北京電脳網路今日事情 2002


北京の町中でもっとも大きな変化と感じられるのは携帯電話の普及である。

中国の国民所得は$700(9万円)と言われているが、実体の購買力平価で計れば$3000(39万円)と見積もられている。しかしながらその中には貧困層(主として農民年収2万円程度)から、最近急速に増加している中産階級、そしてその上の富裕層まで3ランクの所得階層があり、大学進学率2%という実状からして各階層間の差はより拡大していく方向にある。現在の中産階級はカラーテレビを買い、携帯電話を持ち、国内旅行を楽しむ、夢は自家用車と海外旅行といった状態に進展しつつある。携帯電話を使い高層ビルの林立する中で仕事をする中国人男女の脇を旧住宅街に向けて暖房用の石炭を老人が荷車で引く、それが現在の北京の日常風景である。


列車内でも地下鉄でもバスでも携帯は鳴り続ける。中国の携帯電話の利用者は1億2000万台を超え世界一になった。現在一番目につく商店は携帯電話販売店でもっとも安いもの(中国産品)が5千円程度から販売されている。また、外資系の商品はWeb利用ができるものまで販売されている。中国の加入電話の普及の低さ、困難さが携帯電話の爆発的な普及の一方の原因だが、町中の路上に今でも電話をかけさせる商売が目に付く。
  

一方、中国のインターネットユーザーは現在5,000万人とみられている。都市部では光ファイバーが敷設され、ADSLも普及し始めている。街角にはネットカフェがみられるようになり、政府(共産党)も情報統制には神経質になっているようではあるがそれにも自ずと限度があり、大きく普及していくものと思われる。(現在ISPは認可制)

現に日本と同様のネット恋愛やそれに起因する事件も起きているようであり、中国でも所謂ネットバブルははじけてはいるが、着実にネット社会が到来している。

2000年の中国のパソコンの販売台数は800万台、2001年は恐らく1200万台以上に達した模様、2003年にはノートPCの需要も100万台を越えると予想されている。

政府は2005年までに全土の一部の小学校と全中学校のPC教育を決定したことから、子供にパソコンを買い与えるという需要も一人っ子政策と相まって大きくなっているようだ。

北京でパソコンの販売の中心地は、北京大学や精華大学に近い中関村にある。北京駅から車で40分程度の郊外ではあるが、中国のシリコンバレーと言われており、情報系の大学や企業が集中している。立体交差が続く道路や高層ビル、高層アパートが林立し、また広範囲にわたり工事中で、大きなエネルギーが感じられる。

この中で中国の秋葉原と言われているのが北京硅谷電脳城と名の付く大きな近代的なビルで8Fまで広いフロアにパソコンの製品からパーツ・ソフトと各店舗がひしめいている。


本体の販売の中心は、CRTのデスクトップタイプではあるが、液晶デスクタイプも約2割、ノートPCも約1割程度展示販売されている。またデスクトップでも、音楽や映像を提案するものもあり、従来の安物のホワイトボックスのみと言うイメージは影を潜め、多岐にわたっている。

目に付くメーカーはデスクトップでは、Haier,聯想。(デスクトップCeleron900Mhz 128M 40G 15CRT CDROMでユーザー販売価格4280元・6万円 液晶デスクトップP4 1.7G 256M 80G 15XGA DVD+CDRWで14000元・19.6万円)

ノートPCについては、まだまだ展示台数はデスクトップに比べれば少ないが、DELL,TOSHIBA、Acerなどが積極的に展開しておりSONY,NEC、TwinHeadの展示も一部にみられる。(NEC P3 1.13G 14TFT 20G DVDモデルで20800元・29万円とかなり高い DELLも同水準)

SONYは昨年よりノート2モデルをこの市場に投入しており、GR18C(P3 1.13G 14.1SXGA+TFT DVD+CDRW) 34000元・47万円 R505 (P3 850M 12TFT 128M DVD+CDRW)24000元・34万円 で販売されている。ソニーは基本的には大都市(4都市)の「ソニーデジタルワークショップ」での販売を主体に展開を始めている。

しかし、中産階級の年収からしてもデスクトップでさえかなり高価な買い物だが店内は相当混雑しており、特に熱心にノートPCに見入る姿が印象的だ。TVドラマでもノートPCが頻出しており、新しいもの、できるビジネスマンの代名詞のようだ。

R505でも熱心にドッキングステーションを操作していた。

モバイル分野は、PDAを含めてまだこれからと言ったところではあるが、WTO加盟でより規制緩和、市場開放が進む中国、携帯電話の普及と今後、車の尚一層の普及など変化のスピードは速く、大きく市場が変化するうねりが十分にある。



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