No.80

               議員報酬


ここでの比較は、日本の都道府県議会の議員報酬と、
アメリカ各州議員の議員報酬とのそれである。
端的に言って、アメリカのそれは全く低い。

比較の前に知る必要があること。
それがアメリカの各州は、元々が1つの国のようなものだったことから、
その間に、かなりの制度的違いがある点である。

もう少し具体的に言うと、全国(全米)会議は、3つのグループに分けている。

(@)ニューヨーク州($79,500)やカリフォルニア州($100,113)、ミシガン州($71.685)
  などのようなフルタイム州。
(A)ハワイ州、ワシントン州、メリーランド州などの中間州。
(B)ジョージア州などのパートタイム州である。

問題は、フルタイム州の例をとっても、年俸10万ドルが最高で、
中間州ではその半分の5万ドル以下、
そしてジョージア州などのパートタイム州に至っては、17,000ドル台とまるで低い、点である

尤も、これらの年俸に加え、「会期中手当」として、
1日当り何がしかの報酬
(a session per diem)に、旅費、宿泊費などが出る。

これに対し、日本の都道府県の場合は、ネット上で公表されている数字が、
東京都の場合、平の議員報酬でも月当り1,021千円である(年収12百万円)。

一方、2015年の全米での平均世帯収入は、55千ドル台だという
(合衆国統計局
(Census Bureau))。

その中で、たとえパートタイムとは言え、
上記(B)のカテゴリの州の議員らは、どうやって(生きて)いるのか?

NPRは具体例として、ジョージア州のジョーンズ
(La Dawn Jones)議員を挙げている(1月9日)。
彼女は弁護士だが、1期だけ議員として勤めて、元の弁護士だけの仕事に戻ってしまった。

「今のままじゃ絶対ダメよ!」と言っている
「パートタイム」と言うことだったが、考えていたのとは違って、
弁護士の仕事が間に合わないほど、負担が重かったため、助っ人を頼んだところ、
そちらへの支払いで、却って「持ち出し」になってしまった、という。

もう1人の「ジョージア州の議員を6年やった」と言うダツジョン
(Mike Dudgeon)氏も、
もう1つの仕事(ビデオゲーム会社の技師長)との両立で苦労したが、
遂にギブアップして、議員を辞めた口である。

この点ダツジョンは、
「人は、議員として残って、もっと適当にやっていれば…と言うが、それは性に合わない
…やる以上、キチンとしないと…」と言っている。
そのジョージア州でも、「当面報酬アップの見込みは立っていない」と言う。

同州議会のある上院議員は言っている。
『報酬がいくらだから』と言うので、議員をやっている人なんか聞いたことがない。
また『報酬を上げたら、良い議員が来るかって?』そうだろうか?
と疑問を呈している。

専門家は、
「議員が自らの報酬を挙げるための決議をするなんてのは、格好良くない…」
とコメントする。

更に、「政治家は、大体人々に好かれていない
…その中で報酬を上げようというのは、益々好かれない方向に行ってしまう」。

上記のように、ジョージア州議員を辞めた2人も、
基本的な思考は、公共のために働くという「市民議員」
(citizen legislators)
一種の奉仕のつもりだという。

それにしても、日本の地方議員は、大体6倍もの報酬を貰っているということが判る。


                                   2017年1月24日