No.75
            大統領就任式での祈祷


大統領の就任式では、F.D.ルーズベルトの第2期に当る1937年から、
司祭などの神職を招いての祈祷が行われることが例となってきた。

トランプ氏も、目下筆者が執筆中の本に短く記しているように、
一応、「福音伝道派」(Evangelicals)の信者として、先例に倣うことにしている(注参照)。
というより、当日、何と6人の神職を招いているというから(1月13日NPR)、
倍加以上を考えている。

それも、アメリカでの宗教のバランスに配慮したということは十分あるにしても、
いずれも、彼の個人的交わりや、好みから来ているらしい
(NPRは、彼や彼の家族と個人的つながりがあるか、
または彼へのサポートないしは彼の政治や財産造りを称揚してきた人々だという)。

第1に上ったのが、「健康と裕福の福音書派」
(Prosperity Gospel)と呼ばれる宗派の
ホワイト
(Paula White)女史である。
フロリダ州オーランドに居て、同宗派では、アメリカで最も高名な説教師だという*。

なお、この健康と裕福の福音書派の教えは、
「物事をすべて積極的に捉える」もので、とにかく明るく楽天的である。

他には、
Aロサンゼルスのユダヤ教のラビ、
B彼が選挙運動中、招かれて行っているデトロイトの黒人教会の牧師、
C有名なラジオ(テレビ)説教師のビリー・グラハム(98歳)の息子、フランクリン・グラハム
(Graham)
それから殆んどの大統領がいつも招いている、
Dカトリックのドラン(Dolan)ニューヨーク枢機卿、
そして彼の選挙キャンペーン中のヒスパニックに対する悪口からすると、違和感があるが、
E史上初めてとなるヒスパニックの牧師(カリフォルニア州サクラメントから)、の6人である。

このロドリゲス氏は、NPRからこの違和感の点を尋ねられて、答えている。

「お招きを受けて、祈りつつ熟慮して決めた
…政治的に大変大事な舞台でのことであり…それにトランプ氏も、
ヒスパニックについても、キャンペーン中とはレトリックが大分変わってきている
…しかもヒスパニックの30%は、トランプ氏に投票している人々だ…」。


*トランプ氏自身も、若いころから五番街39丁目にある古いマーブル教会へ行っていて、
 そこには先頃まで高名な同宗派の先覚者のようなピール牧師(Norman Vincent Peale)がいた
 (トランプ氏が好んで、その話に耳を傾けていたという)。



                               2017年1月16日