IKKAN 一閑張りと柿渋の話  

一閑張りの話

<由来>
 17世紀前半、明から日本に帰化した「飛来一閑」の創始といわれる漆器の一種。和紙を幾重にも糊で張り固め、表面 を漆や柿渋で塗ったもの。盆や机、箱、篭などがある。最近は自由な発想で文字や絵を施し、生活アートとして楽しむ人が増えている。


<作り方>
■材料と用具
  1. カゴ、紙の皿や箱、木の箱など。
  2. 和紙=こうぞ(木の繊維)入りの和紙が張りやすい。他に色和紙、千代紙など。
  3. のり=寒梅粉(もち米の粉)を水に溶いてトロ火で炊く。または障子やふすま張りの澱粉糊(防腐剤 入り)でも良い。水性の木工用ボンドを50%位まぜると丈夫に。
  4. はけ=糊付け用の平刷毛。
  5. 紙ヤスリ、柿渋、水性ニス、墨汁、絵の具など。


■作り方

  1. 和紙に文字や絵を描いておく。
  2. 無地の和紙を一旦くしゃくしゃに揉んでから、貼りやすい大きさにちぎる。
  3. カゴは余分な竹クズやほこりなどを取っておく。竹の外皮のツルツルした部分は、紙ヤスリでこすっておく。
  4. 水で薄めた糊をちぎった和紙に一枚ずつ付けながら、カゴに貼っていく。
  5. 和紙を少しずつ重ねながら、手でよくなじませながら全体に貼っていく。
  6. 4〜5の要領で二度貼りする。
  7. 文字や絵を描いた和紙を揉み、好みの大きさにちぎり貼っていく。または、二 度貼りしてよく乾いたカゴに直接描いても良い。
  8. 風通しの良い所に置き、よく乾かす。
  9. 柿渋(2〜3倍に薄めて)を3〜5回塗り重ねる。または水性ニスを塗り、乾かして出来上がり。

柿渋は一度に良い色にはなりません。月日を経るほどに色合いが濃くなります。室内の日光の差し込む場所に置いて楽しみにしてください。
●少しの水気は押すように拭き取ってください。後は陰干しにしてください。(紙製品ですので耐水製は強くありません)


柿渋の話
 柿渋の主成分はタンニン。渋みの正体です。渋ければ渋いほど原料としては高品質です。収穫された青柿から搾り取った汁を発酵させ、加熱殺菌のあと熟成させます。1年以上熟成させたものが柿渋となりますが、3年〜5年熟成させたものを古渋と云い色も艶も美しく仕上がります。

 柿渋んは防水、防虫、防腐、防菌効果があるといわれています。ムカデやへびの毒中和剤や清酒やワインの清澄剤。二日酔い、高血圧などへの薬効も注目されています。そんな柿渋にも注意点があります。そのひとつは、強烈な臭いです。しかし、2〜3週間もたてばすっかり飛んでしまいます。もうひとつは、雨などがあたる場所では時間とともにはがれてしまいます、昔は1年に1回は塗り直ししていました。

 自然の塗料として見直されている柿渋ですが、紙や布への染料としても見直されています。和紙に柿渋を染み込ませた座布団や布製品のシャツや小物など、その自然の色合いと風情に愛着を持つ人が増えています。

<参考>
●柿渋の製造元
トミヤマ/京都府相楽郡山城村南大河原阿僧6-5/電話07439-3-1017

●柿渋染製品
大前織物/滋賀県神崎郡能登川町小川1288/電話0748-42-0805
シャツ・エプロン・クッション・バッグ・ジーンズ・キャップなど、染色から仕立てまで。

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