DMM


 Digital Multi Meterの略で、測定できる内容は電圧や電流、抵抗といった電気における基本的なものですが、外観は写真1のように、テスターよりもかなり大きいものです(*1)。確度は5桁クラスのもので0.01of readingと、5桁クラスの最高級テスターより倍程度よくなっております(同じ2倍でも、2%の確度を1%にするより、0.02%を0.01%にするほうが技術的にはるかに大変)。DMMは、テスターと違い工場の生産ラインや研究コのような温度管理のされた場所におかれることを前提としていますから、テスターよりもいろいろと細かな仕様や、GPIBによる制御が行えるといった機能、そしてテスターには無い演算機能なども盛り込まれております。そのため、値段も高く最高級テスターの数倍のお値段(\10k以上)もしますので、アマチュアレベルでは、もはや手の届かない存在の一品ですが、こんなものもあるんだということで紹介だけしておきます。まぁ、最高級テスターだって、そうそう手の届くものではないのですが。

 

 

(*1)テスターも、デジタルマルチメータと呼べるのですが、ここではあえて現場にもっていくような、携帯型の現場測定器をテスター、生産ラインや実験ベンチに据え置きでつかい、確度保証条件が細かく規定されているものをデジタルマルチメータと呼ぶことにします。

 

 

左がハンディテスタ、右がDMM

DMMは、6桁のすごくいいやつです。会社で使用して

いるものをちょっと写真に撮らさせていただきました。

写真1

 

確度

テスターの確度は、だいたい環境温度23±5℃そして校正周期1年で規定しているものが多いのに対し(注 製品保証年数と、校正周期は別物のようです。すなわち、製品保証3年をうたっているからといって、製品仕様が3年保証されるというものではないみたいです)、DMMはもっと細かく、標準により校正をしてから24H以内の確度、90日までの確度、1年までの確度と期間に区切りをつけ、また環境温度も±1℃という、温度コントロールされた室内で使用することを想定した場合などの確度仕様を出したりしております。また環境温度に対する影響として温度係数も規定されており、5.5桁のDMMなら5.5桁の表示をフルに使えるよう考慮されております。このような測定器ですから、本気で使いこなそうとすると、絶対値の確度をフルに活用するために、ちゃんと使用時の温度を記録したり、校正年月日を記録したり、室温に気をつけるなど、そうそう手軽に使える代物ではありません。もちろん、確度を気にしないのなら、環境温度やら校正やらを一切無視してお手軽に使ってもそれでいいのですが、そうすると、最後の桁の数値は意味の無いものになっていますので、そのあたりを頭に入れておく必要があります(*2)。

 

 (*2)同一温度において、相対値を比較するというのであれば十分に意味はあります。

 

 

確度の一例(5桁DMMの仕様の例です。写真のDMMの仕様ではありません)

レンジ

24h ±1℃

90日、23℃±5℃

1年,23℃±5℃

温度係数

 2000mV

0.0045+3

0.006+3

0.009+3

0.0009+0.5

24h,23±1℃ 校正標準に対する値

 

このことからDMMの場合、校正標準を持ち合わせていれば、5桁の表示をフルに使うことができます。無論、こんなことがきるのは、研究コレベルになるので、アマチュアレベルではとてもとても。でも、GPIB制御ができるという点で、個人的には欲しいと思う測定器です(パソコンにつけるGPIBカードも、これまたお高いのですが)。

 

機能について

テスターは、その用途からいろいろな測定ができるようになっており、電圧・電流から、温度・周波数までなんでもござれとなっておりますが、DMMは精度良くということを主眼に置かれるため、測定できるものは値段の割にテスターより少ないです(さらにお値段の高いものなら別ですが)。また、研究室レベルでの測定を想定しているため、正確な測定ができるような機能がつまれております。

 

 

    GPIB通信

    計測器をPCで制御したり、測定値を謫セすることができますので、測定のゥ動化ができます。ほとんどのテスタはGPIB制御を行うことができませんから、測定のゥ動化のため、精度がオーバースペックでもDMMを用いるということもあります。なお、PC用のGPIBインターフェースカードは値段が高いため、最近はイーサーネットで制御できる測定器も増えてきております。

 

    アベレージ

    何点サンプリングし、その平均値を出すものです。アベレージはフィルタの効果がありますから、ノイズの多い個所での測定に威力を発揮します。

 

    4端子測定

    低抵抗を正しく測定するためには、4端子法という測定法を用いなければなりません。

 

    NULL

    重さを量る「はかり」のゼロアジャストみたいなものです。

 

    スキャナ

    DMMゥ身は1入力しか?りませんが、これを多入力にするものです。中身はスイッチの塊みたいなものですが、DMMの性能をEさないようなしっかりとしたものとなっております。GPIBによりスキャナもコントロールできますから、DMM1台で、さまざまな場所のゥ働計測が可能となる一品です。

 

DMMは値段も高く、そうそう入手できるものではありませんし、ちゃんと使いこなそうとすれば、定期校正もしっかりやっておかなければなりませんが、測定機などを自作しようとか、素子や機器の評価とか、そういった用途において必要不可欠な測定器です。

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