No.73

     クリントン氏はなぜ負けたか―2016年大統領選挙


このブログ欄では、アメリカ合衆国の大統領選挙制度の奇妙な成立ち、
その背景についても短く呟いてきた。

その選挙人制度
(Electoral College)の特殊性を詰ってみても、今更致し方ない
(改正の試みは、幾度となくされてきている)。

今回は端的に、一般票で2百万票以上も勝っていたヒラリー・クリントンが、
なぜ選挙人票で232:306と、トランプ氏の勝利を許してしまったのか、
どこかに、指摘できる彼女の隙がなかったか、である。

NPRは、「確かに隙があった」とする分析結果を報じている(2017年1月6日)。

それは、ミシガン州(選挙人数16人)とウィスコンシン州(選挙人数10人)と言う
2つの上部中西部州においてであった。

この2州とも、一般票で見ると2人の獲得率は同じで、それぞれ47%である。
しかし、トランプ氏に負けている。
NPRは、その差をウィスコンシン州では2万票余り、ミシガン州でも1万票余りの僅差だとしている。
両州の選挙人数は、ミシガン州が16人、ウィスコンシン州が10人であるが、
これらの州は、勝者が、「全取り」
(take all)のルールであり、その結果が今回に至っている。

NPRは、クリントン氏が、自らが民主党の大統領代表候補に決ってからは、
ウィスコンシン州に一度も行っておらず、
またミシガン州には、だいぶ遅くなってから、「一度行ったきりだった」、と伝えている。

この2州とも、勤労者世帯が多数を占める、
どちらかと言うと、民主党寄りの州と見做されてきた。
その中西部州、その中でも今回、アメリカで一番ダメージを受けていると言われるこの2州で、
僅差で全体の行方を左右するような結果を招いてしまったことになる。

無論、これ1つではない、複雑な様々な要因が働いていたであろうが、1つの指摘点である。


                               2017年1月13日