No.97

              アメリカの民主党大会


2月最後の土、日にかけて、アメリカの二大政党に絡んだ会合が開かれた。

1日前に行なわれたのは、保守系の一大資金団体CPACの集会であった
ワシントンで開かれていて、
今年の大会は、トランプ一色になると(TPACになると)予測されていて、
中には欠席した人もかなりいた。

一方、その翌日、南部ジョージア州、アトランタで開かれたのは、
民主党の正式な全国大会(DNC)である。

NPRは、その模様を伝えている(2月26日)。

そこでは、党の代表(chairman)などが選ばれた。
決選投票は、オバマ大統領の労働長官をしていて、
ヒラリー・クリントンの副大統領候補にも擬されていた
ペレス
(Tom Perez)氏(ニューヨーク出身)と、
ミネソタ州からの下院議員エリソン
(Keith Ellison)氏との間で行われ、
ペレス氏が総員400を超す中で35と言う票差で決った。

これが、同党の統一性に罅割れを起こさないか心配されたが、
どうやら、そうならないで、「執行部が滑り出した」、と伝える
(エリソン氏のサポーターは一時騒いだが、ペレス氏の側から「うるさい!」の一喝で収まった)。

やがて、ペレス代表が副代表にエリソン氏を指名すると、
エリソン氏はそれを快く受け入れ、会場も拍手に沸いた。


NPRは、ここでいずれも初めてとなるこの民主党の代表と副代表について、
次のように述べている。

即ちペレス氏は、民主党代表として初めての、
両親がドミニカ共和国出身のヒスパニックである一方、
副代表のエリソン氏はイスラムだという
(エリソン氏は、イスラム系でそもそも初の連邦の下院議員である)。

大会で「開会前の祈り」を捧げたのは、イスラム教の祈祷師
(imam)
また唱われたのは、黒人国歌
(black national anthem)と称される
(エピスコパル派の讃美歌集中に納められている)歌であった。

以上からも言えるように、民主党が目指しているのは、
アメリカの多様性を正視して、これを積極的に採り込んで行こうとする姿勢である。
そして、今、党に課せられた任務は、党勢を一から立て直すことである。


                                   2017年3月3日