











  「いのちの旅人」 


           の中から「尊厳死をとげるためには」
                              作家・会員   澤 地 久 枝 記














  世の中のみんなに、いろいろな役割がある。価値観もさまざまだと思う。
何が幸福で何が不幸かも人それぞれ受け取り方がずいぶん違う。いずれに
しても、人は自分だけのために生きて死んでゆくのではなく、なにがしか
の役割をこの世で過ごして、存分に生き切って静かな終幕を迎えるべく生
まれれてくる命であろうと思う。そのための一日一日が過ぎて行っている
のである。
  尊厳死をみんなが真剣に考えるのはとても大切だと思うが。きょう協会
の会員の現在数を聞いて、みんな案外のんきなんだなと思った。いかに死
ぬかを考えるより、今、何を食べるか、どこへ電話するかを考える方が具
体的で切実な問題であるとは思うが。














  いかに尊厳死をするか、みんながあまり考えなくていいことだ。ただ、
尊厳死を選びたい人、きちっとしておきたい人は、是非入会なさるといい
と思う。
  同時に、尊厳死をとげるためには、いま生きている命、これから生まれ
てくる命のために、それぞれの命が存分に生き、悔いのない命の時間を送
ることができる「いのちの旅人」になれるために、お互いがほんの少しで
も貢献することができるように、と思う。
  そういう生き方を考えるための、尊厳死との向い合いであってほしいと
願っている。






























 
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