梅雨
雨を帯びたアジサイやハナショウブ の発散するそこはかとない風情、同じ花でも梅雨の晴れ間の陽差しを
浴びますと別の趣きとなります。降り注ぐ雨に木々は息を吹き返 し、その茂みを濃くする。アジサイも
降りかかる雨に応えて、花びらを七色に変化させてゆきます。6月入りの芒種となり梅雨を迎えています。
梅雨とは、梅の実が熟す頃の長雨を言うそうですが、日本では菜種梅雨、筍梅雨、卯の花腐たし(うの花
を腐らせる意)と呼ばれる時期を過ぎ、本格的な梅雨に入ります。その梅雨ですが、お隣の中国では梅雨
(メイユ−)、韓国は長霖(チャンマ)というそうです。日本でも地域により様々な呼び方があります。ツユは
中国地方、ナガシ(流し)は四国、九州地方、ニュウバイは東日本、ナガメは東北、沖縄地方、ツイリ(墜
栗花)は東海地方です。当地の梅雨の平年日は6月5日となっており、昨年は5日に梅雨入りしましたが、
今年は2日の入梅となりました。およそ40日くらいかけて梅雨明けとなります。
6月に入りますとシオカラトンボ(薄青、水色)が見られ、下関地方気象台によれば、その初見の平年は7
日頃とされますが、昨年は6月の4日でした。今年は5月19日だったとのこと。
我が家では5月には飛んでいました。アジサイの開花平年日は14日頃とされますが、今年は15日(昨年
11日)に開花したようです。 アジサイの開花は通常は梅雨入りと呼応するようです。初夏の風物詩として欠
かせないのが 「 梅ちぎり 」です。防府天満宮では、四人の巫女や婦人会、幼稚園児童等の手を借りて
1200本の梅を落とし、神前にお供えします。毎年650キロ前後の梅が収穫されるそうですが、今年も600
キロの実が収穫されたとのこと。大宰府天満宮でも六千本の梅ちぎりの前に 「 飛梅ちぎり 」 が催され、千
年有余の高さ 5mの御神木 " 飛梅 " を巫女が竹竿で落とします。 過去には1300個もとれた年もあったと
いいますが、最近はめっきりと減り、減少傾向が続いているようですが、老木ゆえに心配です。
トンボに戻りますが、わが家では毎夏この頃、ウスバキトンボが飛交いますが、ここ数年同様な新顔が登場し
ます。赤とんぼと同じ位の大きさで、全体に真っ黒で、腹の周りが白で、コシアキトンボ(腰空とんぼ)と言う
そうです。腹の周りが白色がオスで、黄色なのがメスになります。今年は6月10 日には見られました。
梅雨の花 紫陽花、花菖蒲、雨だからひときわ美しく、雨の中だから輝きを増す。アヤメの仲間は世界で
約200種。 自生種から園芸化されたものも多く、日本では花菖蒲が代表。 「いづれがあやめかかきつば
た」 という言葉があるほど、アヤメとカキツバタは非常によく似ている。見分け方は、「菖蒲(あやめ)」が
一般に乾燥した場所に育ち、花びらの付け根に編み目紋様(文目=あやめ)がある。 「花菖蒲(ハナシ
ョウブ)」 は一般に湿地に育ち、花びらの付け根が黄色い。 「杜若(かきつばた)」 は一般に湿地に育ち
、花びらの付け根が白い。 「菖蒲(しょうぶ)」 には花菖蒲と草菖蒲がある。花菖蒲はあやめの仲間だが
、草菖蒲はサトイモの仲間である。
梅雨入りの高温多湿 となりますと不快感も増すばかりです。 じっと我慢するばかりでなく、積極的に
季節を楽しむ工夫も必要です。 朔太郎の 「こころ」 です。
" こころをばなににたとへん こころはあじさいの花 ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思い出ばかりはせんなくて " − 萩原朔太郎 −