧発生基板、CPU基板、電源基板となっております。
図4 内部の写真
4.使用感
性能はかなり悪いです。設定値よりも数mVもずれてしまいますし、温度によっても出力電圧がずれてしまいます。実力でこれですから、とても仕様なんて出せません(計算もしていませんが)。これではとても標準にはなれませんね(笑)。それでも、標準として用いず、細かく出力電圧を変えられる直流電圧発生器と割り切ってつかえば、ちょっとした実験などに便利に使えます。結構利用頻度が多く、作って損の無い1台です。アマチュア用と割り切ればこんなものでも1台あるとかなり便利です。
いずれは、標準直流電圧発生器と呼べるようなまともなものを作りたいと思います。だいたいの構成は、もう頭に出来上がっているのですが、なかなか作る時間が......作りたいものが多すぎるのと、たといこんな性能の悪い簡便なものでも、結構使えてしまっていることからなかなか性能アップした同じ用途のものというものを作る気がおきないというのも事実で。
記事作成 2002年8月