Moon is a Merciful Mistress.




墨攻
2007年02月03日19:51
見ましたよ。初日の3回目。車洗ってから出かけたので(;´Д`)

ええとね。総評から。原作もハードだけど映画は輪をかけてハード。後頭部を鈍器で殴られたような重さ。見るなら覚悟の上で。エンターテインメントを期待してると痛い目に遭います。

でね。

この映画はとにかく執拗なまでに守ることの意味を問いかけてくる。味方からは裏切られ、仲間をことごとく失って、本当に守りたかったものも守れずに、そこまでして本当に守るべきなのか、守る価値はあるのか、守るべきものはなんなのか。

翻って日本には守るだけのための軍隊が存在しているわけですが、じゃあ果たして日本に守るだけの価値があるのかと聞かれると、はっきり言って答えに困る。政治家も財界も社会も腐りきってる。それでもなお守らなければならないのか。

それでも。
戦火に遭って一番ひどい目を見るのは民衆なんだけど、彼らには本来何の罪もない。彼らの命を救うために、守ることは必要なんだ。

果たしてそうか。
絶対王権の昔ならいざ知らず、今は仮にも民主国家の世の中だ。腐った政治家を選んだ責任、腐った経営者をのさばらせている責任、腐った社会を作り上げた責任は全て国民の一人一人が負わなければならない。弱者の陰に隠れて被害者面をされるのには反吐が出る。皆同様に有罪なんだよ。そんな連中を本当に守る必要があると?

そういうことを考えさせられる、実に救いのないストーリー。武器を捨てて立ち去る部下達の後ろ姿がやるせない。

本来責められるべきは、強者のエゴでもって一方的に攻め込んでくる連中であって、いくら守る価値が無かろうと攻めていい理由にはならないし、攻め込んでくる連中を止めるためには誰かが防がなければならない。守るべき理由は守られる側にあるのではなく、攻める側にある。ただ、この映画の筋書きからはそういう視点が希薄な印象を受けてしまうのが悲しい。っていうか、映画の後半からは巷掩中の存在がどうでも良くなってしまう(;´Д`)のは大失敗ではないのかと。


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