低周波発振器 |
アンプやフィルタの周波数特性から、メカを動かしたり、外乱を与えるための信号源に用います。信号発生器として、正弦波と矩形波のみを出せる、いわゆるオシレーターと呼ばれる部類のものと、さまざまな波形をだせるファンクションジェネレータと呼ばれるものがあります。ここではオシレータについて取り上げることにします。 今、私が所有しているオシレータの写真を以下に示します。なんか古そうな外観が、中古で購入したことを物語っております。1980年代から1990年代初めあたりまでは秋葉原に中古測定器屋が結構あったので、このような測定器を格安で入手できたのですが、21世紀にはいった現在では、このような中古測定器を扱うお店はずいぶん減ってしまい、入手も難しくなってしまいました。 さて、このオシレータ、中をみると真空管があり、電源をいれるとほのかにヒータの趣きある光がみられます。ただの古びた測定器ではなく、真空管の時代があったんだという生き証人として、今を生きつづける測定器です。 |
|
|
写真1 低周波発振器 外観 1990年ごろ秋葉原の中古測定機屋で入手。たしか\3kだったと思う。 |
写真2 低周波発振器 中身 真空管の灯火 真空管製だって、いまでも現役。 |
出力波形について 基本的にLCやRC発振器ですから、波形は正弦波、矩形波が主です。
周波数について 低周波オシレータの出力周波数は、だいたい10Hz〜100kHz、ものによっては1MHzまで出力可能です。 出力周波数の設定は、中央のどでかいメモリあわせと、マルチプライヤの設定でおこないます。メモリを10に、マルチプライヤを×1kHzとすれば、出力周波数は10KHzというわけです。このダイヤル表示は、中古品ですとあまりあてになりませんから、正確な周波数が必要な場合は周波数カウンタを併用する必要があります。 なお、LCやRCを用いたオシレータは、電源投入から大きく周波数が変動し、出力周波数が安定するまで数十分から1時間程度かかります。特に自作オシレータの場合、温度補償がしっかり出来ていないことが多いので、なかなか周波数は安定せず、最悪いつまでたっても安定しないなんてこともあります。写真1の測定機は、古いせいもあってか、1時間30分ほどヒートアップさせないと安定しません。 |
|
MeasureValue : その時間の出力周波数 TrueValue : 75分経過後の出力周波数 |
出力振幅について 出力レベルは、OUTPUTボリュームをまわすことで変更できます。ものによっては、出力減衰器を内蔵しているものも有り、微小信号を出力したり、残留ノイズを気にするのであれば、発振器の出力レベルは高く設定しておき、減衰器で必要なレベルに落として使用するという手を使います。出力レベルは、全周波数において一定の値になるよう補正されているわけではありません(そうなっているオシレータもありますが)。ですから、周波数を変えたら、出力レベルも確認する必要があります。 高級タイプでは、振幅レベルを制御し、出力レベル確度を保証しているものもあります。 写真1のオシレータは、出力振幅が安定するまで90分ほどかかります。
|
|
MeasureValue : その時間での振幅値 [p-p] TrueValue : 75分経過後の振幅値[p-p] |
応用先 LCやRCによる発振器は歪が少ないという特徴をもっておりますので、オーディオ関係の特性測定にうってつけです。この発振器と歪率計をもちいれば歪率が測定できますし、バルボル(オーディオ帯域でつかえる交流電圧計)を併用すれば周波数特性が測定できます。 オーディオ以外にも、制御系に与える外乱信号、メカにおいて正弦波振動をおこさせるための発振器などにも用途が考えられます。 AD変換器を使った回路を作った場合、とりあえず動かすときになんか信号が欲しくなります。そんなとき、この手のオシレータはお手軽で便利です。 なお、このオシレータを用いて、自分の耳の周波数特性(というか、どこまで低い周波数まで、そしてどれだけ高い周波数まで聞けるかを試す)をとってみるのも面白いです。とりあえず私の耳は50Hz〜18kHzまで認識できるみたいです。 さて、このタイプのオシレータは、中古で安く入手できますし、何か作ったときの試験動作用に、なんでもいいから信号がほしい! というときに重宝しますので、見つけたら1台用意しておくとよいとおもいます。 |