西南海観光鉄道
RMライブラリー115「石油発動機関車」

タイトルRMライブラリー115「石油発動機関車」
著者湯口徹
出版年月2009.3
出版社ネコ・パブリッシング
 九州の南筑軌道の「珍奇」な機関車をとらえた牧野俊介氏による写真に強烈な印象を残す人も多かろう。内燃動車研究の権威である著者が、その石油発動機関車に迫った本書も「珍本」と呼んだら失礼だろうか。著者いわく資料不足で大半が「推測」で、「分からぬことだらけ」であるというが、著者お手の物の資料を駆使した飽くなき探究心で、このゲテモノの出自を暴いていく内容は読み応え十分だ。本書によれば、石油発動機関車は大阪の町工場の親父が焼玉機関の延長でこしらえたとのこと。完成度も低く、不完全な製品だったと客観的に指摘する一方、発動機の手本となるような自動車の輸入もまだ少ない時代にこの機関車を独力で手がけた町工場の親父に対する著者の敬意も行間ににじんでいるように思える。

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