西南海観光鉄道
軽便鉄道との出会い

 私は1964年生まれの大阪育ちですから、営業運転をしている非電化の軽便鉄道に乗ったことも見たこともありません。唯一、74年春に東京に遊びに行った際、ユネスコ村まで足を延ばして西武山口線に乗る機会がありました。そこで目にした小さなかわいらしい蒸気機関車が引く列車は、普段目にしていた旧国鉄や大手私鉄、地下鉄の車両とは大違いでした。そのややアンバランスな愛らしさに惹き付けられ、私の軽便鉄道への小さな小さな探訪の旅が始まりました。もちろん、書籍や古い時刻表上での旅です。そして、山口線で走っていた小さな蒸機が、日本の軽便鉄道では比較的遅くまで残り、最も軽便鉄道らしい雰囲気を持っていたとされる頸城鉄道(新潟県)と井笠鉄道(岡山県)で走っていた蒸機であることを知りました。しかも、2両とも、日本の軽便鉄道ではあちこちで輸入され、最もポピュラーなドイツ・コッペル製の機関車ということもわかったのでした。

 77年春、もう一度山口線を訪れました。しかし、残念なことに2両のコッペルは引退していました。井笠鉄道から来た客車は健在で、もっと写真を撮っておけばよかったのですが、唯一手元に残る写真が上のような代物です。蒸機は台湾の製糖会社から来た大ぶりのコッペル(写真は527号)がいたのですが、愛らしさの片鱗も感じ取ることはできず、とても落胆したことを覚えています。そんなわけで、私の軽便鉄道探訪の旅は今も続くのです。(02/11/10改)


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