プレスリリース:アートツアー・イン青森「成田亨が残したもの」

美 術館開館に向けたプレイベント「アートツアー・イン青森」

縄 文のエネルギーを秘め、豊かな風土を有する青森県は、芸術分野で新しい領域を切り拓く多彩な芸術家を多く輩出してきま

した。「アートツアー・イン青森」は、美術館開館に向けたプレイベントとして、青森県が生んだこれら美術家たちを紹介すると

ともに、シンポジウムや、その創造的なエネルギーを体感できるようなワークショップを開催することで、青森県が持つ魅力や

特性を展望するものです。

第2 回目の本展では、ウルトラマンの産みの親「成田亨」を取り上げます。

ウ ルトラQ 、ウルトラマン、ウルトラセブンというウルトラシリーズの基礎となった三部作において、登場するヒーローや怪

獣、メカのデザインを手がけたのが、青森県出身の彫刻家・成田亨(なりた・とおる 1929‐ ‐ 2002 )です。成田は、新制作展

を舞台に彫刻家として活躍する一方で、「ウルトラマン」や「マイティジャック」、「突撃!ヒューマン!!」等の特撮番組で美術

を担当し、特撮の世界では神様と称された人物です。

今 回は、青森県が所蔵する「ウルトラQ 」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」のデザイン原画をはじめ、「マイティジャック」

や「突撃!ヒューマン!!」、「ブキミ星人」(円盤戦争バンキッド)等の貴重な原画、資料、さらには新制作展に出品された彫刻

や、個展等で発表された油彩作品を一堂に公開し、成田芸術の全貌にせまる初の回顧展です。

あわせて、若手作家の作品も展示し、成田亨が残した文化的影響を検証します。

成 田の残した文化環境の中で育った若手作家の作品もあわせて展示することで、成田亨という芸術家の社会に与えた影響につ

いても考えていきます。

出 品作家は、現代日本の様々な表現形式を用いて制作を行い国際的な評価も高い会田誠(あいだ・まこと 1965 〜 )、特

撮的なビデオインスタレーションを手がける一方でマンガ・アニメ評論でも活躍している伊藤隆介(いとう・りゅうすけ 19

63 〜 )、不思議な生物をモチーフにした作品群がまさに成田怪獣を連想させる角孝政(すみ・たかまさ 1968 〜 )、模

型雑誌で怪獣等のジオラマを発表し読者の絶大な支持を集めている山田卓司(やまだ・たくじ 1959 〜 )。

さ らに、成田デザインを着ぐるみとして立体化した画家・高山良策(たかやま・りょうさく 1917 〜1982 )の制作し

た怪獣作品も同時に出品されます。

会場は七戸町の鷹山宇一記念美術館

本 展の会場は、道の駅・七戸町文化村に併設されている七戸町立鷹山宇一記念美術館。展示室いっぱいに成田ワールドが広が

ります。

同 時に、七戸町中央商店街に残る、歴史的にも貴重な商家「山勇」でも、作品展示(インスタレーション)が行われます。

会期中にはワークショップとシンポジウムも開催

会 期中の9 月14 日(日)、15 日(月・祝)各午後2 時からは、「怪獣大行進!」と題されたワークショップが美術館アトリ

エにて開催されます(2 日間の連続講座)。山田卓司と八戸市在住の情景模型家・島脇秀樹(しまわき・ひでき 1959 〜 )

