No.82

         アメリカの政治とキリスト教


アメリカには一方で、「メイフラワー号」が象徴するようなピューリタン伝承が存在する。
キリスト教の信仰を自らの生きる証とし、基礎とし、
そこから出発した個人の尊厳と平等を標榜する。

その一方で、
現在のアメリカ社会で、キリスト教がどの程度生きているのか、行なわれているのか、
定かではない人々もいるに違いない。

アメリカのピュー調査機関
(Pew Research Center)
興味深い調査を公表している(1月2日NPR)。
アメリカ政治とキリスト教との関係についてである。

結論部分だけを言うと、アメリカ人一般(成人中)では、
キリスト教信者
(Christians)は71%であった。

ピュー調査機関の調査について一言すると、
アメリカ人一般でのキリスト教徒は、

福音伝道派25.4%、主流プロテスタント14.7%、黒人プロテスタント派6.5%、
カトリック20.8%、モルモンその他となっていて、
非キリスト信仰5.9%(ユダヤ、イスラム、仏教、ヒンズーなど)、
非信仰
(unaffiliated)として無神論者、不可知論者、特になし、
の3つで22.8%を占めている
(なお、ピューの2015年調査では、この非信仰が一番伸びていた)。

以上に対し、連邦議会の上、下両院議員535人(上院100人、下院425人)中、
キリスト教信者の比率は91%と、一般よりも更に20%高かった(第115議会開始日の1月2日現在)。

このアメリカ人一般(成人)と議会人との間のギャップについて、
NPRが解説を加えている。

それによると、非信仰が少ないと言うより、1つの要因として年齢を挙げている。
議会人は、アメリカ人一般よりも、年が行っている(上院で57歳、下院61歳)。
まして非信仰のアメリカ人グループの年齢は若い
(加えて若い人ほど、余り投票に行かない)。

以上のように解説してきたNPRも、
アメリカ人が信仰との絡みで「どんな人を、大統領に選びたくないか」の質問で、
「殆ど偏見に捉われていない」との答えを引き出す中で、
ギャラップの調査
(Gallup poll)を引用している。

それによると、たとえユダヤ教であっても、
捉われない人は91%、モルモンでも捉われない人は81%、
イスラムや無神論者であっても60%近くが、問題ないと回答している
(参考までに社会主義者については47%である)。


以上から言えるのは、
アメリカ人は一方で、宗教的偏見は殆んど持たないものの、
現在の政治の中心にいるのは、クリスチャンが91%であり、
またトランプ氏を含め、45人すべての大統領がクリスチャンだということだ。



                             2017年1月24日