Moon is a Merciful Mistress.




暗闇のスキャナー
2006年12月09日21:10
自分が行った行為のためにあまりにも厳しく罰せられた人びとについての物語。

世界で最も作品が映画化されたフィル・ディックの、これが初めての映画化作品(この文章間違いにあらず)。あまりにも不条理で虚しくて悲しい物語。最後の後書きがそのまんま流れるエンドロールでは泣けました。

リンクレイターの撮ったこの映画では、9.11後の映画でもあり、むしろ相互監視社会の恐怖が強調された印象を受けました。ジョージ・オーウェルは権力により隅々まで社会が監視された社会を描いたが、現実には自ら望んで監視し監視される形での相互監視社会となりつつある。それをもたらしたものはコントロールされた恐怖による不安と相互不信だ。では、それをコントロールしているのは誰か、ということだ。映画は、コントロールを打ち崩す希望を垣間見せて終わる。現実はどうだろう。

渋谷のシネセゾン。結構な入り具合でしたよ。まあ、ほぼ単館公開なので、これで人が入ってなかったらどうしようもないけど。キアヌ目当ての女性が心なしか多めでした。アニメになってるけどね(;´Д`)。あと女性のヌードも結構出ましたが、全然セクシーでもエロティックでもないのはリンクレイターの手腕なんでしょうか(;´Д`)。


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