東京の車窓から・番外編        

伊豆急行の旅


superviewスーパービュー踊り子

今回は、東京をちょっただけ離れて、リゾート路線の白眉、伊豆急行のご案内です。
伊豆を観光資源として注目したのは、現在の東急と西武の両私鉄でした。
この、伊豆半島を南下する鉄道は、いろいろと計画され、上記2私鉄と現JRが中心となって
それぞれ敷設を計画し、幾多の紆余曲折があった中で、この伊豆急行という東急系の企業が
営業を始めることとなりました。
そこで、西武は修善寺に至る伊豆箱根鉄道で対抗したという歴史があります。

そんな話も過去のもの、現代のモータリゼーションの時代の中で、地方の中小私鉄は苦しい
経営を余儀なくされていますが、その中にあって、この伊豆急行は特徴ある展開で有名です。
それは追ってお話しするとして、前置きが長くなりすぎましたが、今回の出発駅は熱海です。
本来、伊豆急行は伊東を起点として下田に至る所要時間約1時間の路線ですが、前述のJRとの
関係から、相互に頻繁に乗り入れており、(車両だけで乗務員は路線毎に交代します。)基本的に
各駅停車は熱海発、特急列車は伊豆急内でも特急ですが、すべてJRのものになっています。

伊豆の旅は1年中休日は渋滞との戦いになります。狭い海沿いの道に車が集中するため、(山に
抜け道も多くありますが、すべてに対応できません。)特に夏は深夜と早朝以外はすべて渋滞と
いった箇所もめずらしくありません。
下田から東京まで6時間などといったこともよくある状態です。
そこで価値のあるのがこの伊豆急です。東京・下田間、スーパービュー踊り子号で2時間40分、
東京・熱海間を新幹線を奮発すれば東京・下田、2時間少々(乗り換え時間別)というスピードは
混雑するシーズンは大変価値のあるものです。
もっとも理想的なのは現地でレンタカーを借りれば鬼に金棒状態になります。


リゾート21リゾート21

またまた話が長くて電車がちっとも発車しません。
今日は、熱海からリゾート21という電車で下田に向かいます。
このリゾート21という電車は通常の普通電車でもちろん普通運賃だけで乗車できますが
内装はJRのグリーン車並みで、先頭車は段差のついた展望座席で大きなガラスからは、運転手と
(女性の運転手もいます。)前面の展望が大きく広がります。中間の車両もラウンジソファー
といった感じで海側をむいたソファーが大きく設置されています。

展望室R21の展望室

女性の乗務員も乗っており、至れり尽くせり状態です。1日10往復程度運転されていますので
時刻表をよく調べてから、出かけなくてはなりません。少し早目に行けば、先頭展望席はあなたの
ものです。JRの踊り子号よりずっと豪華でしかも特別料金無しのこの電車を利用するためには
東京からですと、熱海まで東海道線の普通列車のグリーン車利用が1番のおすすめです。
節約したい方は、熱海まで普通車を利用、急ぐ方は、熱海まで新幹線など、あるいは、新宿から
小田原まで小田急利用などいろいろと選択肢があります。


さて、やっとリゾート21は発車しました。
途中伊東までは、JRの伊東線です。来宮伊豆多賀網代宇佐美と左手に海と初島を見ながら
進み20分ほどで伊東に到着です。ここからいよいよ伊豆急行線に入ります。
伊東線・伊豆急線とも全線単線で、そのため駅で対向列車と交換のため、列車により所要時間に
差があります。特急列車より早い普通列車もあったり色々です。
さて伊東を出発して南伊東、ゴルフ場で有名な川奈と過ぎ富戸城ヶ崎海岸と続きます。