の指導により、本格的な素材を使った怪獣のフィギュア作りに挑戦します。完成した作品は会期中、美術館に展示される予定で

す。参加費は無料。参加申し込みは、七戸町立鷹山宇一記念美術館まで電話かfax 、e‐ mail でお知らせください。なお、定員に

なり次第募集は締め切ります。

また10 月5 日(日)午後1 時30 分から3 時30 分まで、七戸町農村環境改

善センター柏葉館多目的ホールにおいて「怪獣、特撮、そして美術 〜成田芸術の理解のために〜」と題したシンポジウムを開

催します。パネリストは、「マジンガーZ 」や「宇宙戦艦ヤマト」の脚本や、ベストセラー小説「宇宙皇子」の著者としても知ら

れ、「突撃!ヒューマン!!」では成田とともに仕事を行った藤川桂介(ふじかわ・けいすけ 1934 〜 )、新進気鋭の美術

評論家として活躍し、成田亨の参加した「日本ゼロ年」(水戸芸術館、1999‐ 2000 年)のキュレーションも手がけた椹木野衣(さ

わらぎ・のい 1962 〜 )、平成ガメラシリーズの特技監督やエヴァンゲリオンの絵コンテ、「ミニモニ。じゃムービー お

菓子な大冒険!」の監督を担当している樋口真嗣(ひぐち・しんじ 1965 〜 )。それぞれ成田と親交の深かった各界を代表

する著名人が、成田亨の人と芸術について語り合う必見のシンポジウムです。

■ホームページでは最新情報をご覧いただけます。

ア ドレス http://www.pref.aomori.jp/museum

アートツアー・イン青森 http://www.pref.aomori.jp/museum/event/art_tour/2003/

事業概要

1 名 称

ア ートツアー・イン青森「成田亨が残したもの」

A Retrospective:NARITA Tohl and several things he has left behind

2 会 期

平 成15 年9 月13 日(土)〜10 月13 日(月・祝)休館日なし

3 主 催

青 森県、七戸町、七戸町教育委員会、財団法人鷹山宇一記念美術振興会

4 共 催

七 戸町商工会、道の駅しちのへ(社)七戸町ふるさと振興会

5 後 援

十 和田市、十和田市教育委員会、上北町、上北町教育委員会、天間林村、天間林村教育委員会、東北町、東北町教育委員会、七

戸町文化協会、七戸町観光協会、東奥日報社、陸奥新報社、デーリー東北新聞社、河北新報社青森総局、朝日新聞社青森支局、毎

日新聞青森支局、読売新聞社青森支局、NHK 青森放送局、RAB 青森放送、ATV 青森テレビ、ABA 青森朝日放送、青森ケーブルテ

レビ、HTV 八戸テレビ放送、エフエム青森、コミュニティラジオ局BeFM

6 会 場

七 戸町立鷹山宇一記念美術館、山勇(七戸中央商店街イベント広場前)

7 観覧料

無 料(ただし、七戸町立鷹山宇一記念美術館への入館料が別途必要。)

関連事業

(1 )シンポジウム

演題:「怪獣、特撮、そして美術 〜成田芸術の理解のために〜」

概要:成田亨の芸術や時代背景等を深く理解するために、各分野から専門家を招いてシンポジウムを開催する。

パ ネリスト:藤川桂介(作家・脚本家)、椹木野衣(美術評論家)、樋口真嗣(特技監督)

日 時:10 月5 日(日)13:30 〜15:30

会 場:七戸町農村環境改善センター柏葉館多目的ホール

(2 )ワークショップ「怪獣大行進!」

概 要:立体作品制作のワークショップ。完成後は美術館内に展示。

講 師:山田卓司+島脇秀樹

日 時:9 月14 日(日)、15 日(月) 各14:00 〜17:00

会 場:七戸町立鷹山宇一記念美術館アトリエ

略歴

成田亨 なりた・とおる 彫刻家・画家・特撮美術監督

1929 年生まれ。旧制青森中学校(現青森高等学校)在学中に画家・阿部合成から指導を受け、卒業後、武蔵野美術学校(現

武蔵野美術大学)西洋画科へ入学。林武、三岸節子らから指導を受けるが、3 年次に彫刻科へ転科、清水多嘉示教室で構造的な

彫刻について学ぶ。1955 年の第19 回新制作展で初入選。以後、同展を舞台に新進気鋭の彫刻家として活躍していった。

一 方、1954 年アルバイトで参加した「ゴジラ」の現場で円谷英二と出会い、特撮美術の仕事も数多く手がけるようになっ

ていく。代表作には「ウルトラQ 」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」、「マイティジャック」、「円盤戦争バンキッド」、「突撃!

ヒューマン!!」など。映画の特撮美術でも活躍し、「新幹線大爆破」(佐藤純弥監督 東映、1975 年)、「トラック野郎」シ

リーズ(鈴木則文監督 東映)、「この子を残して」(1983 年 木下恵介監督 松竹・ホリ企画、1983 年)、「麻雀放浪記」

(和田誠監督 東映・角川春樹事務所、1984 年)等の名作を次々に手がけていった。

美 術家としても、数々の個展で作品を発表する他、「日本ゼロ年」(水戸芸術館、1999 〜2000 年)、「キッズ・アートワー

ルドあおもり2000 」(青森県、2000 年)、「高山良策の世界展」(練馬区立美術館、2001 年)、「ぼくらのヒーロー、ヒ

ロイン展」(市立小樽美術館、2002 年)、「ヒーロー展」(高松市歴史資料館、2003 年)等でも作品が展示されている。

2002 年、死去。

展覧会終了後に制作された図録、関係者のみに配られた非売品。

 

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