本州最西北端、向津具半島 " 川尻岬 " 沖の日本海に沈む夕陽と漁火をのぞむ

油谷楊貴妃伝説 ― 話によると、向津具半島、ニ尊院の境内に立つ五輪の搭こそ楊貴妃の墓。 

彼女といえば、玄宗皇帝のあまりの寵愛に、周囲の募る不満を浴び、非運の最後を遂げたはず。 

ところが、実は危うく難を逃れて船に乗り、向津具半島の北西、唐渡口に辿りつく。 けれども間も

なく世を去ったため、憐れんだ里人らが亡骸をニ尊院に埋葬したのだと。 ―

白楽天の「長恨歌」には玄宗の苦しみを見兼ねた道士が、東方海上の楽園で仙女となった妃を探しあて

たという一節がある。 仙女は「天上で共に比翼の鳥に ・・・・・」 と、在りし日の玄宗との誓いを道士に

言い伝えたとか。 一方、油谷では、妃の魂は鳥になって飛んでいったと伝えられてきました。 油谷は

大陸から見ると東方海上に位置する風光明媚な地。 伝説の東方海上の楽園とは油谷のことだったのか

もしれません。

ー たとえ天地滅びても、この恋の想いは終わらない ー

                      − 白楽天「長恨歌」−

天地滅びても終わらないと誓った二人のラブソングの続きはこの地で。 あの日、妃の化身である鳥の翼を

紅に染めた太陽は、幾千年たった今日も変わらず、恋人たちを見守ります。