城ヶ崎海岸

城ヶ崎海岸は大室山の噴火の溶岩が海岸に流出したできたリアス式海岸で、岩に砕け散る黒潮は
なかなかの風景です。(某映画会社のシーンのようです。)
富戸駅から、海岸沿いの自然研究路を吊り橋を渡りながら歩いて、伊豆高原駅に至るコースは
約4時間で充分堪能できるコースです。
さて、次はその伊豆高原に到着です。ここは伊豆観光の第一の拠点です。
春の桜の季節は見事な桜で賑わいます。3月下旬から4月上旬まで桜祭りが開催されます
そして夏のシーズンには、大変な混雑です。ここからは前述の城ヶ崎海岸、伊豆海洋公園(プール
・お花畑等がありますが、古くからダイビングのポイントとしても有名です。)
などの、海系の施設から、伊豆シャボテン公園、またテデイベア博物館・おもしろ博物館・
オルゴール館・人形館などまで各種の施設が目白押しです。


さて、伊豆高原を出て伊豆大川伊豆北川と温泉への下車駅が続きます。
伊豆北川には有名な海岸沿いの露天風呂-黒根岩風呂があります。なんと混浴です!!
(19:00-20:30は女性専用・男性の専用時間というものはありません。)
ここは伊豆の気軽に立ち寄れる露天風呂の中でも、西伊豆の沢田公園(ここはいいです!)とならび
おすすめの所です。
さてこの伊豆急行、以外と山の中を走る区間が多いのですが、ここいらへんから当分の間、
河津までは海が望める区間が多くなります。
さて次は伊豆熱川です。熱川といえば、やはりワニ園でしょう。豊富な温泉の熱を利用した、
バナナワニ園が駅前にあります。このバナナワニ園という名前、なかなか即物的ですねえ。
なかには、ワニ29種、350頭が飼育されていて、大迫力・・ではなくて、ワニはほとんとじっと
して動きません。でもきっと補食するときは、すばやいのでしょうね。
熱帯植物園もあり、全館熱帯していて、夏の暑さといったら格別です。冬がいいですね。
片瀬・白田、両温泉の下車駅片瀬白田を過ぎ、伊豆稲取に到着です。ここの稲取漁港は、
伊豆の東海岸では最大の規模です。目の前の大島までの定期船も1日1往復ですが出ていて、
最短の70分で結んでいます。列車とこれを利用すれば、大島へ楽に日帰りが出来ます。

さて伊豆急の旅も後半に入り残り少なくなってきました。
列車は海水浴で有名な、今井浜海岸を過ぎ、いよいよこの線第2のハイライト、河津に到着です。
ここは河津温泉郷をはじめとして、海・山の見所が盛りだくさんです。伊豆といえば、踊り子、
踊り子こちら特急の踊り子
カラオケでよく歌われている天城越え・天城峠の玄関口です。(もちろん本当はあの
「つづらおりの坂道を・・・」ではじまる伊豆の踊り子ですが、)ここへは、車かバスで、
やはりカラオケで歌われた(確か、杏里)ループ橋を通って行きます。ここの河津七滝もなかなかきれいな
ところです。帰りのルートにぴったりですね。
伊豆は海だけではなく、山にもまたいいところがたくさんあります。

さて、再び伊豆急にもどり、ここからは、終点下田まで山の中を走り海は見えません。
稲梓蓮台寺と過ぎ、いよいよ終点伊豆急下田に到着です。
熱海から約1時間、車窓を楽しんでいるとあっという間の到着です。

下田はそれ自体、見所がたくさんありますが、
またさらに南へ、西へと、伊豆の旅の出発点でもあります。
まず手始めに、ロープウエイで寝姿山へ登りましょう。
下田も風景はもとより、伊豆七島まで望むことができます。
また下田湾内や石廊崎遊覧の船も出ていて、季節ごとの(5月・黒船祭 6月・あじさい祭り
12月・水仙祭り)イベントが盛りだくさんな所です。
東京から列車で2時間強のところですが、
気候といい風景といい食べ物といいとても快適な場所です。
さて、伊豆の旅のハイライトはまだまだ続きます。西伊豆にも、雲見・堂ヶ島・土肥なとなど
いいところが目白押しです。今回は伊豆急に沿っての東伊豆の旅でしたが、実は本当の伊豆の
魅力は、鉄道などの整備されていない西伊豆にあると、私は思います。

知っているようでまだまだ魅力いっぱいの伊豆の旅、一度ゆっくりお出かけください。




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