家族写真

庭を埋めた紫陽花 つかのまの陽が注ぐ 父の膝はまだ 幼い妹のもの

母よりも背が伸びた 兄が少しはにかむ 傾いたカメラ 笑い声も写した

明日へ向かうほど 近くなる昨日がある 忘れないで思い出は どこにもいかない

 

猫が眠る縁側 風の音が戯れる 母が手をいれた わたしの髪が可笑しい

ひとつの屋根の下で 喧嘩したり泣いたり それでも最後は 夕御飯を囲んだ

変わらないところに 帰ってゆける場所がある 忘れないでぬくもりは どこにもいかない

 

一枚の写真から 季節は数を重ね 新しい家族 もうすぐ生まれてきます

だけど父の匂いも 母のあたたかい手も 大事なすべては あの時代に覚えた

明日へ向かうほど 近くなる昨日がある 忘れないで思い出は どこにもいない

忘れないでぬくもりは どこにもいない

− 森山良子 −

 

装いの素朴さに風流薫るホタル舟

舟の上からのゲンジボタル観賞 ロマンチックな川下りを楽しむとともに

ホタルの乱舞があなたを幻想の世界に誘うことでしょう

一帯は天然記念物にも指定されているゲンジボタルの生息地

ゆったりとした竿さばきで行く船上では、幾千万もの光の乱舞が目を奪い、ひととき、

幽玄の世界へと心をいざないます

ホタルの乱舞した木屋川は、やがて大きな川となって海に注ぎます

私達は音の中で暮らしています。様々な音に取り囲まれて、音の洪水の中で生活しているといっても過言ではない。

都会の喧騒の中で生活していた人が急に無人島に連れていかれたら、その静寂さにまいるかもしれません。しかし歳

をとるとこの静けさが気にならなくなる。静寂、静謐、静思といった言葉は今では死語のようになっている。人は静謐の

中でこそ、移ろう自然の気配を鋭く感じとることができるし、自分自身を深くみつめることができる。静かな環境は、人、

間が生きるうえで不可欠のものだ。静寂の世界静思の世界にいてはじめて、こころとこころはうるおいを取り戻す。静け

さの中だからこそ 「人のこころ」 がこころの深い部分にしみいるのだろう。夜のしじまの中で心にしみいるといえば、虫の

音があるが、音ではないが他にもある。幾千万もの光の乱舞が目を奪い、ひととき幽玄の世界へと心をいざなうホタルで

ある。虫の音もホタルも静寂の中でこそ、心にしみいり、人の琴線に触れのである。

蛍の名の由来として、星垂(た)る、から転じた説が最も有力だ。夜空いっぱいに輝く星が、天から降った意味。灯(ひ)照る

、がなまった説も。蛍は異名が多い。昔は夜光、照夜、宵燭の字があてられ、夜遊女子とか火の幼児と呼ばれたこともある

そうだ。カブトムシの仲間で、世界に約二千種もいる。国内でみつかっている四十数種の中の代表はゲンジボタルとヘイケ

ボタル。同じゲンジ種なのに明滅の間隔に長短がある。長野から西は二秒で東は四秒間隔にゆったり光るというから、なん

とも摩訶不思議な世界だ。ヘイケボタルは小柄で、放つ光も弱々しいところから、源氏との歴史的な対比で名付けられた。

ヒメボタルは源平の二種より活動時刻が遅く深夜に花嫁を探す。花嫁を探すといえば、雄だけが群れになって一緒に明

滅を繰り返す壮観が、ゲンジボタルの特徴。地上の草や岩の上にいる雌に愛の光を送って探すわけだ。生物としてまっと

うな行為である逢い引きを我々は特別な感情で眺めていることになる。蛍の生態は実に変化に富むが、共通項は羽化のあ

との命がほぼ一週間と短いことだ。農薬に痛めつけられ、河川の護岸工事で生息地を奪われながら、これが最後と輝く姿

はロマンを掻き立てるものだが、いかにもいとおしく哀れである。

しみじみとこの静けさのなかにして人のこころを感じゐるなり   − 中原綾子 −

ゲンジボタル

ヒメホタル

 

ホタルの発光パターン

ゲンジボタル : ゆっくりと尾を引くように発光、光る回数は一分間に30〜40回

ヘイケバタル : やや速く息づくように発光、光る回数は一分間に110〜120回

ヒメボタル : 断続的な光を放つ、約1秒に1回規則的に発光

ゲンジボタルの一生は、卵から成虫になるまで約一年、生涯の大部分は水中で生活し、

成虫としての命はほぼ一週間とされる

ホタルの危機

日本の初夏の風物詩であるホタルの里で異変がおきている。ある小さな生き物がホタルを襲っている。コモチカワツボとい

うニュージランド原産の外来種で、すでに16の都道府県で確認されている。ホタルは水中でカワニナという巻貝を食べて

育つ。よく似ているコモチカワツボを食べると、羽化しないという。実験では50匹のカワニナとコモチカワツボで試したところ

、カワニナを食べた方は23匹が成虫に育ったが、コモチカワツボは7匹だったとのこと。しかも光の強さは、カワニナの場

合は8ルクスに対し、最大でも3ルクスだった。これらはマグネシウムの含有量がコモチカワツボはカワニナの十分の一しか

ないことに起因しているようだ。光が弱いと雌雄の愛のコミュニケーションがとれず、子孫を残すことも支障がでるのだ。な

ぜ爆発的に増えたのかは不明だが、一つにはよく似ているから間違って餌として放したのではないかという説がある。山口

県ではコモチカワツボは確認されてないが、安易な対応が思わぬ墓穴を掘ることにならないようにしたいものだ。

木屋川ゲンジボタルは、古くから 「豊浦蛍」 と言われ、昭和32年10月に 「天然記念物木屋川(こやがわ)、音信川(おと

ずれがわ)ゲンジボタル発生地」 として、豊田町内の木屋川とその支流、豊田湖一円と長門市音信川が本指定されました。

木屋川一帯は天然記念物に指定されているゲンジボタルの生息地で、ゆったりとした竿さばきで行く船上では、幾千万も

の光の乱舞が目を奪い、ひととき幽玄の世界へと心をいざないます。蛍の生息地で国の天然記念物に指定されているの

は全国で10ヶ所、そのうち2ヶ所が山口県(豊田町、山口市)に指定されています。

「豊田ホタルの里 ミュージアム」:一年を通じてホタルの観察が出来る

ホタルまつり : 豊田生涯学習センター前広場 

一般プランWeb・道の駅プランWebのご予約 QRコ−ド「豊田湖畔公園の公式LINE」から 乗船期間:6月5日〜6月22日

電話での予約 TEL : 083-766-0031(9時から16時)豊田町観光協会