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色 の テ ィ ー ル ー ム

「パッケージと色」
胃腸薬のパッケージ

 最近では、薬のセルフ販売化が進んでいて、将来コンビニエンスストアで扱うことが検討されている程です。店頭で症状を言って薬をお店の人(薬剤師さん)に選んでもらうのが少し前までは当たり前だったのですが、最近ではドラッグストアと呼ばれる大きな店舗が増え、お客さんが自由に商品を選べるようになってきました。
 もともと医薬品は、スーパーで売られているような加工食品や日用雑貨品ほどには、パッケージは重視されてきませんでした。それは、お客さんが自由に商品を選ぶとことが少なかったからです。しかし、売られ方が変わってくるとパッケージの持つ意味はずいぶん変わってきます。
 医薬品の中で特にパッケージが重要視されるのは、ドリンク剤・風邪薬・解熱鎮痛剤・胃腸薬などではないでしょうか。その理由は、コマーシャルでよく目にすること、ポピュラーな商品であること、良く利用するもの、そしてセルフ(お客さんが自由に手にとることの出来る売場)で良く売られているからです。
 さて、その中の胃腸薬に目を向けると色々なことに気がつきます。
 まず、商品の種類がとても多いことです。商品の形状だけでも錠剤・顆粒・チュアブル・液体などがあり、それぞれのブランドがそれぞれ商品を出しているのです。
 次に、商品の色味にある傾向がみられることです。胃腸(特に胃)をすっきりさせるという商品の効果効能を表現するためか、爽やかなイメージを持つ寒色系の配色の商品が多いようです。ですから、胃腸薬の売場で目を引くのは、それ以外の色使いの大正漢方胃腸薬だったり、中外胃腸薬だったり、マーロックスプラスだったりするわけです。
 そして、デザイン表現が分かりやすくなってきていることです。コミック世代に向けてなのか、キャベ2のように漫画的なイラストやサクロンのようにかわいい胃のイラストを全面に扱ったり、胃を簡略化(ピクトグラム化)して表現したり、一目でどのような薬か分かるようにしてあります。ただし、昔からあるロングセラー商品はこのような表現はしていません。これは、デザインを変えることにより固定客が去ってしまうことを避けるためです。
 すでに、セルフを十分意識した色使いやデザインがされていますが、今後もどのような展開をしていくのかとても気になるカテゴリーです。
 今はまだ医薬品の購入理由は、お店の勧めてくれたものや、コマーシャルなどで良く知っているもの、常備薬としていつも使っているものなどが大半を占めていますが、今後セルフ化が進むにつれて購入理由も変わってくるかもしれません。
(1997.JULY)
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