乙女椿と日本シャクナゲ

人知れず深山に咲き誇り、多種多様に変異する「山の女王」

シャクナゲはツツジやサツキ同様、ツツジ科ツツジ属の植物で、現在、約1千種が知られている。大まか

には常緑で葉が革質、枝先に6個ほどの花をつけるのがシャクナゲ、落葉または半落葉し、枝先に3個

程度の花をつけるものをツツジと呼び、区別している。

節が澄んだ五月の空の下、ひときは華やかに花を咲かせるシャクナゲ。風薫る五月は春と夏との二つ

の季行き交う時だ。うららかな春を待つ身には早春ばかり長く、陽春はあっという間に初夏に移ってしま

う。桜が散り惜しまれつつ春が行くとき、新しい季節の夏がすでに始まっている。香しく爽やかな五月の

薫風が、シャクナゲの花を揺らせます。昔は日本シャクナゲは五月の連休後が定番であったが、最近

は八重桜の満開時には咲き始めている。それだけ四月の気温が高いわけで、地球温暖化の影響が出

ているようだ。西洋シャクナゲはさらに早い。開花時期が早まったとはいえ、シャクナゲも早咲きから遅

咲きまでありますし、日当りの差で、同じ種類のものでも開花にズレが出ますから長く楽しめるのです。

その西洋シャクナゲは19世紀にヒマラヤからヨーロッパへ持ち帰り、これがシャクナゲの品種育成の転

機となりました。花が終わりますと、花がらを摘む作業が待っています これを疎かにしますと、結実がす

すむことになり、木に多くの負担をかけることになります。慣れないうちは来年咲く花芽も一緒に摘み取

らないように注意が必要です。日本シャクナゲは、花芽を摘み取らなくて花を咲かせすぎますと、養分

を取られて葉が小さくなり、翌年の開花は望めませんので、開花前の3月か、9月下旬に花芽を摘むほ

うがよい。この傾向はツクシシャクナゲに顕著だ。