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中小企業経営革新
対策費補助金
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中小企業経営革新
支援対策費補助金
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補助率
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1件当たり事業総額
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補助率
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1件当たり事業総額
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中小企業者
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−
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−
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1/2
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約2000万円程度
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組合等
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1/2
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約5千万円程度
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2/3
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約3000万円程度
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(2) 低利融資制度
承認された計画にしたがって行う事業に必要な設備資金、長期運転資金等に対して低利融資制度が用意されている。
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貸付対象
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貸付利率(11年7月)
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先端産業育成特別融資
(中小企業金融公庫)
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設備資金
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1.7%
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中小企業経営革新党支援貸付制度
(中小企業金融公庫、国民金融公庫等)
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設備資金
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2.0%
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長期運転資金
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2.0%
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(3) 税制措置
承認された計画にしたがって事業を行う場合、下記の特例措置により、事業開始の設備投資等に対する負担を軽減される。
@ 設備投資減税
取得の場合、特別償却(取得価額の30%)又は税額控除(取得価額の7%)、リースの場合、リース費用総額の60%の7%の税額控除ができる。
A 欠損金繰戻還付
ある事業年度において欠損金が生じた場合、1年前までに遡って法人税の納付がある場合、その一部についての繰戻還付を請求できる。
B 特別土地保有税非課税
特別土地保有税について、非課税措置がある。
C 試験研究関連税制
試験研究費賦課金の任意償却、増加試験研究費の税額控除、私見研究用固定資産の圧縮基調を行うことができる。
(4) 高度化融資制度
計画の承認を受けた組合が、高度化融資を受けて工場の集団化や施設の共同化等を行う場合に長期無利子高度化融資等の優遇措置が講じられている。
(5) 中小企業信用保険法の特例
承認された計画にしたがって行う事業に必要な資金については、通常の保証限度額と同額の別枠保証が設定される。
(6) 中小企業近代化資金等助成法の特例
承認された計画にしたがって行う事業に必要な設備についての中小企業設備近代化資金制度の償還期間を5年から7年に延長する。
(7) 中小企業投資育成株式会社法の特例
承認された計画にしたがって事業を行う中小企業者については、資本金が1億円を超える場合であっても同社の出資を受けることができる。
V 支援制度の有効活用と事業展開の手法
これまで紹介してきた中小企業の各種支援法制とその優遇措置をいかに有効に活用し、事業展開に結びつけるかが本節のテーマであるが、実は、容易には語れない側面がある。ベンチャーとしてある程度実績のある企業の場合その企業の現状に適した支援策を選択するのも容易であり、会社の状況が相応に知られている会社の場合や各法の認定事業者に対しては、施策についての案内や情報なども集まる傾向がある。それに対して、実績のない企業の場合、自社に適した支援策を自ら探して、適用にまでこぎ着けなければならない。反面、平成10年10月の保証協会特別保証枠のように申請さえすれば必ず利用できる支援策もあり、雇用助成金のように比較的容易に給付されるものもある。しっかり申請書類を作成すれば活用できる支援策は、おおいに活用すべきである。
こうした支援策の難易度の問題のほかに、資金調達に窮した企業が施策の求める要件の事業等を行うことにして支援策を活用するという問題がある。特に助成金は、税金を投入しても支援したいほどの国策にかなった事業でなければ受領できないと考えるべきであるが、企業にしてみれば、事業に要する資金の1/2前後をもらえるのであり、「行うことにして」への誘惑は少なくない。さらにこうした環境下で、助成金を受け取るべき企業以外にまで助成金獲得の助言を行い、支給された助成金額の一定割合を成功報酬として受け取る助成金コンサルタントの出現といった事態まで考えると、根の深い問題である。
こうした問題から、支援制度の有効活用や事業展開のポイントは、個々の企業の実態により異なるため、詳述は困難である。よって、不十分ではあるが、支援策の有効活用と事業展開について感じる点のみ指摘してみたい。
(1) 必要な認定を受ける
新事業創出促進法、中小企業経営革新支援法あるいは中小企業創造活動促進法など支援策の前提として認定を受けなければならないものがある。それぞれに対象企業の層や事業規模などが異なるため、難易度(という表現もおかしいが)に違いがある。各法の趣旨を考えた上で、認定申請を行う必要がある。
(2) 各種支援ツールを使い分ける
次に問題となるのは、各種支援策の類型のいずれを利用するかである。
@ 融資・保証
比較的、適用を受けやすい支援策ではある。しかしながら、返済が必要であることはいうまでもない以上、実施する事業についての利益計画とそれに伴う資金計画を十分に吟味しておかないと、返済に苦しむことになる。
A 補助金・助成金
事業に要した資金の1/3から1/2を助成してもらえるため、企業にとってはうれしい支援策である。反面、税金を投入するほど公的な必然性のある事業でなければ、支援対象とならないはずであり、襟を正した経営を求めたいものである。なお、補助金・助成金の多くは、対象事業で実際に支出した金額等の実績に対して事後的に支給されるため、当初の支出についての資金調達は、別途考える必要がある。補助金の認定は受けたけれども、事業を行うための資金調達ができないために、事業規模を縮小して実施し、縮小した規模の1/2の補助金しか受け取れなくなってしまったという話は、意外に見聞するところである。
B 投資・ストックオプション
公的機関からの投資は、返還を要しない資金であるため、補助金同様、企業のニーズが高い支援策である。しかし、外部株主が誕生することでもあり、経営およびディスクロージャーの適正性が求められることになる。また、投資を受けた以上、株式公開によるキャピタルゲインで還元するか、配当金で還元するといった最終的な還元方針を固めておく必要がある。
ストックオプションもオーナー以外の役員や従業員にも株式を持つ機会を与えることになる以上、経営を第三者からチェックされることの覚悟が必要であるし、株式公開やM&Aなどで高い株価を実現しなければ、また、実現する可能性を提示できなければ、モティベーションは高まらない。
同時に、経営者の安定持株比率の維持など資本政策の必要性が出てくるので、十分な検討と並行して実施すべきである。
C 優遇税制
優遇税制の代表は、特別償却制度に代表される設備投資減税である。しかしながら、中小企業が設備投資を行う場合、初年度から利益が出ているとは限らないため、特別償却を実施することで、赤字に転落したり、黒字は確保しても未処理損失を抱えたり(特別償却を利益処分方式で実施した場合)することが多い。これが原因で金融機関からの融資が不可能になったのでは困るため、設備投資減税は中小企業にとって支援策としての誘因にならない場合があったのも事実である。
しかし、今般の支援策改正のなかで、繰越欠損金の繰越期間を7年に延長したり、欠損金の繰戻還付といった制度が生まれた。これらの制度は、経営成績のブレが激しい中小企業にとって、大きな支援になるのではないかと期待している。
W まとめ
こうして説明すると、新事業進出・ベンチャー支援制度の活用は、十分な支援情報の収集と理解に尽きると思われる。昨今、インターネットによる各省庁の広報が充実してきており、
広域関東圏産業活性化センターによる支援策のメールニュース配信(http://www.giac.or.jp)といったものも生まれてきている。従来からの情報収集手段に加え、こうしたツールも加えて支援情報を収集し、理解していくことが重要かと考える次第である。